2001年 アメリカ映画 100分 サスペンス 採点★★★★
ネタバレしないで書く自信は全くございませんので、ご注意を。
「聖書に書かれてあることは一字一句真実だ」と頑なに信じる狂信的なキリスト教徒がワンサカといる国、アメリカ。この世のものは全て神様が作ったんだから“進化論”なんて悪魔の教えで、“神の名の下に”なんて枕詞が付いたものなら、イラクだろうが何処だろうが「ひゃっほー!」と侵攻していく。たとえカソリック教会のラスボス、ローマ法王がそれを認めなくてもだ。自分に都合のいいように神の教えを解釈し、都合の悪いことは全て悪魔のせいにしているようにも思えますが、真実ってのは誰にも分かりませんからねぇ。100人が同じものを目撃したとしても、真実は100通り生まれちゃいますから。
【ストーリー】
テキサス。“神の手連続殺人事件”の捜査に行き詰っていたFBI捜査官の前に、「犯人を知っている」という男が現れる。犯人はその男の弟で、犯行理由には彼らの少年時代にまで遡る忌まわしい過去が起因していた。
ジェームズ・キャメロン作品の常連としてでも知られる俳優ビル・パクストンの初監督作。“善悪の表裏”“狂信者”“家族関係”と様々な要素が盛り込まれた物語を、初監督とは到底思えぬ手腕で見事に描ききる。親の道理が社会の全てだった幼年期から、思春期を迎え自分の眼で社会を理解し始めることによって生まれる親子関係の変化の様子を巧みに取り入れ、この不条理な物語により一層の深みを与えている。直接的なゴア描写に一切頼らず、人物の表情の変化により心理的な恐怖感を高める演出方法は、既にベテラン監督の域にあるといっても過言ではない。初見の際はそのあまりの面白さに、3回立て続けに観てしまったほどの力強さを持つ作品。
一人の人物の証言による回想録で始まるこの作品は、『ユージュアル・サスペクツ』のように巧みに観客を意図した方向へ導いていく。当然物語は二転三転していくが、本作はその着地点が見事。自称“神の使い”殺人鬼、もしくは“悪魔が入り込んだ”殺人鬼は現実にも多く存在するが、その妄想の物語が比較的安全な着地点である“テキサス電動ノコギリ殺人一家版『コンスタンティン』”に落ち着くことを拒み、さらにひとっ飛びしてしまう脚本も素晴らしい。傑作TVシリーズ『ミレニアム』を髣髴させる。にこやかなハッピーエンドの絵づらに、不穏な音楽を被せることによって“薄氷の如き善悪”を表現したビル・パクストンにもう一度拍手を。
“電動ノコギリ殺人一家”がいたり、チアガールがいたりと何かと賑やかなテキサスに新たに誕生した“テキサス斧殺人一家”。その長をも演じるビル・パクストンだが、隠すことの出来ない“いい人”の空気が徐々に狂気をはらんでくる表情と相まって、“時々人を殺すけど、いい父親”という不条理な役柄をしっかりと演じきる。「ボクのパパはとっても優しくて、時々人を殺しちゃう時もあるけど、一緒にいっぱい遊んでくれるので大好きです」と作文に書かれたり、思春期を迎えると目に付き始める親の欠点が“人殺し”って感じの不条理さだ。ビル・パクストン同様テキサスっ子のマシュー・マコノヒーも、見事な挙動不審っぷり。もともと持っている土臭さも、作品の空気にぴったり。
撮影時の苦労話や自分の手法の話に終始しがちな音声解説だが、ひたすら他のスタッフの仕事振りを褒め続けるビル・パクストン。筋金入りのいい人だ。
神様から貰った破壊力満点、説得力皆無の聖なる武器
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これは良く出来ていたと思います
得点高かったですよ^
なぜかこの近辺ましゅ〜の作品良く見てたような
苦手なんだけどね(爆)
弟?の子役は確かピーターパンやったこだったと記憶しているのですが
かわいかったです
意外とマコノヒー苦手な女性って多いんですよね。特に気になる俳優ではなかったんですが、『サラマンダー』での彼は結構好きでした。品がなくてw
私はどちらかといえば、ペネロペが苦手ですねぇ。
この映画、ホントにストーリーが良く出来ていると思います。一つの結末じゃなく、人によって数種類の解釈が可能な隙間を用意しているのも、最近の映画では珍しいですよね。
そうそう、アダム役はピーターパンやってましたねぇ。もちろん観てませんがw
TBありがとうございました。
この映画、お金をかけないでもこんなに面白い映画ができるんだという、よい手本だと思いました。
こちらからもTBさせていただきますね。
コメント&TBありがとうございます!!
ホントに低予算ながら、しっかりと作りこんでいたいい作品でした。もっとこういうの増えれば、嬉しいんですけどね^^;
せぷといいます。
こちらで紹介されていた『フレイルティー』、鑑賞しました。(といってもたまたまビデオが百円セールで手に入ったからなんですけど。笑。)
見て楽しい、というような作品ではなかったですけれど、想像以上に完成度は高く、鑑賞後、いろいろと考えさせられてしまいました。
脚本がよく練られた作品というのはいいですよね。
たおさんのレビューは毎日欠かさず読ませてもらってますので、これからも頑張ってください。
では失礼します。
善と悪の紙一重さを提示し、観終わった後何度も考えさせる非常に映画らしい映画でした。人柄の出た、欲を出さない演出も功を奏してますよね。
いつもご来訪、本当にありがとうございます!!
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします♪
パクストン氏の見事な監督ぶりに驚嘆してしまいました。(見た目は地味な方ですが)
ホラーのジャンルに置いてあるのは勿体ないです。
私は観てる映画が偏っているので、テキサスってとこは、のんびりした田舎なのに、住んでいるのは狂信者みたいな人とか、身内意識の異常に強い殺人者が多いのかと思い込んでいます。
テキサスは、Lance様の想像とほとんど変わらないと思いますよw
絶対行きたくないですもの。
ほんと、ぶっ飛んだ映画でしたね。いや、充分面白かったんですけど(いろいろと)。
お父さんの狂言ぷりが凄かったです。また記事を書きましたらTBさせて頂きます。その時はどうぞよろしくです☆
なかなか一筋縄ではいかない映画でしたねぇ。見るポイントも受け取り方も色々なので、レビューを書くのに迷いました^^;