1983年 アメリカ映画 117分 コメディ 採点★★★★
「宝くじ当たったら何しよーかなー?」と、買いもしてない宝くじ当選の夢を妄想するのが結構好きな私。「家を建て替えしてぇ、本格的なホームシアターも作ってぇ…あ!スタジオも作りてぇなぁ。で、好きなものだけ集めたお店も趣味で作ってぇ…」と、夢だけを膨らませているんですが、全部叶えるには1〜2回一等が当たったぐらいじゃ全然足りない事に気が付いて、一気に夢が醒める。
【ストーリー】
大会社の経営陣の一人として何不自由のない生活を送る白人のルイスと、口だけは達者な貧しい黒人のビリー。ある日彼らは、ルイスの会社の会長兄弟のちょっとした好奇心を満たすためだけに、全ての環境を入れ変えられてしまう。どん底に落ち自暴自棄になったルイスと、突如金持ちになったビリー。しかし、事の真相を知ったビリーは、ルイスと手を組み会長兄弟に仕返しをすることになるのだが…。
『トワイライトゾーン/超次元の体験』『狼男アメリカン』のジョン・ランディスが、ダン・エイクロイドとエディ・マーフィを主演に迎え作り上げた、“王様と乞食”の現代版と言うよりは、“Black and White”という当初のタイトルにもある通り、黒人と白人の問題にギャグを盛り込みつつ結構深く切り込んだ痛快コメディ。
“人を成すのは素質が環境か?”の疑問を基に、使用人以外の黒人がほとんど見当たらない中世の貴族社会を再構築したかのような白人社会に暮らす主人公を、これでもかってほどとことんどん底へと落とし込み、その一方で貧しい黒人に貴族的生活を送らせる本作。現実社会の厳しさや、黒人の目から見た白人社会のおかしさを浮き彫りにしていく物語なのだが、上げるにしろ下げるにしろ、そのとことんっぷりに全く遠慮がない凄まじさが見事。ここまでやればコントラストも自ずと効いてくるわけで、それによって締め括りも痛快な物語全体に大きな面白さが生まれている。
その物語自体の面白さのみならず、役者の個性がしっかりと活かされた魅力的なキャラクターの数々や、群衆をまるでダンスの振り付けをするが如くコントロールする、全盛期にあったジョン・ランディスの凄味すら感じさせる演出も相まって、ケチの付けようがない面白い作品に仕上がっている。この面白過ぎる作品が、こっちの地方では『ウォー・ゲーム』と同時上映で観れたんだよなぁと、久々に劇場に足を運ぼうと思うも、とても魅力的とは思えぬラインナップが並ぶ上映スケジュールを眺めながら、ついついぼやいてしまった今日でしたとさ。
主人公のルイスに扮するのは、『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』のダン・エイクロイド。ツルンとした育ちの良さそうな風貌と若干鼻にかかったテキパキとした喋りが、ボンボンの代表格のようなルイスにピッタリ。場面場面で微妙にキャラを変え使い分けるその芸の細かさに、当時若干30歳にして安心して任せられるコメディアンとしての貫禄すら感じるほど。
そのルイスと正反対のキャラとして登場するビリーに扮するのは、映画出演2作目になる『アイ・スパイ』のエディ・マーフィ。もう、既に向かうところ敵なしの天才的な冴えを見せるエディ。“マシンガン・トーク”ってのが冠に付けられてたエディだが、間の取り方の絶妙さや変幻自在かつ笑いの破壊力満点のキャラ芸など、トーク以外の部分でも天才的な腕を見せている。ダン・エイクロイドも、「スゲェの現れたなぁ」と驚いたことでしょうに。
その他、本作以降再び脚光を浴びたドン・アメチーにラルフ・ベラミーの大御所らや、英国人独特の気品を絡めた笑いの間が絶品であったデンホルム・エリオット、初めて劇場でこれを観た時に「エッ!?ジョン!?」とドキっとさせられたジェームズ・ベルーシ、ボー・ディドリーにアル・フランケンにお馴染のフランク・オズと、隅々目を離せない顔ぶれが揃った本作だが、やはり一番の注目は『ワンダとダイヤと優しい奴ら』のジェイミー・リー・カーティス。『ハロウィン』でネガティヴな意味で記憶に残ったあの残念な感じは何処に行ったのかと思えるほど、あっけらかんとしたチャーミングでセクシーな女性を好演。「こんなにスタイル良かったんだ!?」と、誰しもが驚いたのではと。“みにくいアヒルの子”って、あながち嘘じゃないんだなぁ。
やっぱり環境だよなぁ
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