ＳＰＬ／狼よ静かに死ね (殺破狼)

監督　ウィルソン・イップ　主演　ドニー・イェン
2005年　香港映画　93分　アクション　採点★★★

サモ・ハンって、いつの間に“キン・ポー”がなくなっちゃったんですか？キー・ホイ・クァンがジョナサン・キーになっちゃったようなもんなんでしょうか？

【ストーリー】
脳腫瘍により余命幾ばくもないチャン刑事は、暗黒街のボス、ポーの逮捕に執念を燃やす。チャンとその部下達の法もいとわない暴走ぶりに、チャンの後任として赴任したマー刑事は戸惑いを隠せないが、ポーの放った殺し屋により部下達が次々と命を落としていき、遂にマーはポーと正面からぶつかっていく。



『男たちの挽歌』以降押され気味なカンフー勢が叩き付ける、肉体のアクション表現の極点とも言える一本。まともなセリフのある女性が一人しかいないストイックな“男社会”を舞台に、リアルヒッティングを信条とするサモハン相手にドニー・イェンが挑む。
巨悪を捕らえるが為に自ら冥府道を突き進む刑事達の男気と、自らの業ゆえに無間地獄へと堕ちてしまうマーのやるせない物語が、深く胸を打つ。悪行の限りを尽くしながら誰よりも家族を愛するマーと、正義をまっとうしようとするあまり愛を得ることの出来ない刑事達の対比が、このやるせない物語をより一層際立たせている。
で、この現在の香港映画界のお家芸とも言えるフィルムノワールに、カンフーのブレンドを試みた本作であるが、あまり上手く噛み合ってはいない。どちらのレベルも高すぎるゆえに、両極端な印象を覚えてしまうのだ。贅沢な不満ではありますが。



ものすごく久しぶりに観たサモ・ハン。体型も変わらないが、アクションのキレも全く変わっていないのには驚いた。ドニー・イェンとの対決で見せる打撃・関節技・締め技の応酬は見ごたえ抜群。みるみる腫れあがっていくドニーの顔は、メイクじゃないんじゃないか？
40歳を過ぎても肌のツヤも画面から醸し出されるナルシストの香りも、全く衰えることを知らないドニー・イェン。トレードマークの無影脚も健在。ウー・ジン戦で見せるスピードとキレと緊迫感は、ここ数年で観たアクションの中では最も興奮した一戦であった。
俗に言う洋画ファンから敬遠されがちな香港映画。ストーリー、クォリティー共にハリウッドと肩を並べ、または凌駕する作品も少なくはない。ダメな映画が多いのはハリウッドとなんら変わらないのだし、もうちょっと皆に観てもらいたいなぁと、本作には関係ないが一言書いてみた。


人を想う気持ちが、ぎぅぎぅ

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Comments

　これすげえ面白かったですね。香港アクションのことは全然詳しくないのですがドニー・イェンのアクションは鳥肌モノでした。公開から３ヶ月でＤＶＤが出るあたり冷たい扱いを受けてますね。ということでＴＢありがとうございました。

Posted by nappa at 2006年07月08日 06:56

nappa様こんばんは!!
敬遠というか、侮られがちな香港映画ですが、ヘタなハリウッド作品よりも遥かにクォリティーの高い作品が多いのが魅力的。もっと多くの人に観てもらいたいものです。鍛錬によって磨き上げられた肉体アクションは、名優による名演と同じ扱いをするべきなのですから。どうしようもないのも多いですが、“カンフー＝Ｂ級”という認識はなんとか捨ててもらいたいものですね。

Posted by たお at 2006年07月08日 21:27

はじめまして。
この映画に関しては好評な記事ばかりが目立ち、俺の鑑賞眼にはよっぽど問題があるのか。」と、ここ数日自分を呪っていました（笑）
「あ、ようやく自分に近い記事見つけた。」ということで、思わずTBとコメントを。

香港映画全般に関するお考えにも非常に共感を覚えます。常々「香港映画にしては・・・」などというレビューに腹立たしさを感じています。

是非相互リンクをお願いしたいのですが、その前に当方のブログにお立ち寄りください。なるべく正直に（言いたい放題）を書くようにしていますので、一度お読みいただければ大変幸せです。

Posted by junec461 at 2006年07月10日 16:11

junec461様はじめまして！
私もあくまで自分の好みを主観に書いてますので、人とずれることはいつものことでｗ
香港映画に限ったことではないのですが、せっかく面白い映画があるんだから「みんな観てー」って気持ちで紹介してるだけで＾＾；
相互の件も踏まえ、後ほどゆっくり伺わせていただきます♪

Posted by たお at 2006年07月11日 02:52

　ＴＢありがとうございます！「香港映画」は子供のころから好きでジャッキー・チェンは今でも好きな俳優の一人です。
　しかしウー・ジンやドニー・イェン、サモ・ハン。久々にアクションで鳥肌が立った。いつになってもカンフーはいいなぁ、と感じました。
　

Posted by meso at 2007年01月30日 23:04

meso様こんばんは！
アクションの凄まじさは鳥肌もんでしたねぇ。もうちょっとストーリーとかみ合ってればとも思いましたが、それでも充分に満足ゆくものでした！

Posted by たお at 2007年02月01日 01:57