2007年 香港映画 87分 アクション 採点★★★
今も昔もアクション映画ってのは数多く作られてますけど、“アクションも出来るスター”こそ増えましたが“アクションスター”ってのはめっきり少なくなりましたねぇ。で、“アクションも出来るスター”と“アクションスター”の違いってなんだろうと漠然と考えてみると、劇中で強く見えるという当たり前のことは双方共通してるとして、スクリーンの外でも本当に強いんじゃないかって思わせる説得力の有無なんじゃないのかなぁと。なんと言うか、ジェイソン・ボーンと葉問はいい戦いを繰り広げそうだけど、マット・デイモンとドニー・イェンじゃ話にならないみたいな。

【ストーリー】
返還を目前に控えた香港。正義感が強過ぎるあまり犯人に過度な暴行をしてしまうマー刑事は、ベトナム人三兄弟によって組織される犯罪グループを追っていた。組織に潜入していたマーの相棒ウィルソン刑事の働きもあり、組織の長兄を裁判にかける事に成功したが、他の兄弟が次々と証人を殺していき、ウィルソンにもその魔の手が迫っていた…。

『イップ・マン 葉問』『SPL/狼よ静かに死ね』のウィルソン・イップ&ドニー・イェンコンビで贈るポリスアクション。
ストーリー部分のほとんどをルイス・クーに任せドニーさんはひたすら暴れまわるという、全体的に若干チグハグな印象も覚える本作。ただ、やられ役とやり返し役がハッキリしている為か、“いつドニーさんの怒りの導火線に火が点くか?”とワクワクする一方で、火が点いたら点いたで収まる事のないドニーさんの暴れっぷりにハラハラするという、独特な面白味が生まれる結果に。
組みついてから相手を引き倒し腕挫十字固を決める柔術ベースの戦い方や、サッと背後に回り込んでジャーマンを決めたりと、カンフーのみならずバリエーション豊かな格闘スタイルを披露し、そのどれもが非常に高いレベルに達していることに驚きの声を上げてしまう本作。確実に相手の動きを止める事を目的とした実用的な格闘術ながらも、きちんと“見せる”工夫が施されているのも、このコンビだったら当然の事なのかもしれないが、やはり流石と。

『イップ・マン 葉問』では穏やかな表情で人格者を演じていたドニーさんですが、全身から二枚目オーラを力ずくで発しながら、鬼の形相で暴れまわる本作のようなドニーさんの方がやっぱり好き。あのでっかいサングラス姿も、似合う似合わないを通り越して、ドニーさんだから納得してしまうって力強さが好き。そんな“自分大好き”っぷりも含めて、ちょっと鍛えればリング上でもいい試合を繰り広げるんじゃないのかと思わせてくれる、非常に貴重なアクションスターだなぁと。
一方、ストーリー部分をほとんど丸投げされ、ひたすら酷い目に遭い続けるだけだったウィルソンに扮しているのは、『コネクテッド』『柔道龍虎房』のルイス・クー。もう、なんとも居た堪れない役柄ではあったのだが、その居た堪れなさが似合うんだからしょうがない。
その他、『SPIRIT スピリット』のコリン・チョウや、烏龍茶のCMでも印象的だったファン・ビンビンなども出演。それにしても、誕生日を一人で過ごしたくないルイス・クーが、片っ端に知り合いに電話するも断られ、最後に電話してやっと来てくれたのがファン・ビンビンって、レベルが高過ぎるんじゃないのかと。私だったら、ファン・ビンビン一本で電話し続けますが。

何で10年前の設定なんだろ?
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方向性は違えども、トニー・ジャーの存在にドニーさんが反応したってのは、とっても興味深い背景ですねぇ。若干意味合いは違うと思うんですが、小川の登場に橋本が反応したみたいな。やっぱりなんか違う気がしますが^^;
ファン・ビンビン 一本釣りコメントに
激しく同意したので そのごあいさつ
選択肢の一番最後にファン・ビンビンがいるってのは、贅沢にも程がありますよねぇ。なにか出来れば避けたい理由でもあるんでしょうかねぇ?スッゲェ臭いとか。