1988年 アメリカ映画 108分 コメディ 採点★★★★
ペットの名前を付けるのが、うちの両親はどうにも苦手なようで。私が生まれてから今まで飼った犬三匹の名前は、全て“シロ”。どう見ても茶色いのも含めて。それ以前に飼った二匹の犬は、どれも“クロ”。唯一残っている白黒写真を見ても、黒っぽくはない。まぁ、私も猫に“でんすけ”やら“ハクサイ”やらと名前を付けているので、その辺はしっかりと遺伝されているようですが。
【ストーリー】
四人組の強盗が宝石店より1300万ポンド相当のダイヤを強奪。仲間のタレコミでリーダーのジョージが逮捕されるが、ダイヤの行方はジョージのみが知っており、ワンダはジョージの弁護士に色仕掛けで近づくが…。
ワンダ (ジェイミー・リー・カーティス)
強盗団の紅一点。抜群のプロポーションとお色気で、野郎共を手玉に取る。外国語を聞くと発情する。その際の外国語は、料理名でも可。
オットー (ケヴィン・クライン)
自称イタリア人の殺し屋。発するイタリア語は、どれもチーズや街の名前。ヒツジ並の知能指数しかないくせに、“バカ”と言われるともの凄く怒る。ちょっとでも話が長くなると、途中をキレイに聞き落とす。小難しい哲学の本を愛読しているが、“読む”と“理解する”は別だということを力強く納得させてくれる。
ケン (マイケル・ペリン)
人間相手だと、どもる。魚なら平気。ワンダに恋心を抱いており、ペットの魚に“ワンダ”と名づける。動物をこよなく愛しているのに、事件の目撃者の老婆を暗殺しようとする度に、老婆の愛犬ばかり殺してしまい傷心の日々。
アーチー (ジョン・クリーズ)
ジョージの弁護士。典型的なイギリス人で、礼儀を重んじるばかりに息苦しい毎日を送っている。資産家の妻にも娘にも相手にされず、人生そのものが倦怠期。変な歩き方を真剣に論じたり、秘密兵器を作ったりしないかと期待させるが、それは違う映画。
ジョージ (トム・ジョージソン)
強盗団のリーダー。さっさと捕まっちゃうので、どんな人なのか…。ケンのことしか信用していないようですが。
云わずと知れた“モンティ・パイソン”のジョン・クリーズが、主演・脚本・共同監督を務めた忘れがたいコメディの一本。名優のマイケル・ペリンも参加。毒気は若干薄めだが(それでも犬はゴロゴロ死ぬ)、人間という生き物の馬鹿さ加減を笑いつつ犯罪者同士の騙しあいを、ダレることなくスマートに観せきる。「モンティなんとかって、よく知らないからー」と敬遠するのには、もったいなさ過ぎる作品。本作のメンバーが再集結した『危険な動物たち』も、なかなかの一本なので併せてどうぞ。
シリアスな演技派として活躍してきたケヴィン・クラインも、この作品でアカデミーを受賞してからはコメディの比率が激増。安心して観れるコメディ俳優として欠かせない存在ともなったが、それでもこの作品での破壊力は何度観ても強烈。チーズの名前を連呼しながらイッちゃう彼の姿は、とても『遠い夜明け』に出ていた人と同一人物とは思えぬほど。普段はどういうタイプなのか、フィービー・ケイツに会ったら聞いてみたい。
同じくこの作品ではじけたといえば、ジェイミー・リー・カーティス。カーペンター作品の常連として出てきたが、その後鳴かず飛ばず。『パーフェクト』で急にスタイル抜群になっていて観客を驚かせたが、驚かせる以外の効能もなく、そのままフェイドアウトかとさえ思われていた彼女。ところが本作で大ブレイク。以後の活躍はご存知の通り。本作での彼女は、本当に魅力的。スカーンと突き抜けた明るさと色気で男達を翻弄する様は、観ていて痛快。彼女になら騙されてもいい。とても美人とは言えなかった彼女が美しく見えてくるから不思議。“ユーリズミックス”のアニー・レノックスといい、彼女といい、この手の女性はショートカットがよく似合う。
キャスティングも魅力の本作。ジョン・クリーズも盛大に脱いでくれますので、モンティ・パイソンファンもご安心ですね。
英国式倦怠期の図
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