2011年04月03日

フロム・ダスク・ティル・ドーン (From Dusk Till Dawn)

監督 ロバート・ロドリゲス 主演 ジョージ・クルーニー
1996年 アメリカ映画 109分 アクション 採点★★★★

連続殺人犯の浮浪者を追いつめてみたら目からビームを出しやがったり、動き出したミイラは宇宙人だったりと、足りない予算と才能を無茶で乗り切ろうとする乱暴な映画って、最近めっきり少なくなりましたねぇ。マニュアルに忠実な作りなだけに最低限は楽しめる作品が増えた反面、忘れたくても忘れられないデタラメな作品に出会わなくなったのは寂しい気も。

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【ストーリー】
牧師一家を人質に国境を越えメキシコに入ったゲッコー兄弟強盗団は、ある組織との待ち合わせ場所として指定された場末のバーへと向かう。しかし、そこは吸血鬼の巣窟で…。

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KNBイフェクツ・グループの一員として数多くの作品で特殊効果を担当してきたロバート・カーツマンの原案を、『デス・プルーフ in グラインドハウス』のクエンティン・タランティーノが脚本化し、『マチェーテ』のロバート・ロドリゲスがメガホンを握ったアクションホラー。
いかにもタランティーノらしいクライムアクションから一転し、ロドリゲス色全開のワンパクホラーへと変貌する乱暴な作りが魅力的な本作。二本立て映画を無理やりくっつけたような作りに、後の“グラインドハウス”へ繋がるターニングポイントとして考える事も出来るが、グラインドハウス映画の再現のような作品ばかり作ってる御両人なので、そんな深読みしなくても遅かれ早かれ“グラインドハウス”は作ってたんだろうなぁと。
当時はまだまだタランティーノが書く粋なセリフを有難がる風潮にあったので、ロドリゲスの悪童ぶりが満載の後半部は評判が悪かったものの、どうしてどうして。股間にチ○ポ型の拳銃を仕込んだセックス・マシーンに代表されるように、下品で脂ぎった無茶さが楽しいったらありゃしない。悪ふざけに徹し笑いに逃げるわけでもなく、下品とシビアと笑いの境界線に踏み止まり続けるバランス感覚も秀逸で、後にオリジナルビデオ作品としてシリーズ化されるのも納得の面白さ。シリーズを含め関連作の中では、ワンパク映画である本作の舞台裏もかなりワンパクだった事が分かるメイキングドキュメンタリー、『フル・ティルト・ブギ/メイキング・オブ・フロム・ダスク・ティル・ドーン』もなかなか面白かったなぁと。

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主役のセス・ゲッコーに扮するのは、当時映画スターとしての大ブレイクを目前に控えてた『ヤギと男と男と壁と』のジョージ・クルーニー。汗と脂と埃にまみれた茶色っぽい本作の中においても、全く霞む事のないその濃さが魅力。シカゴの病院にいるよりも、メキシコにいる方が断然似合う
その他に、役者としては全然落第点であることを露呈しながらも、大好きな足を存分に舐めれたのでご満悦そうなタランティーノや、作品のシリアス枠を一人で担う『ナショナル・トレジャー』のハーヴェイ・カイテル、お得意のちょいとアホちゃんなティーン役を可愛らしく演じ惚れ惚れさせるも、ふとお父さんと同じ顔をしている事に気づいて我に返らせられるローラーガールズ・ダイアリー』のジュリエット・ルイスに、ロドリゲス作品のディーヴァである『アダルトボーイズ青春白書』のサルマ・ハエックなど、お祭り映画らしい豪勢な顔ぶれが勢揃い。また、この人なら吸血鬼の心臓を拳でくり抜いてもなんらおかしくないフレッド・ウィリアムソンや、撮影中はジョージ・クルーニーを含めずいぶん色んな役者を本当に殴り倒してしまったらしい、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀』のトム・サヴィーニ御大、ロドリゲス作品に出てないわけがない『マチェーテ』のダニー・トレホさんなど、なんかもうお祭りというより、好きな人を集めた誕生パーティーのような様相も。もちろん、ロドリゲスとタランティーノが祝ってもらう方の。

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脳内ファンタジーの実現なんだから、自分が出るのも当然

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posted by たお at 15:15 | Comment(6) | TrackBack(1) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>役者としては全然落第点であることを露呈しながらも
そこが、“俳優タランティーノ”の魅力なんです(笑)
個人的には、監督としてよりも俳優としての方が好きだったりします。

>チ〜型の拳銃
デスペラードのギターケースに入ってるのと同じですよね?
あれ、どうやって引き金を引くんですか??

>『フル・ティルト・ブギ/メイキング・オブ・フロム・ダスク・ティル・ドーン』
シリーズの2,3よりも、このメイキングの方がある意味面白いんじゃないかと・・・
Posted by 哀生龍 at 2011年04月04日 00:03
哀生龍さま、こんばんは〜♪
好きだった映画の世界を再現したいクチなんで、自分もそこに出ていないと気が済まないんでしょうねぇw
チ〜型の拳銃は、下腹部に力を入れると「ピクッ」となるので、それを利用して…何を書いてるんだかwww
Posted by たお at 2011年04月04日 20:40
本作、当時付き合ってた女性に乞われて観に行って私は一本で二本分の出鱈目さ加減が全然オッケーだったんですが誘った側の女性はえらくオカンムリでしたなぁ… いや、まぁ解らないじゃぁないんですけど『レザボアドッグス』にしろ『パルプフィクション』にしたってやろうとした事とやってる事からいったら大差ねぇじゃん、って思ってたんですがそういやぁ確かにあの頃は「まだまだタランティーノが書く粋なセリフを有難がる風潮」ってありましたよね…
Posted by USA-P at 2011年04月04日 21:27
懐かしいですね〜。
前半と後半で、これは番組が違うだろ!と突っ込み入れながら楽しんだ作品でしたね。現在、入手困難で残念です。
ただ、一番印象に残っているのがサルマ・ハエックのショーでのクルーニーとタランティーノの食い付き加減でしたが・・。(あれは絶対に地でしている!)
・・・相変わらずホラーの見方を間違えてます。
Posted by 座敷童 at 2011年04月05日 00:06
USA-P様、こんばんは〜♪
まだオシャレアイコンというか、大いに誤解されてた頃でしたからねぇ、タランティーノ。やってる事は全然今と変わってないんですけどw
Posted by たお at 2011年04月05日 00:46
座敷童さま、こんばんは〜♪
まぁ、目の前でサルマ・ハエックにあんな恰好で踊られたら、そりゃぁ素にも戻るはずですw
その後タランティーノは彼女の足をしゃぶれるわけで、もう彼一人の為だけのファンタジー映画の様相すら。
Posted by たお at 2011年04月05日 00:49
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フロム・ダスク・ティル・ドーン(劇場鑑賞)
Excerpt: 「フロム・ダスク〜」をレンタルで最初に見た時は、こんな内容だと全く知らず、スプラッター・ホラーが大の苦手だったので引きまくってしまった(苦笑) しかし改めてみると・・・
Weblog: I am invincible !
Tracked: 2011-04-03 23:46
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