2009年 アメリカ映画 106分 ホラー 採点★★★
同じテーマを繰り返し扱ったり、題材問わず同一の主張が込められてたりする事を“作家性”って言ったりしますが、“作家性”と“マンネリ”の違いって何なんでしょうねぇ。面白かったら“作家性”で、つまんなかったら“マンネリ”?
【ストーリー】
ハロウィンの夜に起きた連続殺人事件の後、殺人鬼にとどめを刺したローリーは病院に運ばれ、殺人鬼マイケル・マイヤーズの遺体は安置所へと送られる。しかし、運搬中に車が事故を起こし、遺体は忽然と姿を消してしまう。1年後のハロウィン。事件のトラウマに悩まされるローリーの前に、再びマイケルが姿を現し…。
マイケル・マイヤーズが明確に実体を持った時点で、オリジナルとは丸っきり別物となった『ハロウィン』の続編を、ロブ・ゾンビが再び脚本と監督を担当して描いたバイオレンスホラー。
オリジナル版風に言うなら、“Rob Zombie's Halloween II”に仕上がった本作。暴力そのものが生み出す恐怖と、それがもたらす結果をまざまざと見せつける強烈な描写で彩られる中、家族の集結に取付かれた殺人鬼の姿を描いた、まさにロブ・ゾンビらしい一本。前作で既にカーペンターの物とは別なものになった以上は、本作もオリジナルの作品として評価するのが筋かと。ただ、オリジナルの作品として評価しても、正直厳しい印象が残る。
現実と幻覚の狭間を歩く殺人鬼と、その家族への執着、敬愛するトビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』遊びなと、やりたい事を盛り込んだはいいが扱いきれず、無理やりこじつけた感が非常に強い。鍵を握るはずの幻想描写など、完全に手に負えてないようにも見受けられる。ジェフリー・ダーマーら大物殺人鬼とレザー・フェイス、マイケル・マイヤーズを同列に並べたかった気持ちも分からなくないし、家族の絆というテーマを強めたかったのも理解できるが、ロブ・ゾンビの脳内だけで完結してしまってる印象が。
『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』以降、“家族”をキーワードに驚かされる作品を連発したロブ・ゾンビだが、さすがに今回はマンネリと作家性の間をウロウロしてしまったようにも。ただ、自分のルーツに非常に忠実な監督ではあるので、この軸のブレなさは充分評価すべき。魔女を扱う次回作“The Lords of Salem”も、すごく楽しみにしてますし。
子供の頃のマイケルが随分と毒気の抜けた子役に変更された以外は、ほぼ前作から引き続いたキャスティングの施された本作。前作では可愛いだけだったスカウト・テイラー=コンプトンは男前度が増し、タイラー・メインは相変わらずデカい。
著作の売込みに忙しいエゴ丸出しの役柄となった『ザ・ウォーカー』のマルコム・マクダウェルや、普段滅多に見る事のない“娘思いの父親”役に『トラウマ/鮮血の叫び』のブラッド・ドゥーリフなど、キャラクターにも若干の膨らませが施されている。
もちろん、嫁のシェリ・ムーン・ゾンビも登場。ただ今回は、痩せ過ぎのせいか顔がちょっと三日月で残念。また、後期ハロウィンシリーズの看板娘だった『ラスト・ボーイスカウト』のダニエル・ハリスや、どうせ被せられたマスクを剥ぐシーンがあるならこの人にやって欲しかった、『悪魔のいけにえ2』のキャロライン・ウィリアムズ、『スーパーマン』のヒロインとして脚光を浴びるも、ホームレスにまで至るその後の転落っぷりが凄まじ過ぎるマーゴット・キダーなど、ロブ・ゾンビらしいキャスティングが楽しめた本作。その相変わらずのマニアっぷりと、やっぱりカッコ良いテーマ曲に、★ひとつオマケ。
キャンディはくれそうにない
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先日はコメントありがとうございました(^_^)
確かにロブ・ゾンビそのもののハロウィンオリジナルとして観ても良い評価はし難い内容になってます。
マイケル・マイヤーズのキャラそのものを活かしきれていない事が最大のマイナスポイントに繋がっている要素にしか思えません。
まだマーダー・ライド・ショーの続編を製作してくれてた方が良かったな〜と厳しい事を言ってみたりします(・∀・;)
出来の良し悪しは別にしても、ロブ・ゾンビが描こうとしたハロウィンは前作で完結してるんですよねぇ。今回はそこにもう一回戻ってこねくり回そうとしてるんで、もうてんでチグハグに。。。