1991年 アメリカ映画 96分 ホラー 採点★★★
どうもここ最近、「なんで今更コレ?」って作品のレビューが続いているサブタレでございますが、別に狙っているわけではなく、単に近所に新しい中古ビデオ屋さんが出来たからってのが理由でございます。「うわぁ!アレもあるー!コレもあるー!」とはしゃいでる最中ですので、今後ちょくちょくこんな感じの作品が増えると思いますが、まぁ大目に見て頂けたらと。だって、楽しいんですもん。

【ストーリー】
異端審問の恐怖が国中を覆っていた15世紀のスペイン。そんな中、異教徒の疑いを掛けられた者は激しい拷問の末処刑されてしまう状況に不信を感じていたマリアは、とある異教徒の処刑の場で異を唱える。だがそれが大審問官トルケマダの目に止まってしまい、マリアは魔女の疑いを掛けられ投獄されてしまう。しかし、トルケマダがマリアを捕えたのには別の目的があり…。

チャールズ・バンドが率いるフル・ムーン・エンターテインメントが贈る、エドガー・アラン・ポーの“陥穽と振子”を映画化したゴシックホラー。メガホンを握るのは、『フロム・ビヨンド』のスチュアート・ゴードン。
スチュアート・ゴードンと言えば、『ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり』や『キャッスル・フリーク』など、全ての物を破壊しながら突き進むエログロ暴走特急のような演出が印象に残っている監督であるが、破壊的なのは案外その2本くらいで、大半は堅実な作りの職人的な映画作りをする作り手だったりも。本作もその職人仕事が光る一本で、自白をしなければするまで拷問をされ、「はいはい、私が魔女ですよ」と自白をすればしたで、「またまたー。拷問がイヤだから言ってるだけでしょ?」と更に拷問をされるという救いの無い状況と、一目惚れした人妻を手中に収めたいが為に魔女の烙印を押し牢獄に閉じ込める、性的不能者である大審問官の変態的愛の物語を上手く絡め、その異常な舞台が醸し出すエネルギーそのままに、コンパクトにまとめ上げた作品に仕上がっている。
時代の再現ってよりは予算の関係が最優先されたのであろうイタリアロケも雰囲気を上手く出しているし、異端審問の目的が政敵の排除など私利私欲の為になっていた状況もしっかりと押さえた手堅い一本に。

人妻を手に入れたくて悶々するトルケマダに扮しているのは、『弾突 DANTOTSU』『ニア・ダーク/月夜の出来事』のランス・ヘンリクセン。興奮し過ぎた自分を冷ます為に自ら鞭打たせたり、惚れた女の舌を切り取ったりともうド変態の役柄なのだが、ランスが演じると陰湿な変態ってよりは、堂々且つ力強い変態って感じで潔い。まぁ、私がランス・ヘンリクセンのファンだからそう思うのかも知れませんが。スキンヘッドに全く役に立たないシャンプーハットをくっつけたような髪型であろうがカッコ良く思えてしまうのも、きっとそうなのかも。当初はピーター・オトゥールを想定してたそうなんですが、それだとちょっぴり男色っぽい雰囲気が出て旦那の方に悶々する映画になっちゃうので、やっぱり本作はランスで正解。
その他、その肉感的な雰囲気がいやらしかったローナ・デ・リッチや、スチュアート・ゴードン映画ではもうお馴染のジェフリー・コムズ、これまたお馴染である監督の妻キャロリン・パーディ=ゴードンらが出演。また、かつての名声を武器に低予算映画にコツコツと出演していたオリヴァー・リードもワンシーンながら登場し、作品にほんのちょっぴり風格を与えてたりも。

告白する相手も仕方も全て間違ってるのは、童貞の哀しい定めなのか
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