2009年 ドイツ/イギリス映画 107分 SF 採点★★★
人見知りの上に頑固と言うか適応能力に乏しいくせに、環境がコロコロ変わる生活を送ってきた私。これだけ色んな環境を経験してきたんだから、何かしら自分に変化があっただろうと振り返ってみるも、そんなのは何も見出せず。なんかもう、私が適応する前に、業を煮やした周囲が私に慣れてくれたって感じで。どうも、申し訳ございませんでしたねぇ。
【ストーリー】
2174年。人口は増加の一途を辿り資源も枯渇した地球を離れ、地球によく似た環境を持つ惑星タニスへ向け巨大な宇宙船が進んでいた。その船内で目覚めた二人の宇宙飛行士は、冷凍睡眠の後遺症で記憶を失っており、状況を把握するために船内を探索する。やがて彼らは乗組員の惨たらしい死体を発見し…。
『バイオハザード IV アフターライフ』のポール・W・S・アンダーソン製作のもと、『ケース39』のクリスティアン・アルヴァルトがメガホンを取ったSFスリラー。
ザックリと言えば、『エイリアン』と『バイオハザード』を足して『イベント・ホライゾン』で和えてみた感じの、まぁいつものポール・アンダーソンらしい本作。ただ、手法としては若干姑息ではあるが、主人公らの記憶を始め、目的地までの距離やそこまでの経過時間を曖昧にすることでスリラーの部分を盛り上げ、事実を小出しにして関心を引き続ける構成は悪くない。襲い来る怪物らの生態もなかなかに不気味で、それを相手する生存者たちのキャラクターもユニークで良い。古典的なオチではあるが、流れからいえば一番無難な着地点でもある。
その怪物らとの戦いと、宇宙船の謎にまつわる部分だけで十分ストーリーは成り立てているのだが、タイトルにもなっている精神疾患を絡めたもうひと捻りが、なんとも余計。二つのストーリーが平行に描かれ、分配バランスも良ければ最後に「オォ!」となりえたのだろうが、途中チョロリと匂わせただけで最後にドドーンと持ってこられても、取って付けた感が強まるばかりで。なんと言うか、デザートを食べ終わった後に、またスープが出てきたみたいな。
一人だけ別なストーリーを突っ走るペイトンに扮しているのは、『インナースペース』『バンテージ・ポイント』のデニス・クエイド。気さくで誠実な、いつもの悪人にはなりえないイメージを逆手に取ったキャスティングなのだろうが、物語の中心にさっぱり絡まないので、いつものデニス・クエイドらしさを感じる前に終幕。で、驚きもなし。
一方、実質的な主人公であるバウアーに扮してるのが、『3時10分、決断のとき』『30デイズ・ナイト』のベン・フォスター。そんなに強くはないのに猛烈に短気で、頼りはなさそうなのに頑固っぽい、そんなイメージが功を奏し、作品のスリルを盛り上げる良いキャスティングで。
その他に、全く言葉が通じていないのにお構いなしに会話をし続ける最強農民に扮したカン・リーや、怪物をばっさばさと処刑するかと思いきや、あっさりと処刑されてしまう『処刑人』のノーマン・リーダスなんかも印象的だったが、最も目を引いたのは、薄汚れた宇宙船内がとっても似合うSF美人ぶりが魅力的だったアンチュ・トラウェ。他の作品でも観てみたいもので。もちろん、薄汚れた宇宙船内で薄汚れた扮装をして。
若い頃の自分ほど、腹の立つ人間はいない
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
そのやな奴ですが、「バーレスク」でおばさんたちをずぎゅんとしてくれたんですよ。
カム・ジガンデー君!名前が覚えにくいのが玉に瑕です。
どっかの方言みたいにも聞こえますねぇ、カム・ジガンデー。「ほれ!そんなことしちゃ、カムジガンデー!」。
“旅の仲間”の取り合わせが面白かったです。
宇宙移民するような時代になっても、共通言語なり自動翻訳機なりは現実化してないんですね(笑)
>物語の中心にさっぱり絡まないので
もうちょっとペイトン中尉を動かしてくれれば、2軸構成になって彼を生かせたのかも?
でも、最期の展開が彼の最大の見せ場だから、温存してたのかな?
歴史をひも解いてみても、どんなに科学が発達してもスター・トレックのような世界にはなりそうもないですしねぇ^^;
あと一歩感は、まぁポール・アンダーソンらしさってことでw