デュー・デート 〜出産まであと５日！史上最悪のアメリカ横断〜 (Due Date)

監督　トッド・フィリップス　主演　ロバート・ダウニー・Ｊｒ
2010年　アメリカ映画　95分　コメディ　採点★★

“合わない人”ってのは、言ってる事が自分の考え方と違うってだけじゃなく、行動のリズムやパターンすら合わず、それが直接的だったり間接的に害をもたらして来やがる場合が多いんですよねぇ。巡り合わせそのものが合わない。なんと言うか、買おうと思ってた肉まんの最後の一個を、そいつが目の前で買っちゃうみたいな。で、そいつには自覚が全くない。全力を挙げて関わらないってのが、一番の策ですよねぇ。



【ストーリー】
建築家のピーターは、妻の出産に立ち会うため仕事先のアトランタからロサンゼルスへと向かう飛行機に乗り込む。しかしそこに居合わせたイーサンのおかげでテロリスト扱いされ、身分証も財布もないまま搭乗拒否されてしまう。帰る術を失ってしまったピーターは、已む無くイーサンと旅を共にするのだが、イーサンはとんだ疫病神で…。



『ハングオーバー！　消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』『スタスキー＆ハッチ』のトッド・フィリップスによる、疫病神災難コメディ。
『大災難P.T.A.』と同様の状況のみならず、チャーリー・シーンとジョン・クライヤーが最後に顔を出したりと、ジョン・ヒューズへの意識がハッキリと見える本作。“ハーパー★ボーイズ”をネタとして使いたかったってよりも、やっぱりジョン・ヒューズへの意識。ただ、ドラマそのものや、出会いを通しての変化などを描いてるのではなく、劇中の出来事を観客が同時に体験する体感型の作りではあるので、作り手の狙いはそもそも別なようにも。イーサンがなんであんなにも厄介者なのか、風貌と言動以外に隠されてる物が何もないので、“実は愛すべき人物”ってよりは“災厄そのもの”って感じですし。主人公も、この旅を通してそれなりの人間的成長は見せるが、それは他人との交流から得た成長ってよりは、過酷な体験そのものから得た成長なのではと。なんと言うか、家畜運搬トラックの荷台に乗って旅をしたことによって得た成長は、臭いに耐えた過酷な経験から得たんであって、豚との交流から得たんじゃないみたいな。
そうなると、矢継ぎ早に起こるイベントを楽しめるかどうか、キャラが好きかどうかに掛かってくるんですが、生憎どちらにもノレず。旅を共にするための仕掛けの動機も、キャラ設定を差し引いても弱過ぎますし。なまじ好きな映画がチラチラしてしまうってのも大きいんですが、もう一度この作品を観る機会があるのなら、その時間で『大災難P.T.A.』を観たいなぁと。



ご愁傷様としか言いようのない主人公に扮するのは、『アイアンマン２』『シャーロック・ホームズ』のロバート・ダウニー・Ｊｒ。キレやすく偏屈な部分も持つ主人公にはピッタリの役者だが、作品的にちょっと重い印象が。トッド・フィリップスの作品にしては絵が重いと感じてしまった本作ですが、意図した重さなのか役者が生んだムードなのかは若干判別付かず。
一方、疫病神としてナチュラルな才能を発揮するイーサンには、『ハングオーバー！　消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のザック・ガリフィーナキス。もうピッタリ。ただ、風貌頼みの役柄を立て続けに観てしまったので、他にどんな事が出来るのかって方に興味が。
その他、『Ｍ：ｉ：ＩＩＩ』のミシェル・モナハンに、『ローラーガールズ・ダイアリー』のジュリエット・ルイス、『バレンタインデー』のジェイミー・フォックスや、『ファンボーイズ』のダニー・マクブライドらといった顔ぶれが、隠し玉的に登場。監督自身も登場してますが、作品によって見せる作風だけじゃなく顔つきもハロルド・ライミスっぽいなぁと。


何で怒られてるのか分かってない奴ほど腹立たしい奴はいない

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Comments

>何で怒られてるのか分かってない奴ほど腹立たしい奴はいない

同感です。

Posted by KGR at 2011年05月04日 17:04

KGR様、こんばんは！
分かってないから、逆に怒り始めたりもする。。。

Posted by たお at 2011年05月04日 18:01

>家畜運搬トラックの荷台に乗って旅をしたこと
鋭い喩えで、今回もまた笑ってしまいました。
しいて違いを言えば、トラックの荷台からは自分の意思で降りることも可能ですが、イーサンの場合は、自分の意思で離れても何故か向こうから再び現れると言う恐ろしさが・・・

Posted by 哀生龍 at 2011年05月05日 13:16

哀生龍さま、こんにちは〜♪
一緒にいるってのが第一の目的なんで、非常に性質が悪いんですよねぇ。。。

Posted by たお at 2011年05月05日 16:03

イーサン、困った人でしたね〜(^^;)
　大分前に　「大災難〜」を観たときは素直に笑えた覚えがあるんですが、こっちの映画では逆に腹立たしさが募るばかりでした（笑）　イーサンに悪気がないのはわかるけど、どうも好きになれませんでした〜。

Posted by りら at 2011年05月06日 22:09

りら様、こんにちは〜♪
悪気がないからこそ、尚更性質が悪いんですよねぇ。言っても治らない。。。

Posted by たお at 2011年05月07日 17:40