1974年 アメリカ映画 100分 アクション 採点★★★★★
映画は、設定が有り得なければ有り得ない程面白い。もちろん、その“有り得ない”物語に説得力を持たせるだけの力があり、目の前で具象化された時に限りますが。有り得ない話を丸投げされても困るだけですし。
【ストーリー】
ニューヨークの地下鉄が4人の男にハイジャックされる。彼らの要求は、身代金100万ドル。タイムリミットは1時間。出口のない地下トンネルの中で、ハイジャック犯はどう動くのか?警察は?
あと10年早く生まれてれば、劇場でコレ観れたのに。
地下鉄をハイジャック。出口も進路も決まっている乗り物をハイジャックするというアイディアから、もう奇抜。後年『レザボア・ドッグス』でも採用された、色の名前で呼び合う同じ扮装をしたハイジャック犯たちが巧みに完全犯罪を目論む様は、何度観ても釘付けにされる。ウォルター・マッソーを地下鉄公安部の主人公に設定してあるので、ヒーローに絶対的な安心感が生まれず、市長を始め警察の面々までもがグダグダな為、犯罪者に圧倒的に分があり非常にスリリング。コミカルな警察側のストーリーと、緊張感溢れる地下鉄内のストーリーは対比もバランスも良く、序盤から非常にスピーディに物語も展開するので、ワンカットたりとも退屈なシーンがない。発想・脚本・演出・配役、どれをとっても不満のない娯楽映画の傑作と断言。
一つのアイディアに頼るだけではなく、犯行グループ内に不穏分子を入れ、人質の中に誰も知らない私服警官を配置することで、時限爆弾的サスペンスも高めてある。非常に至れり尽くせり。刑事コロンボかのように飄々としたウォルター・マッソーが、ふとしたきっかけでピンとくるラストシーンは、わかっていてもニヤリとする最高の幕引き。飛行機で子供がいなくなる映画も、これくらいの説得力が欲しかったものだ。
ウォルター・マッソーとロバート・ショウが脂の乗り切った名演を見せてくれるが、二人とも亡くなってしまったのは残念な限り。出演者の中に、芸風・顔つき・髪型・身長ともに、当ブログでお馴染みのベン・スティラーを彷彿させる俳優がいますが、やはり血筋。父親のジェリー・スティラーだ。遠目で見ると生き写しなので、フラットパックファンはお楽しみに。
昨今のリメイク事情から考えれば、以前TV用にリメイクされているとはいえ、いずれ間違いなくリメイクされるであろう本作。配役以外はワンシーンたりとも違わない作りが安全策であろうが、それはそれでつまらんので、お手並み拝見ということで。
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ジョセフ・サージェント監督の作品の中では
地球爆破作戦
ザ・マン/大統領の椅子(TVムービー)
サブウェイ・パニック
アメリカを震撼させた夜(TVムービー)
が印象に残っています。やはり70年代の人ですね。
ウォルター・マッソーもこの時期はこの手の作品に挑戦していた頃で、
マシンガン・パニック
突破口!
ホップスコッチ
これら7作品のうち6作品が日本でDVD化されていません。、、、、どうにかして欲しいものです。良作ばかりですから。
「手堅い」ってのが適切な演出ながらも、オフビートな隙間も用意しているのが何年経っても面白い要因でしょうか。
今後もDVD化は難しいでしょうが、ブルーレイに期待を。
ハリウッドのリメイクにはうんざりという話は自分のブログにも何度か書いているんですが、あの『ワイルドバンチ』ですらリメイクが決定しているくらいですので、これもリメイクされるでしょうね。
リメイクといえば、『特攻大作戦』もどうやらされるみたいですが、あれだけの顔ぶれの代わりなんているはずがないのに・・・。
この映画、ラストのオチがほんとに最高ですよね。こういうニヤリとするラストが最近はないですね。
身の程知らずのリメイク産業ですが、『特攻大作戦』あたりはいっそのことピクサーあたりでアニメにした方が面白くなるのではと思ったり。
これめっさ面白かったです。
余分なものもなく、説得力でそのありえない展開を納得させるだけの力強さもある。
ザ・コアとはえらい違い(^o^;
ホント、無駄なし・隙なしの傑作ですよねー。拾う場所を完全に履き違えたザ・コアとかいう映画と大違いでございます。