2010年 アメリカ/イギリス/カナダ映画 112分 コメディ 採点★★★★
男ってのは、好きな人が出来るとその人の過去までものにしたがるんで、過去の事が気になってしょうがないんですよねぇ。元カレの人数とか、どんなことをしてたとか。元カレの人数が少な過ぎればそれはそれでイヤだし、多過ぎれば尚更イヤ。面倒ですねぇ。気にしてないフリをしながらも、頭の中では元カレと対決。で、妄想上で敗北。妄想だと言うのに落ち込む。ホント、男って面倒臭い生き物ですねぇ。
【ストーリー】
バンドでの成功を夢見るスコットは、ある日ラモーナという風変わりな女性に出会い一目惚れ。付き合っていた年下の彼女との関係をウヤムヤにして、ラモーナとの交際にこぎつける。しかし、突然ラモーナの元カレがスコットに対決を挑んでくる。なんと、ラモーナと交際するには、彼女が交際していた7人の邪悪な元カレを倒さなければならず…。
『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のエドガー・ライトがカルト的人気を誇るという同名コミックを映像化した、青春バトルコメディ。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』と、サイモン・ペッグと共に題材に対する愛情に満ち溢れた傑作を送りだしてきたエドガー・ライトが、サイモン・ペッグ抜きでどんな作品を撮るのか期待半分不安半分だった本作。まぁ結果から言えば、そんな不安を軽く吹き飛ばす痛快作に仕上がっている。
元々生理的快感を生み出すテンポ作りや場面転換に長けた監督だけに、うざったいだけになりがちな格闘ゲームやコミックをモチーフにしたユニークな映像表現も、浮つくことなく完全に消化しつつ、日本っぽい香りもしっかりと残す見事な手腕を発揮。ふんだんに使われている楽曲の数々も非常に好みで、最近では珍しくサントラが欲しくなるほどの出来。楽曲もそうだが、ベースを構えるエリック・セラのアートワークがとってもベックっぽいなぁと思ったら、がっつりベックが噛んでた。道理で。
成功までほど遠くない位置にいるバンドのメンバーで、元カノはスーパースターな上に、今カノは女子高生と、なんともオタクが部屋で一人妄想しているかのような状況設定の本作。そんな夢のような状況設定の割に、デートは専らゲーセンかCDショップで、彼女が出来たらとりあえずバンドの練習に連れて来てしまう様に、結局のところ間繋ぎでしかなかった彼女に対して主人公が感じ始める違和感や、その感情を感じ取る彼女の様子など、恋愛描写は結構生々しい。ある意味、ギーク側に更に掘り進めた『(500)日のサマー』の様でも。
描写はかなり吹き飛んではいても、恋愛に関する男の姿勢はかなり正直に描かれたこの作品。“邪悪な元カレとの対決”と突飛な設定も、彼女の元カレは良い人よりは邪悪であって欲しいという男の子の素直で目論みの甘い感情だし、対決そのものも一人一人自分の中で消化していく通過儀礼のようにも。消化しきれずに心が折れてしまい、見当違いに彼女を責めてしまった結果ギクシャクするってのは、ホントよくあることですし。健気で子供らしい素直さが魅力の年下の彼女に対する主人公の行動や迎える結末は確かに身勝手ではあるが、恋人が変わる時って、案外こんなもんだしなぁと妙に納得。この生々しさがあってこその作品だと思いますし、こんなことを経験してレベルアップをするんだろうから。ただまぁ、いくら男の子がレベルアップを繰り返そうとも、女性のレベル1に到底追いつかないってのが現状なんですけど。間違いなく一年も経てば、年下の彼女の方が精神的に追い抜いてることでしょうし。
何よりも髪型には触れられたくないスコットに扮するのは、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』『紀元1年が、こんなんだったら!?』のマイケル・セラ。双方に良い顔をしている内に、結局皆を傷つけてしまう決断力のなさや、経験ではなく知識が先に出る頭でっかちっぷりは、もういつものマイケル・セラ。ピッタリとハマる好キャスティング。遠目で見るとベックっぽい、その文系っぷりも含めて。優しいだけじゃダメなのは充分分かってるんだけど、だからと言って特に自分に自信がないので、結局優しいだけになってしまうってキャラクターが、ホントに似合うなぁと。
