2010年 アメリカ映画 114分 コメディ 採点★★★
“悪気がない”とか“自覚がない”バカってのは最強ですよねぇ。注意したところで何で怒られているのか理解出来ない上に、本人は良い事をしたと信じてるんで逆に怒り始めちゃったりしますし。そうすると話も噛み合わなくなってきて、仕舞いにはなんかどんどん怖くなってきてこっちから折れる。関わらなければいいだけなんですが、向こうからやって来ることしばしばなんで逃げられない。うわぁ、怖い。
【ストーリー】
念願だった出世のチャンスを遂に掴んだティムは、社長から晩餐会へ招待される。しかしその晩餐会は、参加者が各々変わり者を連れて来て、皆で笑い飛ばすという悪趣味なものだった。恋人にも参加を反対され気が進まないティムだったが、車の事故をきっかけに出会ったバリーがとんでもない変わり者で…。
「へぇ、フランス語で“バカ”のことを“コン”って言うんだぁ」と感心した以外は、ほとんど記憶の片隅へ追いやってしまっている『奇人たちの晩餐会』を、『ミート・ザ・ペアレンツ2』のジェイ・ローチがリメイクしたコメディ。別につまらなかったから追いやったわけではなく、無神経さが生み出すトラブルの数々がなんとも怖くて怖くて。なんと言うか、ジェイソンにはクリスタル湖に近づきさえしなければ出会うことはないが、バカは向こうからやって来てしまうみたいな怖さ。
タイプ的には苦手なジャンルではあるものの、ポール・ラッドも出ているしってんで手に取った一本。主人公を晩餐会の主催者から嫌々参加する参加者へ変更したことで、ハリウッドらしいソフトランディングを見せる本作。良かれと思って行うバリーの行動の数々が、ティムの生活の全てを破壊していく様は相変わらず怖くてしょうがないのだが、ティム自身に悪趣味の傾向がない為に、二人の交流がスムーズに進んで安心してハッピーエンドを迎えられる作りになっている。まぁ逆に、全く悪趣味じゃないティムが、たった一つの嘘のせいで散々な目に遭わされてるっても言えるので、笑う以前に恐怖を感じる事多々ありましたが。
口が達者で男性よりも女性受けが良く、若干の偏屈さとハメを外せない生真面目さを持つティムに扮しているのは、こんな役をやらせたら右に出る者はいない『40男のバージンロード』『ぼくたちの奉仕活動』のポール・ラッド。本作でもその持ち味を活かし、恋人と釣り合う為に背伸びをしようとする可愛い役どころを好演。若干話しはズレるが、ポール・ラッドの傑作の数々が尽く劇場未公開で、ビデオ屋の片隅に工夫なく投げ置かれている現状が気になる所。
一方、ティムの生活を徹底的に破壊するだけに収まらず、結果的に会社を倒産させ多くの失業者を生み出す凄まじいまでの破壊力を持つ変わり者に扮するのは、『デート&ナイト』『エバン・オールマイティ』のスティーヴ・カレル。絶妙にズレた発言とリアクションで大いに笑わせてもらったが、やってる事はやっぱり怖い。
その他、着実に苦手なタイプのコメディアンになりつつある気がする『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』のザック・ガリフィナーキスや、相変わらず冷淡な男前ぶりが似合う『ダブル・ジョパディー』のブルース・グリーンウッド、酒の席での過ちって感じがひしひしと伝わった『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のルーシー・パンチに、てっきりジェイソン・シーゲルだと思っちゃった『パイレーツ・ロック』のクリス・オダウドらの好演も光っていたが、ティムの恋人に扮したステファニー・ショスタクの、小動物のような可愛らしさが魅力的だったなぁと。
ある種、通り魔
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