2011年06月17日

恋しくて (Some Kind of Wonderful)

監督 ハワード・ドゥイッチ 主演 エリック・ストルツ
1987年 アメリカ映画 95分 ラブロマンス 採点★★★★

人の魅力って、見た目はもちろんのこと、その人がどんなものを好きなのかで大きく変動する事がありますよねぇ。「へぇ、こういうのが好きなんだぁ」という意外性が更なる魅力に繋がる一方、「ふーん、こういう男が好きなんだぁ」と異性の好みで幻滅したりも。まぁ、ひがみもなきにしろあらずではありますが。なにはともあれ、幻滅される原因の男にならないよう気を付けなきゃなんないですねぇ。

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【ストーリー】
絵が好きでクラスでも目立つ存在ではないキースは、学園の中でも一際目を引く美少女アマンダに一目惚れ。意を決してデートを申し込むと、金持ちの御曹司だが浮気性の彼氏にウンザリしていたアマンダはデートを承諾。大いにはしゃぐキースだったが、そんなキースに対し秘かに想いを寄せ続けていた男勝りの幼馴染ワッツの心中は穏やかじゃなく…。

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幼馴染に恋心を寄せる切ない片想いの物語と楽しくも辛い学園生活を見事に描き切った、ジョン・ヒューズらしい青春ラブストーリー。監督は、この数年後にリー・トンプソンをモノにする『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』のハワード・ドゥイッチ。チッ…
“AとBは親友同士でAはCに御執心。でもBはAに想いを寄せていて…”という、青春恋物語の王道を突き進む本作。その王道ならではの安定感は心地良く、素直に「いいなぁ」と思ってしまうことこの上なし。もちろん敷かれたレールの上にあぐらをかいているわけではなく、キースに切ない片想いを寄せるワッツの穏やかじゃない心中を表したリアクションの数々を、その思いが伝わる詳細さと可愛らしさで描いているのも素晴らしい。このワッツのキャラクターを魅力的に描き、その心の中を手に取るように分かるように描けたからこそ、ワッツの想いにキースが気付く一見唐突なシーンも、キースの帰りを待つワッツの表情一つで、これまでのワッツの言動がキースの中で一つの答えに一瞬で結びつくという名シーンになったのではと。その後の短い会話のやり取りも、非常に上手い出来でしたし。
恋物語としてだけではなく、学園物語としても非常に良く出来ているのも本作の特徴。金持ちとジョックスによる支配が覆る事の無い学園生活を描きながらも、その世界の中でいくら強がっていても大人に怒られれば漏れなくシュンとなる、所詮子供は子供でしかない限界と現実を描く本作。その現実を描いているからこそ、大人へとまた一歩近づく進学を間近に控えた登場人物らの子供なりに足掻く様が、等身大の地に足がシッカリ付いた姿として映ることとなったのでは。ギークにトムボーイにジョックスワナビー娘といった主要の三人に、不良も含めて様々なランクの子供たちを漏れることなくすくい上げるジョン・ヒューズらしい優しさに溢れた本作。楽しかった事より辛かった事の方が多かったけど、それでも学校が好きだったって思いが非常に良く伝わる一本で。
因みに、リー・トンプソン扮するアマンダ・ジョーンズの役名は、劇中でも流れるローリング・ストーンズのアルバム“ビトウィーン・ザ・バトンズ”に収録された“ミス・アマンダ・ジョーンズ”から。もちろん、キースは“キース・リチャーズ”で、ワッツは“チャーリー・ワッツ”から。ミックとかロンとかブライアンとかは登場せず。

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ある意味鈍感にも程があるキースに扮しているのは、『ザ・フライ2/二世誕生』『ゴッド・アーミー/悪の天使』のエリック・ストルツ。力にものを言わせる事は決してない線の細さとは裏腹に、一度決めた事は何があっても揺るぐ事はない一途な眼差しと、基本几帳面だが意外な所がズボラだったりしそうな感じも含め、キース役にピッタリのキャスティング。なんと言うか、レコードはアルファベット順に並べてないと気が済まないが、靴は穴が開いてても平気みたいな。
一方、本作の立役者であるワッツに扮したのは、最近めっきり映画では見なくなってしまった『世にも不思議なアメージング・ストーリー』のメアリー・スチュアート・マスターソン。自分の想いを伝えてキースとのこれまでの関係が壊れてしまうのも嫌だが、伝えないままキースが他の女性に行ってしまうのも嫌だという複雑な内面を持つワッツを好演。特に、ラストで見せる不安と安堵と哀しみの入り混じった切ない表情は絶品。あれでキュンとこない男子は、どっかで精密検査を受けてみてはと。NASAとか。たぶん、勝気さと可愛らしさが混在したワッツの魅力って、あの大胆なショートカットにあるんだろうなぁと。私のようなショートカット好きには堪らないキャラだったんですが、それももちろんシャープな顔立ちの彼女だからこそ似合ったもの。それでも、当時は果敢にあの髪型に挑戦した女子の方々も多かったんでしょうねぇ。で、鏡の前で愕然となる。でもまぁ、挑戦するってのはいい事ですよ。もちろんこれは、フォロー。
また、損な役回りである上に、その後が一番大変そうなアマンダ役には、『若き勇者たち』『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』のリー・トンプソン。誰もが憧れる女性役としてはちょっと親しみやす過ぎる気がするし、ファンとしては持ち味の親しみやすさが逆に発揮し切れていない感じもして当時から物足りなかったのだが、相手があのメアリー・スチュアート・マスターソンじゃぁ致し方なし。
その他、劇中で唯一良い所が見当たらない憎まれ役に扮する『ミディアン』のクレイグ・シェイファーや、非常に美味しい役回りだった『ディフェンドー 闇の仕事人』のイライアス・コティーズ、大人の象徴として立ちはだかる『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のジョン・アシュトンに、TV“フルハウス”のキャンディス・キャメロン・ブレなど、魅力的な顔ぶれが揃ってるのも嬉しい一本。
男勝りなワッツといかにも女子なアマンダという、両極端な女子が出てくる本作。個人的には個性的で気の強い女性が好きなんで断然ワッツだし、案外世の男子もそんなもんだろうなぁと思ってたんですが、相変わらず人気があるのは女子女子した、もう記号めいた女子だったりするんですよねぇ。そんなんじゃ、つまらんだろうに。

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ある意味、ワッツとアマンダを天秤に掛けれるんだから、とんでもない果報者

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posted by たお at 15:45 | Comment(3) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久しぶりです! Mスチュワートマスタースンが一番素敵だだったのも この映画
ショートカット好きもあり
当時夢中になりました

その後 髪を伸ばされ

何かストレートの髪のキレイな子が
突然微妙にイケてないパーマを
かけてきたときに似た思いがありました

そう
北の国から 初恋 の

横山めぐみ

みたいなもんでしょうか
Posted by もる at 2011年06月21日 01:03
書き忘れ

イライアス コーディスが

ちょっと好きになれた

唯一の映画でもあります
Posted by もる at 2011年06月21日 01:05
もる様、こんにちはー!
これでのショートは、ショートカット好きには堪らない魅力を発揮してましたよねぇ。確かに彼女は若干顔が面長なので、ロングにしちゃうと顔の長さばかりが強調されちゃうかもしれないですねぇ^^;
本作のイライアス・コティーズは、『ブレックファスト・クラブ』のジャド的位置付けなんですが、本当にイイ奴っぷりが素敵で。
Posted by たお at 2011年06月21日 15:14
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