1993年 アメリカ/フランス映画 113分 アクション 採点★★★★
断崖絶壁やら高層ビルの屋上やら何気に高所に張り巡らされたロープから落ちる夢をよく見ます。「なにおぅ!!」とか言ってしがみ付こうが、大抵落ちます百パー。なんですかね?落ちたいんですかね、私?どうせなら、しがみ付いて落ちるか落ちないかの瀬戸際で「さーて、来週の〜」とかになってくれれば、次の展開をじっくりと練れるんですが。
友人の恋人を山岳事故の救出途中で助けそこない死なせてしまったゲイブ。その心の傷も癒えぬままロッキー山脈を去った彼が、一年ぶりに戻ってくる。その頃、一億ドルの現金を強奪した武装集団が乗った飛行機がロッキー山脈に墜落。嘘の救出信号を信じてしまった救助隊員とゲイブが捕まってしまう。彼らの目的は、山中に散った現金の捜索だった。
元々は“ランボー”用に書かれたとも言われる脚本の映画化。神々しいとも言える山々を背景に、ネットやワイヤーで保護されているとはいえ、実際にその場で演技をしているという圧倒的な迫力に、まずやられる。“普段とてもじゃないが見れないモノを見せる”というのが映画の最も重要な原動力であることを考えると、その時点で既に木戸銭を払う価値あり。全てをCG処理で誤魔化し、奇抜ではあるが実存感のない昨今の映画にはない迫力だ。ワイヤーやネットを消すことを中心に使われたCG処理も、非常にまっとうな使い方。“現場に実際にいる”迫力には敵わないのだから。そのロケがあまりに素晴らしい分だけ、セットのどうしようもないほどのチャチさが目に付くのだが。コントのステージのようだ。
『カットスロート・アイランド』で自らのクビを切り落としてしまう前の絶頂期なだけあって、レニー・ハーリンの演出も得意の大爆発を押さえつつ好調。迫力をとことん追求した画面作りと、場所も考えず“洞窟にはコウモリ”などのお約束事もしっかりと踏んだ中学生男子悶絶の一本。足りないのはお色気だけ。まぁ、山ですから。
序盤からとんでもないトラウマを背負わされ、あとはずーっと泣きそうな顔をしているスタローン汁満載のこの作品。“筋肉映画の権化”として忌み嫌われるスタローンだが、筋肉にモノいわせる映画は思いのほか少なく、本作のように取りえが一つしかないお人好しの男が、我慢に我慢を重ねて不器用に頑張る物語で本領を発揮する。あくまで地なんだろうが、そこらにいるアンチャンをやらせれば、デ・ニーロより上手い。そんなスタローンが、非人間的な作品が続き人気も低迷し始めたことに気付き初心に帰るべく挑んだだけあって、スタローンの存在が充分に作品を底上げする結果となっている。
この作品の成功を持っても返り咲きを果たせなかったスタローンと、その後同様に落ちぶれるレニー・ハーリン。しかし、一番割を食ったはスタローンと対等に渡り合ったマイケル・ルーカーかも知れない。“(落ち目の)筋肉の相手役”のイメージが定着してしまったのか、シュワを追っかけてみたり、“マッスルナルシスト”ヴァン・ダムのヴァンダミングな世話を焼かされたりと散々。残るはセガールの相手役だ。合気道の達人らしいし。
河原でハム焼いてそうなイメージなので、山も似合います
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