1981年 日本映画 122分 時代劇 採点★★★★
「未練残してちゃ成仏できないよ」ってことらしいのですが、じゃぁ私ムリ。どう考えても無理だ。やり残しがあるから楽しいってのに。まぁでも、もうそんな事を言ってられる歳でもないんで、ちょっとは気に留めながら生きていこうかと。ジグソーパズルは必ず終わらせるとか。ジグソーやらないんですけど。
【ストーリー】
寛永十五年。徳川幕府によるキリスト教弾圧に端を発した島原の乱に於いて、天草四郎時貞は惨殺される。しかし無念により蘇った四郎は魔界と契約を結び、この世に未練を残し去った細川ガラシャや宮本武蔵らを蘇らせ幕府転覆を狙う。一方、魔界衆の企みを知った柳生十兵衛は、妖刀村正を手に立ち向かうのだが…。
山田風太郎による原作を、深作欣二が映画化した怪奇時代劇アクション。
天草四郎に宮本武蔵、槍使いとしてその名を轟かせた宝蔵院胤瞬と言った、一枚看板でも全然いける歴史上の名士らが魔界の衆となり、それに対し柳生十兵衛が立ち向かうという、設定だけでも胸が熱くなる本作。無論設定だけで終わるわけもなく、エロとバイオレンスが強烈に打ち出された娯楽作として、30年も経ってしまった今でも十分過ぎるほど楽しめる作品に仕上がっている。なんと言うか、映画が娯楽として成り立っていた頃の日本映画の底力を見た感じ。
登場人物とエピソード数が多い為か、宮本武蔵は自由にその辺をプラプラしているだけだったり、倒幕という一番大事な目的に対してさっぱり役に立ってないキャラがいるなど、映画の脚本として煮詰めの甘さはなきにしろあらずだが、炎燃え盛る屋敷内での一騎打ちに代表される迫力溢れるアクションシーンや、突然ジュリーと真田広之がキスをするセンセーショナルな展開など、冴えまくった深作演出がそんなことを気にさせないほどにカバー。ダレそうになったら、とりあえずオッパイが出ますし。それ重要。そう言えば、ラストに天草四郎が「いつの日か必ずや蘇るぞぅ!」みたいなこと言ってましたが、それって美輪さんの事なんですかねぇ?ということは、美輪さんは政府転覆を狙ってるってことなんでしょうか?頑張れ、美輪!
余談ではありますが、ビデオ版でもそうだったんですが、このDVDでも何箇所かセリフが消されている場面が。まぁ、言葉ってのは時代が進むにつれ変わっていきますし、普通に使ってた単語も差別用語になってしまう事は少なくないんですが、その時代を映し出している当時の表現をなかったことにしちゃうのはどうかと。どうしても気になるってのなら、一言但し書きを付ければ良いだけなんじゃないのかなぁと。歴史を事後修正してるのと変わらない気が。
天草四郎に扮しているのは、私の世代の人間であれば最低一曲くらいは彼の歌を空で歌えるであろう沢田研二。たとえ歌えなかったとしても、サビのハミングくらいは出来るはず。それも無理なら、一度は体育帽を斜めに被り放り投げた経験が。それもないんだったら、まぁ帰国子女だということに。戯言はさて置き、このジュリーの起用が、本作の成功を導いた要因の大きな一つ。本作の前に出演した『太陽を盗んだ男』での、しらけ世代を代表するかのようなスカシ具合もカッコ良かったのだが、本作でのグラムロックスター然としたゴージャス感漂うジュリーは、もういちいちカッコ良い。「アイ・キャン・フラーイ!」って飛んでった人が天草四郎に扮した最近のアレは観てないので一概に言えないんですが、“天草四郎”って響きから感じられる妖艶さが似合う役者ってのは、ジュリー以外にそうそういないんじゃないかと。
一方、十八番の柳生十兵衛に扮する千葉真一の、ジュリーとは正反対の熱さと圧力は圧巻。全てのセリフが濁音かのような力強い千葉真一と、クールにキメるジュリーとのコントラストがしっかりと効いて噛み合っていた事こそが、本作をここまで魅力的にした最大の要因。『太陽を盗んだ男』の菅原文太といい本作の千葉真一といい、ジュリーの相手役は“熱い”ってのが最低条件のようで。
この二人に大いに押されてしまってはいるものの、本作ではヒロイン的位置に居た『サンシャイン 2057』の真田広之や、戦う相手を探し求めるも、絶妙なタイミングですれ違う間の悪い宮本武蔵に扮した緒形拳、転生の理由の「息子と戦いたい」ってのに剣士としての男気を感じた柳生宗矩役の若山富三郎、結局作った刀は何の役にも立たなかった村正役の丹波哲郎など、キャラクター同様キャスティングも豪華ってのも魅力。その中でも、授業で細川ガラシャの名前が出る度に本作での裸体が頭に浮かんでしまい、勉強どころじゃなくなってしまった思い出がある佳那晃子が印象的。その節はお世話になりましたと、この場を借りてお礼を。
迷うことなく“ジュリー”と呼べるか否かが世代を分けるラインなのかも
↓↓お帰りの際にでもエロイムエッサイム↓↓
これからだけど…。
ジュリーは今後も全然大丈夫!
ただ、ジュリーを活かせる作り手がいないってのが問題のような気が^^;
リメイクされた魔界転生 麻生久美子目当てで見ましたが
山田風太郎の世界観には
ジュリーなんですよねえやはり
ちなみに キャストとか ストーリーとかが
里見八犬伝とごっちゃになっているもるです
幸薄顔好きとしては、麻生久美子が出てるのは大変魅力なんですが、きっと脱がない上に、「アイキャンフライ」を2時間観続ける自信が全くないんで観てないですねぇ。新しい方の。
>このDVDでも何箇所かセリフが消されている場面が。
って… 厭だなぁ… 所謂封印作品ならまだ何とか諦めもつくんですけどなまじ好きな作品でしかもそんなに古い作品でもないのに何故に…
どうも“気狂い”関連がNGなようですねぇ。“きちがい”を変換しても出てこないってことを、今気付きましたし。以前ビデオで観た時よりも然程気にならなかったので上手く修正してるんでしょうが、そんなもの“一部不適切な表現がございますが〜”と冒頭にテロップ入れれば良いだけなのに、その代わり“古いから状態が悪い個所が〜”とテロップを入れてるあたりに、保存状態のせいにして逃げようとする隠蔽体質が見え隠れしてすげぇイヤだなぁと。