2003年 日本映画 129分 ホラー 採点★★★★
その昔、ふらりと一人旅に出て夜行バスで本州を縦断するという、どっかの四人組のような無茶をしたわたくし。大阪から名古屋までバスで向かい、名古屋から東京までのバス時間まで半日あったので、市内をブラブラすることに。地表よりもはるかに多い人数が地下をうようよする様子に驚き、何でも甘辛くしてしまう東北人の私でも、名古屋の何にでも甘ったるい味噌を乗っける食事に困り果て、コーヒーが飲みたいだけなのに何食わぬ顔で付いてくるミニグラタンに最早驚くことさえ放棄させてくれた名古屋。名古屋よ、何処へ向かっているんだい?
チワワを「ヤクザを殺す“ヤクザ犬”に違いねぇ」と惨殺した尾崎を“壊れた”と認定した組長が、尾崎の弟分・南に名古屋にある“ヤクザ処分場”に尾崎を連れて行くよう指示。名古屋へ向かう尾崎と南だったが、道中ちょっとした事故で尾崎が死亡。困り果てた南が組長に電話している最中に、死体が行方不明に。死んだはずの尾崎を探すために名古屋に滞在した南に、名古屋が牙を剥き始める。

そもそも“脱力”とは速球の合間に混ぜられるチェンジアップの様なもので、物語の高いテンションの合間にストンと入れることで功を奏す。ところがこの作品、全編が横浜ベイスターズのクルーンが投げるフォークなのだ。それも、全くスタミナが衰えないまま150キロ近いフォークのみを投げて先発し完投したクルーン。つまり、観客はお手上げ&置いてけぼり。振っても当たらないのだから、ただただ「ほえぇぇ」とめくるめく“名古屋ワールド”に身を任せるしかない。
タイトルとなっている“牛頭(ごず)”は、大きな災いの前触れとしても語られる“件(くだん)”であると思われるが、そんな大物をタイトルに付けている割には、あんまり物語とは関係しない。唐突に出てはくるが、それまでに充分三池の描く“名古屋ワールド”にやられちゃってる身には、「あぁ、名古屋ならコレもあり得るなぁ」と思わせるばかり。
佐藤佐吉による脚本の力なのか三池の演出力なのか、この作品は映画の礼儀作法というものを全てぶち壊す。悪い冗談を通り越して観客に対する嫌がらせとしか思えない展開をするこの作品が与える驚きは、杓子定規な映画ばかり観ている身にはすこぶる快感。「だって哀川翔のVシネでしょー」と敬遠されてる方も多いだろうが、何処の世界の映画もゴミの山が高く降り積もっている所にこそ真に面白い作品が生まれることを思い出し、是非観ていただきたい。特に「あたしー、ミニシアター系しか観ませんでございまするわよ」とか

小沢仁志、加藤雅也、遠藤憲一、丹波哲郎、長門裕之ら錚々たる顔ぶれがゲスト出演している本作。きっと内容を知らなかったんでしょう。そんなゲスト陣以外にも、哀川翔や火野正平ら出演陣も豪華。彼らにしか出来ない表現法で、この作品を盛り上げている。中でも特筆すべきは、吉野きみ佳。もの凄く久しぶりにその姿を見たのだが、「え?こんなに色っぽかったっけ?」と驚く艶々っぷり。設定上から考えても全く脱がないことに不自然さは感じるものの、観ている最中はそこに全く気が付かないほど色っぽい。
“牛乳も出なけりゃ肉も不味い、そんなオバさんの私は実はオジさんなの”と乳牛の悲哀を歌うエンディング曲と、名古屋に対する“愛”以外の全ての感情が込められたこの作品に対する正当な評価として、★4つ。

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名古屋、本当にコーヒーにグラタンがついてきたんですか?あわわわわわわ・・・
そして、
>全くスタミナが衰えないまま150キロ近いフォークのみを投げて先発し完投したクルーン。つまり、観客はお手上げ&置いてけぼり。振っても当たらないのだから、ただただ「ほえぇぇ」とめくるめく“名古屋ワールド”に身を任せるしかない。
ここの文、最高です〜〜!!
よくぞ、うまいこと表現して下さいまして、もう笑い転げてしまいました!
>件(くだん)
そ、そうか!私としたことが、ついこないだ岩井志麻子で読んだばっかりだったのに、名古屋ワールドに完全にアタマをやられてしまったんでしょうか?
とにかく最高でした〜〜。
こんなに笑えて納得! 流石!
もう、例え様も表現のしようもない作品なので、こんな乱暴な文章に^^;
実際クルーンの球を間近で見たら、笑うことしか出来ないでしょうしw
多分“件”だと思うんですが、歌同様オスでしたねw
関西方面に多いんですよね、この伝説?
まぁ、名古屋では確かにグラタンがついてきましたよ。
どっちがメインだ???
いやぁ、あんま褒められると図に乗るのでホドホドに^^;