2009年 アメリカ/イギリス/スペイン/イタリア映画 92分 サスペンス 採点★★
サブタレをしばらく休んでいて久々に再開した頃は、すっかりと書き方を忘れてしまい、昔のレビューを読み返しながら「こんな感じに書くんだっけかなぁ?」と模倣と確認をしながら書いていたんですよねぇ。おかげでさっぱり調子が戻らず、書いていても全然楽しくなかったんですが、最近はもう考えるのもやめて思ったまま書くようにしております。ちょっと楽しくなってきた。

【ストーリー】
イタリアのトリノで、外国人の美女ばかりを狙った連続誘拐殺人事件が発生。モデルのセリーヌも殺人犯の毒牙にかかり、行方不明となってしまう。セリーヌの姉リンダは、猟奇殺人事件専門のエンツォ警部と共に犯人捜しを始めるのだが…。

簡単に“ジャーロ(ジャッロ)”の説明から。イタリア語で“黄色”を意味する言葉だが、かつてイタリアの出版社が推理小説を黄色い表紙のペーパーバックで発売していたことから由来する、ある種のジャンル名として使用されている言葉。概ねミステリー映画で使われるが、タイプ的には“誰が犯人か?”って推理物よりは、“どうやって殺したか?”を中心に残虐な殺害手口をこれでもかってほど見せるタイプの作品に使用。『歓びの毒牙』とか『サスペリアPART2』など、ダリオ・アルジェントが本来得意としているジャンルでも。
そんな自分の原点でもあるジャンル名をタイトルに冠した、『トラウマ/鮮血の叫び』のダリオ・アルジェントによる本作なのだが、なんともビックリするくらい元気がない。この間の『サスペリア・テルザ 最後の魔女』も、まるでホラーの作り方を忘れてしまった人間が思い出しながら手探りで作っている、なんと言うか老人のリハビリみたいな感じが気になったのだが、今回は更に生気すら感じられぬ枯れた作りに。ショットにやり過ぎるまでの工夫や、物語を破綻させるまでのエネルギーはなく、殺人鬼と同一化する変態性も垣間見られない。性欲がすっかりと減退しちゃったのか、ヌメっとした性的なエネルギーが感じられない。拘束した美女を前に興奮した視線ではなく、「けしからん!けしからん!」と御立腹の老人のような視線すら。アルジェントは一生変態だと思っていただけに、この枯れっぷりに大いに驚いた。

主役のエンツォ警部に扮するのは、『プレデターズ』『ジャケット』のエイドリアン・ブロディ。因みに、クレジットで殺人鬼役になっている“Byron Diedra”は、エイドリアン・ブロディのアナグラム。まぁ、いくらメイクをしててもあの特徴ある顔立ちは隠せてないんですけど。それにしても、いつものアルジェントだったら、同じ役者に刑事役と殺人鬼役をやらせるだけの意味を、それこそ力ずくのこじつけであっても表現してくれてたのになぁと。
その他に、老けこんだエリシャ・カスバートみたいになってた『フランティック』のエマニュエル・セニエや、『沈黙の脱獄』のロバート・ミアノ、『サスペリア・テルザ 最後の魔女』にも出てたような気がするサト・オーイなどが出演しているが、特に印象に残らず。強いて言えば、『ライフ・アクアティック』にも出演しているタイヨウ・ヤマウチが若干印象的。彼自身じゃなく、彼が働いているって設定の魚屋に立てかけられた“オレのための魚”って看板が。売ってはくれないんでしょうか?

変なシーンが多かったことすら印象に残らず
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