1995年 カナダ/アメリカ/日本映画 108分 SF 採点★★★
小学生になる私の娘は、他人や物との距離をイマイチ上手く掴めてないせいか、突如腕を振り上げたり予想外のUターンをキメたりして、結構なダメージを周囲に。それを注意しようにも、話をしている最中にプイっと背を向けその場から離れようとし、後ろに居た弟に激突。弟くん号泣。もう、ちょっとした兵器ですねぇ。それも、制御不能な。

【ストーリー】
2068年、惑星シリウス。貴重な鉱石から発せられる放射能が原因で、採掘を強行する企業NEBと労働者と科学者で組織される連合軍との間で勃発した戦争が長期化する中、連合軍司令官ヘンドリクソンのもとに企業側から停戦の申し出が送られてくる。地中を自在に駆け回る自軍の殺戮マシーン“スクリーマー”をかいくぐりながらNEB基地に辿り着いたヘンドリクソンらだったが、スクリーマーは自らを改良し凄まじい進化を遂げており…。

『トータル・リコール』などでも知られるフィリップ・K・ディックの短編“変種第二号”を映像化したSF。
敵を殲滅する為に投入した機械が自ら改良を続け、どんどん人間に近づいて行った結果、投入した方も見分けがつかなくなってしまうという、非常にディックらしい物語が面白い本作。事実、数あるディック映画の中でも、最もディックっぽい雰囲気を楽しめる作品でも。
“人間を殺す”という目的に特化し、油断を誘う負傷兵や子供の姿へと進化するスクリーマー。最も無害に思えるいたいけな子供の姿をしたスクリーマーが、甲高い叫び声を挙げながら大挙する姿は非常に恐ろしい。本来嘘をつかない筈の機械が、騙すことで効率良く人間を狩れることを学び、嘘を中心に進化をした結果感情まで生まれ、外見のみならず内面までも人間と同様となるという本作の物語自体の魅力は、クリスチャン・デュゲイのマッタリ演出をもってしても失せる事はない。画面に映っていない間の出来事も含め、時系列で整理しようとするとワケ分かんなくなる脚本ではあるんですが、この辺のストーリーテリングの面白さは、『スペースバンパイア』のダン・オバノンの功績なんだろうなぁと。贅沢を言えば、あまりにも人間とスクリーマーの見分けがつかないから、自分もどっちなのか疑心暗鬼になっちゃうというディックっぽさを、もうひと押ししても良かったかなぁとも。

主人公に扮するのは、『ロボコップ』のピーター・ウェラー。肉付きが良くなったせいか、若干てっぺんが寂しくなってきたせいか、ヘルメットを取った時のロボコップみたいになっちゃってましたが、正統派ではないヒネたヒーロー役は相変わらずハマる。最近めっきり姿を見ませんが、TVを中心にちょこちょこ監督も手掛けているようで。案外近い将来、映画監督としてその名を見る機会が増えたりするんでしょうねぇ。それはそれで楽しみ。
そう言えば、本作もそうなんですけど、一時期日本の企業(特に放送局)がこぞって外国映画製作に乗り出した時期がありましたねぇ。まぁ、映画製作自体が博打みたいなもんなんで仕方がないんですけど、それでもあんまりな作品にばかり関わってたような感じも。今も昔も、映画に対する金の使い方が上手とは言えないのが残念ですねぇ。

進歩が早過ぎて、お年寄りはついていけない
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