1982年 アメリカ映画 92分 アクション 採点★★★
えてしてシリーズ作って、一作目のヒットにあやかろうっていう、ビジネスとしては堅実ですけど志としては低い作品が主流なんで、一作目の面白さを期待しちゃうと肩透かしを食らう場合が多いですよねぇ。でも、そんな志の低い作品でも、ゴール地点のハードルを思いっきり下げて開き直っちゃった物だと、案外楽しめちゃうことも。『ロボコップ』に対する『ロボコップ3』みたいに。まぁ、アレは決して褒められる作品ではないんですけど。
【ストーリー】
ニューヨークを離れ、ロサンゼルスで平和に暮らすポール・カージー。しかし、街の不良に家政婦と愛娘を殺されてしまい、彼は復讐の為に再度銃に手を伸ばすのだが…。
復讐や自警の是非を問うた『狼よさらば』の続編。監督は引き続きマイケル・ウィナーが。
復讐が動機だったはずが、犯人そっちのけで若者狩りに勤しんでいる内に殺しそのものに悦びを感じ始めてしまう主人公と、標的が犯罪者であるとは言え、殺人者であることには変わりのない主人公の行為に喝采を浴びせる大衆の姿を皮肉めいた視線で描いた前作とは打って変わって、復讐の行為に的を絞った本作。その行為を正当化したい為か、犠牲者が暴行される様を徹底的に描いているのも特徴的。
ただまぁ、連れ去られた娘の安否も分からない事件直後から主人公は殺しに行く気満々で、そこに至るまでの溜めや感情の爆発が全くないのはどうにも。それが敢えて狙ったものであれば「ほう!」となるのだが、どうもそんな感じは微塵もせず。主人公の障害となるのも、主人公は娘を殺されたばかりだというのに「今度いつ会えるのー?」と場違いな浮かれっぷりを見せる恋人だってのも、随分とアレな印象を。まぁ、舞台が東海岸から西海岸に移ったというのに違いがあんまり感じられないなど、その辺のざっくりとした感じは泥臭い娯楽映画を作らせたら右に出る者はいない、メナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスのキャノン・フィルムらしい味わいで。その思いっきりハードルを下げたざっくり感のおかげで、老人がせっせと若者狩りに勤しむ“デス・ウィッシュ”シリーズが生まれたんだから、そこは功績として挙げといた方が良いのかなぁと。「ペッペケテトテト」と「ビュワワワーン」の組合せで成立している、ジミー・ペイジによるサントラも印象的でしたし。
ポール・カージーに扮するのは、もちろん前作に引き続いてチャールズ・ブロンソン。もう初っ端から既に殺しの達人の域に達している今回のブロンソンなので、そのイメージの効果も相まって、威勢の良い若者を手際良く殺していく様に全くの違和感なし。今も昔も還暦周辺の人間が一番元気が良い。まぁ、ブロンソンの場合は70過ぎてもこの調子だったんですけど。
また、恋人役には、イーストウッド映画におけるソンドラ・ロックのように、この時期のブロンソン映画にはもれなく付いてきていた愛妻ジル・アイアランド。役柄的には、不幸のどん底に居るはずの恋人を気遣うどころか会えない事ばかりを気にする自分本位な上に、恋人が犯人だと知った途端に真偽を確かめようともせず逃げ去る、なんとも残念なキャラクターではあるんですが、出演場面の大半がイチャイチャしているだけという色々と実益を兼ねたキャスティングなんでしょうから、まぁしょうがない。
その他、前作から引き続き登場するヴィンセント・ガーディニアや、本作以降一線から退いちゃった娘役のロビン・シャーウッド、『エイリアン・ネイション』のケヴィン・メイジャー・ハワードらが若干印象に残るが、今となっては『プレデターズ』のローレンス・フィッシュバーンがチンピラ役で出演してるってのが、一番の注目ポイントなのかも。
まずは殺す動機が欲しい
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