2000年 アメリカ映画 90分 サスペンス 採点★★★
殺した人数ではジェフリー・ダーマーやテッド・バンディの足元にも及ばず、その変態性でもアルバート・フィッシュに比べればまだまだかわいいものの、猟奇殺人鬼のトップスターとして君臨し続けるエド・ゲイン。『サイコ』『悪魔のいけにえ』『羊たちの沈黙』と、彼をモデルにした映画は数知れず。何が人々を惹きつけ続けているのか?
【ストーリー】
ウィスコンシン州の片田舎に暮らす中年男エド・ゲイン。熱心なキリスト教徒で厳格な躾を施す母が他界してからは、あまり人付き合いもすることなくひっそりと暮らしていた。周囲からは変わり者だが無害な男と思われていたエドだが、彼の心は日に日に壊れていく。

エド・ゲインについては、こちらに詳しい。
殺害した人数は2人。連続殺人鬼としては分類されない彼が、衝撃の薄れることなく今も尚人々の記憶に残り続けるのは、その残忍性ではない。性衝動が隠されているとはいえ、一見意味が全く不明な犯行理由、そして彼の自宅から発見された“芸術品”の数々が、彼の名を現代まで語り継がせている。墓から盗み出した死体を利用した仮面(レザーフェイス)や皮膚で作った服、ランプシェイド。残念ながらこの映画の中では、なぜそれらを作ったのかの理由が明確にされていない。亡き母親の脅迫的な躾により、ふしだらな女性に対する敵意(性的欲求の裏返しではあるものの)と、愛する母親を復活させる為に殺害を犯したとしか理由が語られていない。母親と似ているタイプの女性を殺害し、その皮膚を“着る”ことによって母親自体になろうとした肝心な要素が抜け落ちてしまっている。一瞬映る“月夜のダンス”のシーンに垣間見えてはいるが。
ただ、彼が生まれついての怪物ではなく、周囲の人間が変わり者ではあるが理解をしようとしていた様子や、彼の人格形成の経緯が語られているのは興味深い。実録犯罪物専門監督らしいチャック・パレロの演出テンポが、体感時間が3時間に感じるほどトロいのには辟易してしまったが。

『スペースバンパイア』以外であまり観た記憶のないスティーヴ・レイルズバック。自ら製作総指揮を兼ね『ヘルター・スケルター』のチャールズ・マンソン以来の実録殺人鬼に挑む。ノーマン・ベイツを若干トロくしたようなエド・ゲイン像は、ある意味リアルでゾッとする。俳優としてのキャリアにおいて問題はないのか心配になってしまいましたが。
“猟奇殺人”モノということで、その手のが好きな方はお色気なども期待してしまうでしょうが、ご年配の女性しか出ませんのでご注意を。その辺はしっかり実録しております。残念ながら。

モダンホラーの始祖でもあります
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