1996年 アメリカ映画 136分 アクション 採点★★★★
ハンス・ジマーの楽曲って、ワーグナーと同じような印象を受けますよねぇ。無闇やたらに気分を高揚させると言うか、ある意味押し付けがましいと言うか。確かに感動的なシーンには感動的な音楽が欠かせないんですが、相乗効果として盛り上げてるのと、脳を興奮させる化学作用で盛り上がってるような気になるのとでは全く意味合いが異なると思うんですが、どうにもその辺がゴッチャになってるような気も。

【ストーリー】
国防省の仕打ちに堪忍袋の緒が切れたハメル准将は、忠実な部下らと共に盗みだしたVXガスミサイルと人質を盾とし、アルカトラズ島に立て篭もり1億ドルを要求する。この事態に対応するため、化学兵器処理班のグッドスピードと唯一アルカトラズから脱獄を成功させた元英国諜報部員のメイソンが駆り出され、精鋭部隊シールズと共に島内へと潜入するのだが…。

ジャンクフードばかり食べてると身体に悪いってことは重々承知しているが、ジャンクフードにはジャンクフードの魅力があるんだって事を声を大にして叫びたい気分になる、マイケル・ベイらしさの良く出た一本。良い方の“らしさ”が。
いつも通り過剰添加気味の音楽とスピーディなカット割りで描かれる、国家に対し業を煮やした男たちが立ち上がる序盤の盛り上がりが半端ない本作。その盛り上がりと勢いは劇中衰えることなく、何処で何が起こっているのか分かりにくいシッチャカメッチャカなアクションシーンですら、がんがん乗り越えていく力強さ。確かに、軸が不安定なので結局何がしたいのか分からないキャラクターが居たり、前のシーンとの繋がりがいい加減なせいか、雰囲気を重視し過ぎたせいかセリフや行動と展開が上手く合わず「この人バカなの?」と思ってしまう事も少なくないが、それすらもウヤムヤに出来ちゃうんだから、もうアッパレと言わざるを得ない。
また、全編クライマックスのような緩急の全くない演出で描きながらも、中だるみすることなく2時間越えの長尺を乗り切っているのも見事。まぁ正直なところ、単調な演出には比較的早い段階で飽きてしまうのだが、錚々たる顔ぶれの役者陣がその辺を存分にカバーし、その相乗効果もあって盛り上がりっ放しで終わる作品に仕上げたとも。

主人公のグッドスピードには『キック・アス』のニコラス・ケイジが扮しているが、主役ながらもどちらかと言えば三枚目の引き立て役って印象が。そんな印象を受けてしまうのも、老獪な元諜報部員に扮した『オリエント急行殺人事件』のショーン・コネリーと、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のエド・ハリスが素晴らしいから。特にエド・ハリスのカッコ良さは尋常じゃなく、化学兵器を盗み出して国を脅すというバカげた計画ですら、なんかやれてしまいそうな気がするほど。
また、真っ直ぐな感じが全面に出たマイケル・ビーンや、クセはあるけど根はイイ奴って感じが良く出た『ハロウィン』のウィリアム・フォーサイス、“みんなの友達”っぽい『16ブロック』のデヴィッド・モースら、役者そのものの雰囲気を上手く使ったと言うか、頼ったキャスティングも魅力。
その他にも、『追撃者』のジョン・C・マッギンレーや、『ミステリー・メン』のクレア・フォーラニ、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀』のトニー・トッドに、まだまだ駆け出しだった『アウトランダー』のジェームズ・カヴィーゼルと言った錚々たる顔ぶれが揃っているのも嬉しい。そんな贅沢さに★ひとつおまけで。

シールズが現れた時点で脅迫失敗に気付いてもいい気が
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