1983年 日本映画 135分 アニメ 採点★★★
眠りに落ちる前のひと時や暇な時は、妄想して時間をやり過ごすのが楽しいですよねぇ。私なんかもう、“ゾンビだらけの世界!”“実はオレ○○!”って妄想を何十年も楽しんでますし。まぁ、空想の世界で楽しむことは無害ですし悪い事じゃないと思うんですが、時折そこから抜け出せなくなってしまう方々も現れるようですから要注意なんですけど。
【ストーリー】
平凡な高校生、東丈の前に、サイオニクス戦士ルナとサイボーグ戦士ベガが現れる。彼らから、地球が宇宙の彼方から襲い来る混沌と破壊の権化“幻魔”によって滅ぼされようとしている事、自分が幻魔と戦うサイオニクス戦士であることを知らされる。各国のサイオニクス戦士らと幻魔に立ち向かう丈であったが…。
平井和正と石ノ森章太郎による原作を大友克洋がキャラクターデザインをし、『銀河鉄道999』のりんたろうがメガホンを握った、角川アニメ映画第一弾。
原作を知らないままレビューを書くと言う相変わらずの姿勢なので的外れになるかも知れないが、それでも2時間越えランニングタイムに収めるには随分と無理がある事だけはひしひしと伝わってくる本作。バタバタとクライマックスになだれ込む様からも、ダイジェスト版というか見所紹介の番組を観ているかのような印象すら。しかしながら、感情移入させるキャラクターを絞り込み、クライマックスをバタバタさせてまでもその主人公の誕生までに多くの時間を割いた取捨選択と時間配分は、あながち間違いではないのでは。それにより、“実はオレ超能力戦士”“美人で凄まじいまでに優しいお姉さんと二人暮らし”“しかも声はメーテル”といった男子の大好物要素が際立ち、キース・エマーソンの音楽をバックにサイオニクス戦士が飛び交うクライマックスに大きな興奮を感じさせることに。最先端の根元に古きものが佇んでいるような感覚を味わえる、都心の片隅での生活描写も緻密に描き込まれているのも素晴らしい。
ただまぁ、当時は特に感じなかったし、映画に罪はないんですが、“宇宙意識との交信”やら“愛こそ全て”やら“マイナスエネルギーに対抗するプラスエネルギー”など劇中繰り返されるアレコレが、どうにもスピリチャル臭い。座禅を組んでクルクル回りながら浮遊するラストなど、「これはなんかの教団のプロモなのか!?」と思えてしまうほど、スピリチャル臭プンプン。もちろんスピリチャル志向が悪いわけじゃないんですが、それに傾倒した一部の方々が巻き起こした数多の出来事を思い出してしまうのも事実で、なんとも居心地が悪い。作品を観る目が変わってしまうような行動は差し控えて欲しいなぁと、一映画ファンからの願いをつぶやいておしまい。
彼らはあなたじゃない
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あぁ、確かに『メガフォース』観たさに行ったらそれより面白かった『コブラ』も、マンガからアニメへ移行していく転換期の作品ですねぇ。本作も非常に手が込んでるし、本気度合いも凄いものがあるんですが、アッチ方面に繋がっちゃった感じが否めず。。。映画のせいじゃないんでしょうけどねぇ。