2011年06月19日

僕の大切な人と、そのクソガキ (Cyrus)

監督 ジェイ・デュプラス/マーク・デュプラス 主演 ジョン・C・ライリー
2010年 アメリカ映画 91分 ドラマ 採点★★★

男ってのは、基本誰でもマザコンだと思うんですよねぇ。もう、マザコン度数がゼロって男なんて存在しないんじゃないかと思えるほど、マザコンが初期装備。もちろんその度数には個人差があるでしょうし、生まれつき高いレベルのマザコン度数を持つ男ってのも少ないとは思うんですけど。やっぱり、極度なマザコンに仕上げてしまうのは、その母親なんだろうなぁと。

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【ストーリー】
妻との離婚以降、なにかと塞ぎ込みがちで新しい出会いからも距離を置いていたジョン。そんなある日、元妻とその婚約者が主催するパーティーに無理やり駆り出されたジョンは、そこでモリーという女性と出会い深い関係に。モリーとの間に特別な絆を感じたジョンは彼女の家に出向くが、そこにはサイラスという二十歳を超えたモリーの息子がいて…。

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新しい恋人に結構な歳の息子がいたってだけでも正直若干引いてしまうというのに、そいつが極度なマザコンの上に、ジョナ・ヒルだったりするからスッゲェ嫌だって感じのコメディドラマ。監督はジェイ&マークのデュプラス兄弟で、製作総指揮にリドリー・スコットとトニー・スコット兄弟が名を連ねる、兄弟づくしの一本。
ママに新しい恋人が出来るのが嫌な子供(得てしてチビッコ)に翻弄されるって題材はコメディとして多く作られているものだし、キャストもジャド・アパトー一連の作品でお馴染の顔ぶれが揃っている本作。そんな外枠こそコメディの定番のような作品だが、蓋を開けてみれば“もしポール・グリーングラスやガス・ヴァン・サントがコメディを撮ったらどうなるか?”という実験結果を見せられたかのような、一風変わった一本に。
やたらと緊迫感漂う重々しい演出はコメディとしてはどうかと思うが、出て来るや否や尋常じゃない雰囲気を醸し出すサイラスが、新しい出会いに浮かれるジョンにとっては重たすぎる存在であることを表す分には、概ね功を奏しているのかと。その高い知性と極度な幼稚さを併せ持つサイラスの奇妙な言動にばかり目が行きがちだが、事ある毎に元妻に泣きつくジョンもある意味相当なマザコンで、そんな二人のマザコンとムスコンのモリーが、愛する者の幸せの為に払わなければならない犠牲に気付いていく物語は結構興味深い。
中盤までは演出と物語が噛み合っているとは言い難いのだが、サイラスの行為がジョンのみならず他者にまで及ぶ、コメディとして収まらなくなってしまってからは演出と展開が噛み合い始め、俄然面白くなってくる本作。ただ、サイラスをジョンが突き放した所でブツっと終われば後々まで尾を引く強烈な作品になったのであろうが、結局そんな雰囲気を漂わせながらも最も安全な地点に軟着陸してしまうのは、商業映画としては仕方がないのかなぁと。それと、他人の動きに連動してカメラが不安定に動いたり、なにかとズームをするドキュメンタリータッチのカメラワークは、別に観客が“目撃者”になる必要がない本作に於いては、正直鬱陶しいだけだなぁってのがマイナスで。

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史上最高の曲としてヒューマン・リーグの“愛の残り火”を挙げちゃうあたりが、人としておおよそ嫌いになれそうにないジョンに扮しているのは、『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』『タラデガ・ナイト オーバルの狼』のジョン・C・ライリー。性格だけはとても良いと言うか、せめて性格だけでも良くないと居た堪れないったりゃありゃしないって顔立ちが、優しいけど打たれ弱く、正直者だが多少口八丁で、何よりも過去にあまりモテた経験がなさそうなジョン役をやらせるにはピッタリのキャスティング。
一方、彼女の家のドアを開けて中に居たら、とりあえず黙って一旦ドアを閉めてしまうであろうサイラスに扮しているのは、『メガマインド』『ウソから始まる恋と仕事の成功術』のジョナ・ヒル。矢継ぎ早に下ネタを発するわけでも不満や怒りをぶちまけるわけでもない、いつもと丸っきり違うキャラクターを演じているようにも見えるが、そういった物を全て内側に溜め込んだ、根っこの部分では共通しているサイラスを鬼気迫る雰囲気を漂わせ好演。喋ってる分にはまだ安心出来るが、黙りこくった途端に怖くなるジョー・ペシみたいな感じ。元々その体型も売りである彼だが、本作では正直太り過ぎているのがちょっと心配。
また、出会い頭に「アラ、良いチ○ポ♪」と、“男だったら一度は言われてみたいセリフランキング”で上位に入るであろう一言で登場するモリーに扮しているのが、『レスラー』『いとこのビニー』のマリサ・トメイ。時の流れは感じさせるものの、その可愛らしさには一片の陰りもなく、たとえコブ付きのコブがジョナ・ヒルであっても頑張ってみようかなぁと思わせるだけの魅力を十分に発揮。ある意味、マリサ・トメイだったからこそ成立しえた作品であるとも。
その他、『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』『40歳の童貞男』のキャサリン・キーナーや、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』『ぼくたちの奉仕活動』のマット・ウォルシュといった、コメディらしからぬ本作にコメディっぽさを漂わせた顔ぶれも魅力で。

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全てはお母さん次第

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posted by たお at 02:29 | Comment(2) | TrackBack(5) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>尋常じゃない雰囲気を醸し出すサイラス
良くある“恋のライバルはマザコン息子”というコメディの枠を食み出した、サイラスのホラー感が凄かったです。

>全てはお母さん次第
再婚するって時でも、元夫ジョンの甘えを許す元妻。
もっと突き放してたら、ジョンはもっと早く次の相手に巡り会えていたかも?
Posted by 哀生龍 at 2011年07月09日 23:42
哀生龍さま、こんにちは〜♪
コメディの枠組みながらも、演出は丸っきりサイコホラーでしたねぇ。とにかくジョナ・ヒルが怖い。。。
>もっと突き放してたら、ジョンはもっと早く次の相手に巡り会えていたかも?
結局二人のマザコンと二人のムスコンという、問題山積の登場人物なんですよねぇ。
Posted by たお at 2011年07月10日 11:22
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