2010年 アメリカ映画 101分 コメディ 採点★★★★
多少の浮き沈みはあるものの、なんだかんだ日々楽しい事のひとつやふたつ見つけてはいるので、「こんな人生やり直してぇ!」ってとこまでは追いつめられてない私。まぁ、やり直した所で、この性格。似たような結末を迎えるだけでしょうし。ただ、やっぱり何をやっても楽しかった時期ってのはあるんで、その時代に戻りたいなぁと思いつつも、戻れないならもう一回そんな時代を作りたいなぁと思う今日この頃。
【ストーリー】
親友同士であったが最近は疎遠になりつつあるアダム、ルー、ニックの三人は、ルーの自殺未遂を切っ掛けに再度集まり、そこにアダムの甥ジェイコブを交えそれぞれドン詰まりにある人生の憂さ晴らしにと、かつて彼らが青春を謳歌したリゾート地へと向かう。今ではすっかりと寂れたその地のホテルにあったホットタブで彼らは酔いつぶれるのだが、目を覚ますと1986年にタイムスリップしていて…。
『ポイント・ブランク』の脚本など、ジョンキュー作品でお馴染のスティーヴ・ピンクがメガホンを握った、人生やり直しコメディ。ジョン・キューザックは製作も担当。
内容的には間違っていないものの、記憶の奥底に仕舞い込まれた某邦画タイトルをヒネリなしに付けるタイトルセンスはさて置いて、過去と対峙し人生を見つめ直す、まさに“アナザー・ポイント・ブランク”的面白さに溢れた本作。ここしばらく作品に恵まれていたとは言い難いジョンキューらしさが溢れてるのも、非常に嬉しい。最高だった時代に戻って騒ぎ倒すのではなく、未来に影響を与えないよう過去の出来事を同じように繰り返そうと慎重に進む導入部から、人生のターニングポイントであったりトラウマであったりする“その日”と正面から向かい合うようになるまでの流れを、それぞれの登場人物のシチュエーションをバランスよく織り交ぜ描く構成も上手い。メインのストーリー以上に最後までとことん引っ張るネタが、現時点で腕のない登場人物が“いつ腕をなくすのか?”だったりするほど良い悪趣味具合も面白い。笑いも、サラリと決めるクールなものから、正面切って繰り出す王道ベタなもの、男集団だからもちろん出てくる下ネタまでバラエティに富んでいて、単純にコメディとしても楽しい。
時代考証に若干のワンパクさはあるものの、スクリティ・ポリティやメン・ウィズアウト・ハッツ、モトリー・クルーなどざっくりと80年代中期を彩る楽曲の数々も魅力的な本作。ちらりとボウイが映ったり“モダン・ラブ”が流れたりして「ヒャッホーィ!」となったが、わざわざボウイアドバンテージを付けるまでもなく高評価で。
ここんとこしばらく、なんとも残念な作品選びが目立っていた『理想の恋人.com』『ザ・スナイパー』のジョン・キューザックだが、本作では久しぶりにジョンキューらしい姿を披露。もちろん、あのたっぷりとした丈のコート姿も見せてますし。『セイ・エニシング』とかの頃の面影がそのまんま残ってるジョンキューだからこそ、シックリこない今の人生にイライラを募らす役柄が非常に様になる。然程変わらないが明確に年輪だけは重ねているジョンキューを見ると、ほぼ自動的にその時代の自分を振り返っちゃいますし。
その他にも、どん底人生にさっさと見切りを付け、中坊的夢に溢れる人生を再スタートさせるルー役に『俺たちフィギュアスケーター』のロブ・コードリー、概ねネタが下の方を向いてたせいか、なんとなくケヴィン・スミスの映画を見ているような気分にもさせたニック役に、『恋するポルノ・グラフィティ』のクレイグ・ロビンソン、自分のメイキングを知ってしまう、本作中ある意味最も衝撃的な体験をするジェイコブ役に『キック・アス』のクラーク・デュークに、腕の切断で笑わせる離れ業を披露する『チャーリーズ・エンジェル』のクリスピン・グローヴァーといった適材適所の顔ぶれが、作品を大いに盛り上げてくれる。
で、やっぱり目玉はワケあり修理人役を、持ち前のテキトーさ満点で演じるチェヴィー・チェイス。もう、新作で動いているチェヴィーを観るのがえらく久しぶりだったので、それだけでも嬉しい。さすがに、ハシゴから落ちたり何もない所で躓いたりするのは命の危険が伴うので見せてくれないが、微妙に噛み合わない会話の妙に匠の技を。最近ちょっと映画から離れてたようですが、今年公開予定の映画業界内幕コメディ“Not Another Not Another Movie”に主演をしているようで。予告編を観る限り若干の不安を覚える作品ではありますが、楽しみっちゃぁ楽しみ。まぁ、出来の不安さ以上に、日本でDVDが出るのかどうかの方が不安ですけど。
寝ぼけ眼で朝イチに鏡の前に立つ時は、これの逆バージョンで
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