また、背後に七人の邪悪な元カレを背負っているラモーナ役に、『ダイ・ハード4.0』『デス・プルーフ in グラインドハウス』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。太ったのか役柄なのか、髪の色もあってなんかケイト・ウィンスレットっぽい。これまでは正直あまりピンとこなかった女優だったが、陰のある風変わりな女性役という珍しさもあって、今回は結構良い。
その他にも、いつの間にか色気のある男前になってたマコーレーの弟キーラン・カルキンや、ギークから見たジョックスの恐怖を具象化したかのような『フェイク シティ ある男のルール』のクリス・エヴァンス、作品選びにブレが全くない『銀河ヒッチハイク・ガイド』のジェイソン・シュワルツマン、相変わらずスーパーな『スーパーマン リターンズ』のブランドン・ラウスに、その犬っぽさからもし『ティーン・ウルフ』をリメイクするなら主演をやって欲しい『ジェニファーズ・ボディ』のジョニー・シモンズなど、好キャスティングが光る本作。こっそり『ミスト』のトーマス・ジェーンや、『マインドハンター』のクリフトン・コリンズ・Jrが潜んでたり、『アドベンチャーランドへようこそ』のビル・ヘイダーの声だけが鳴り響いてたりもしますし。でも、なんだかんだと一番印象を残すのは、彼氏を振り向かせるために彼氏が心を奪われている女性と同じ髪型にするという、涙ぐましいが逆効果の努力をするナイヴスに扮したエレン・ウォン。もし街で見かけたら、「頑張れ♪」って言おうっと。
こんな最後の方でアレですが、一足先に本作を観る機会を与えてくださった“Die-Early”のUSA−P様、どーもありがとーございましたー!
レベルアップしても、大して変わんない
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
> いつの間にか色気のある男前になってたマコーレーの弟キーラン・カルキン
ここは激しく同意! いやホンと、何時の間に、ですよね〜
予告編を観た時は、映像表現だけが暴走しちゃってる作品のような印象も受けたんですが、思いのほかちゃんとした恋愛コメディだったんで驚きましたねぇ。ゲーム要素も、ギークの妄想表現としてハマってましたし。いやぁ、ホント有難いですよ!
キーランは、最初誰だかわかんなかったですねぇ^^;
わたしは単純に映像の面白さと楽しさが気に入ったんですが、内容にはちょっと??のところもありました。でも、たおさんのレビュー見て色々と納得できました〜(笑)
映像にばかり話題が集中しがちですけど、男子の恋愛中であっても暴走する脳内妄想を見事に表現した作品なんですよねぇ。
エドガー・ライトと言う事でイメージしていていたよりもテンポが良くて、いるいるこんな奴、分かる分かるその反応、とスコットの言動を笑いながら楽しめました。
そうそう、どんなにレベルアップしても、女子には追いつけない(笑)
22歳になっても、中高生と大差ないんですよね男子は。
それに比べて女子の成長の速さといったら・・・
トーマス・ジェーン、クリフトン・コリンズ・Jr、ビル・ヘイダー
この3人の出演に、またまた大喜びしちゃいました。
スコットがついつい取ってしまう言動も、元カレに対する妄想も、全部妙に理解出来ちゃうんですよねぇ。似たような恋愛感覚を持っちゃってるんですかねぇ^^;
エドガー・ライトが監督とも知らずに、なんとなくきっと自分好みっぽいという直感で、予告通り観てきました。
『500日のサマー』的な物語の部分で、実はいろいろ?なところもあったんだけど、
つっこむヒマもなく映像が問答無用におもしろくって楽しめました♪
元カレ軍団には爆笑。とくに最初のカレ。
そうそう、ルームメイトの彼、めっちゃマコーレーカルキンぽいと思ったら弟くんだったんですね。
音楽もよかったですよね〜
ベック作「ラモーナ」はいい曲だ。
マコーレーの方もイイ味の出た顔つきになってきたので、そろそろ再ブレイクをして欲しいなぁと思う今日この頃。
にしても、ベックの楽曲が素晴らしい作品でしたねぇ。