1986年 アメリカ映画 95分 ホラー 採点★★★★
東北の片田舎でこじんまりと暮らしていると、稀に会う関西の方がなんか外国人みたいに感じてしまう事が。もうなんか、色々と圧倒されちゃって。そう言えば、昔ひとりで関西の方へ旅行した時も、言葉こそ辛うじて通じるけど、なんとも外国に迷い込んでしまったかのような感覚を覚えましたねぇ。でもきっと、関西の方が東北に来ても、そこまで驚いたりはしないんでしょうねぇ。
【ストーリー】
かつて甥を電動ノコギリ食人一家に殺された元テキサスレンジャーのレフティは、十数年に渡ってその食人一家を探し続けていた。一方、地元ラジオ局のDJであるストレッチは、局に電話を掛けてきた若者が通話中に惨殺される模様をテープに録音していた。新聞でレフティのことを知ったストレッチはテープを持って彼のもとを訪ね、共に食人一家を追うことになるのだが…。
言わずと知れた『悪魔のいけにえ』から、12年振りに製作された続編。前作については言わずと知れてるので、今回は言わず。監督は引き続き、『スペースバンパイア』のトビー・フーパー。気合の入った特殊メイクを見せてくれるのが、『クリープショー』のトム・サヴィーニ。
考えてみれば、タイトルである“テキサス電動ノコギリ大虐殺”の中で、最も重要な言葉は“電動ノコギリ”でも“大虐殺”でもなく、やっぱり“テキサス”なんだと思うんですよねぇ。もう、テキサスが全て。そのテキサスってのをお隣のオクラホマに変えると、もう別物。ペンシルバニアでもアイダホでもダメ。“岡山電動ノコギリ大虐殺”にするとちょっとしっくりきますが、淫靡でジトっとした感じがやっぱり違う。逆に、古いタイトルでちょっとアレですが、『めぐり逢えたら』の原題である“Sleepless in Seattle”は、シアトルの持つ都会と自然が調和した穏やかなイメージが湧いてくるんですけど、そこをテキサスに変えると、ほらもう血生臭い。メグ・ライアンなんて、絶対出てこない。
そもそも、近所に電ノコ食人一家が居るよって言われても「またまたまた〜」となってしまうが、テキサスに居るって言われると「なんか、居そうだなぁ…」と思えてしまうそのイメージが重要。常識と思ってたことが通用しないというか、どっかネジが緩んでしまってるような。そんなアメリカの中にある外国のようなテキサスに対するイメージが、ガッツリと濃縮状態で放り込まれた本作。ゴア描写も豊富なギャグも常識から確実にズレ、会話が全く噛み合わない食人一家はもちろんのこと、登場人物の全てにどこか狂ったものを感じさせる。きっとこれからもテキサスに出向くことはないと思うんですが、これさえあればテキサスに行った気に勝手になれる、自分の中でのテキサス聖典として好きな作品。まぁ、テキサスの人は御立腹でしょうけど。
主人公であるレフティに扮するのは、昨年惜しくも亡くなられてしまった『狼の街』のデニス・ホッパー。主人公とは言いつつも特に物語に絡むわけでもなく、ひたすら周囲を電動ノコギリで破壊することにご執心で、ただただヒロインを窮地に陥らせるだけという狂いっぷりを見せる。まぁ、本作を象徴する狂いっぷりを見せるって意味では、まごうことなく主人公ではと。また、ヒロインであるストレッチには、トビー・フーパー好きであるロブ・ゾンビの『ハロウィン II』にも顔を出していたキャロライン・ウィリアムズが。印象的には、電ノコ並みに騒いでいたなぁと。
ただやっぱり本作の顔と言えば、レザーフェイスを筆頭とした食人一家の面々。アグレッシブな腰の動きとは裏腹に、童貞臭さを露呈するレザーフェイスはコミックリリーフに回ってる印象が強いが、前作に続いて出演するジム・シードウ扮するコックの、一家の中では一番の常識人だがその常識がズレているから一番性質が悪い怖さや、チョップ・トップ役が相当お気に召したのか、マイスペースもブログもホームページもチョップ・トップ一色である、『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』のビル・モーズリイの暴走振りも凄い。ホント、もう凄い。これだけ気合を入れたのにもかかわらず、後のシリーズ作にビル・モーズリイ本人はもちろんのこと、チョップ・トップも登場しないことにはきっと御立腹なことでしょうけど、それに代わるキャラクターにキャスティングされたのがヴィゴ・モーテンセンにマシュー・マコノヒーなんだから、それはそれで誇りに思っても良いのかなぁと。まぁ、またチョップ・トップが出来ればいいね!
テキサス (こちらはイメージ画像となります)
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しかしまぁ本作、トビー・フパー作品には珍しいコメディですよね。初観ん時には『スペース・バンパイア』の後だっただけに南下モヤモヤとした気持ちになりましたが観直してみると独特な味わいが好みの一品になりました。もぅ一回くらいこういう作品を作ってもらいたいもんですわ〜
すっかり干されてた状態からの一気に復活しましたからねぇ、86年を機に。
前作の悪魔のいけにえでも、結構独特なテキサスギャグを放り込んでいたフーパーですから、案外元々この手のギャグ志向にある人なんでしょうねぇ。どぎつい色使いなんかも結構好きなんで、ホントもう一回こういうの作って欲しいですねぇ。