1984年 アメリカ映画 93分 コメディ 採点★★★★
子供の頃こそ、滅多に食えないケーキは食べれるは、なんか知らんけどプレゼントは貰えるはでとっても待ち遠しかった誕生日ですが、今じゃもう気付かないまま過ぎ去って欲しい日に。年齢も若干広めの四捨五入で「0歳!」ってことにしてますし。そんな楽しみなんかじゃない誕生日ですが、ケーキは食べますよ。ケーキだけは楽しみ。だから、それだけは忘れないで欲しいなぁと。でも、ロウソクはいりませんよ。多過ぎて火事になりますし。

【ストーリー】
16歳の誕生日を迎えたサム。でも、家族は翌日に控えた姉の結婚式の準備に追われ、誕生日の事なんてすっかり忘れている様子。最悪の気分のまま学校へ向かえば、片想いの相手には相手にされず、変わり者に付きまとわられるはで更に落ち込むサム。家に帰っても、祖父母に部屋を取られ、謎の中国人留学生までいる始末。家にも居場所がないサムは、気晴らしに学校で行われているダンスパーティに出掛けるのだが…。

16歳という節目を迎えた若者の姿を描く、『恋しくて』『おじさんに気をつけろ!』のジョン・ヒューズ初メガホンとなるラブコメディ。
車の免許も取れるから年少者と一緒にスクールバスに乗らなくても済むようになるし、行動範囲も格段と広がる。その上パーティの機会も増える。そんな重要な節目を家族に忘れられてしまった主人公の一日を、ジョン・ヒューズらしい登場人物のど真ん中に立った目線で描く本作。家族に対し「あー!もうっ!」と苛立ちを感じる年頃の描き方が、本当に上手い。イライラがピークを迎えても何かドラマチックな展開があるわけでもなく、たださめざめと泣く事しか出来ない、大人の入口に立ったとはいえまだまだ子供である16歳の姿を、見事なまでに描いているなぁと。主人公の片想いが成就するまでというストーリーラインこそあるが、基本的には若者の日常を散文的に描いた本作。初監督という事もありまとまりの悪い印象も否めないが、その散らかり具合に騒々しく些細な事で一喜一憂したあの時代ってのが見事にハマってもいる。
「辛い事も多いが、それも含めてやっぱり好きだ!」という学園生活に向けた視線や、中流階級の出で特に目立たない主人公や煙たがられる変わり者、スポーツバカや金持ちにプロムクイーンらで構成される学園社会の描き方など、ジョン・ヒューズのスタイルが既に確立されている本作。特に、いくら煙たがられようが全くめげない凄まじい行動力を持つギークの姿は、この後のジョン・ヒューズ作品の中核を担うだけではなく、現在にまで脈々と続く青春コメディの原点でもあるのではと。まぁ、そんな小難しい理屈を述べるまでもなく、カジャグーグーで幕を開け、スパンダー・バレーにオインゴ・ボインゴ、トンプソン・ツインズにビリー・アイドルにワム!と来て、デヴィッド・ボウイまで流れる本作を嫌いになれるわけがないので、言わずもがなの高評価。

主人公のサムに扮しているのは、『ブレックファスト・クラブ』『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』のモリー・リングウォルド。決して美人ではないのだが、一旦意識し始めると心から離れなくなってしまう魅力を持つ彼女だけに、本作のような普通の悩みを持つ少女役が非常に似合う。そう言えば、ソフィー・マルソーやリー・トンプソンが日本の映画誌の表紙を飾っていた当時アメリカに短期留学に行ったんですが、ファッション誌からエンタメ誌から軒並み彼女を表紙にしていたのに驚いたもので。同世代の子たちはみんな彼女を模したファッションをしてましたし。彼女の熱烈なファンの事を、“リングレッツ”って言ってましたねぇ。
また、本作のもう一人の主人公であるギークに扮したのは、モリー・リングウォルド同様ジョン・ヒューズの一連の作品で一躍人気者となった、『ときめきサイエンス』『ランナウェイ/18才の標的』のアンソニー・マイケル・ホール。今ではすっかり厳つい男前になってしまったが、いまだに彼の名前を聞くと浮かぶイメージは、チビでガリガリの冴えない子のくせに全くめげない本作のイメージ。“歯の矯正”と聞いても、本作のイメージが浮かびますし。その見た目のイメージとは裏腹に、素行の悪さが度々取りざたされていた彼。そんな話題を耳にする度に、「ギークのくせに」と思ったもので。
その他、もうプリップリでひたすら可愛い『オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式』のジョン・キューザックや、『アニマル・ハウス』のジョン・ベルーシの如く物語には一切絡まず、ただひたすら笑いを生むことに集中する『ポイント・ブランク』のジョーン・キューザックにも注目。と言うか、全くこの二人から目が離せない。ところで、なんでしょ?この頃のジョンとジョーンの“もれなく付いてくる”感は?

ハンデは口数でカバーすれば良いってことを学んだ
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