1987年 アメリカ映画 97分 ホラー 採点★★★★
中学や高校時代に、夜中こっそり家を抜け出し遊び呆けたあのドキドキや楽しさって、今となってはもう味わえなくなってしまいましたねぇ。その時間は、今じゃ普通に起きてたりもしますし。夜が今感じる以上に静まり返っているようで、話す声も自然とヒソヒソ声となるのも堪らなかったもので。当時そんなになかったコンビニへ遥々歩いて行くその行為自体もすげぇ楽しかったんですが、今その時間に一人でコンビニに行っても、なんとも寂しいだけなんですよねぇ。なんかつまんないなぁ。
【ストーリー】
行方不明事件が続発する西海岸のサンタ・カーラに越してきた、母ルーシーにマイケルとサムの兄弟。兄のマイケルは町で出会った美少女スターに一目惚れ。彼女が行動を共にしていたデヴィッド率いる不良グループに誘われるがまま彼らのアジトへと向かい、酒を飲み交わす。しかし彼らの正体は吸血鬼で、マイケルも望まぬまま吸血鬼の仲間入りをしてしまい…。
『3人のゴースト』のリチャード・ドナー製作総指揮のもと、『ザ・クライアント/依頼人』のジョエル・シューマカーがメガホンを握った青春ヴァンパイアアクション。
“惚れた女について行ったら吸血鬼にされちゃったけど、彼女の事をなんとか救いたい”という兄マイケルを軸とした青春吸血鬼物語と、“お兄ちゃんが吸血鬼になっちゃった!どうしよー?ママには言うなって言われてるし、そのママは知らんオッサンと仲良くなってるし!”とテンパる弟サムを軸としたわんぱくヴァンパイアハンター物語に、“久しぶりに素敵な男性に出会えたっていうのに、上の子はグレ始めるし、下の子はワケ分かんないことばっかり言い出すしホント困ったわ!”というママの子育て苦労話を巧みにブレンドし、そこに続発する失踪事件の問題をホンノリと絡めた、80年代に多く作られたアレンジ型吸血鬼映画群の中でも忘れ難い一本。若干盛り込み過ぎに感じる題材の数々も、好調時のジョエル・シューマカーらしい手際の良い演出と展開でまとめ上げられており、土台の緩んだ浮ついた感じは作品から感じられない。当時はリチャード・ドナー色が前面に出ていたように感じていたが、女の子そっちのけで上半身裸の男子をカメラで追い続ける様に、シューマカーらしさを強烈に感じたりも。また、吸血鬼映画には欠かせないエッセンスである、“魅力”と“誘惑”をしっかりと描き込めているのも良い。吸血鬼グループに観客が“魅力”と「仲間入りしても良いかも」と思わせる“誘惑”を感じられなければ、如何に物語が進もうと観客はついて来ない。そこの成功は大きいし、それを生み出した男の子の魅力に関しては鋭いシューマカーの嗅覚も見事。
80年代の映画らしくバラエティに富んだ楽曲が集まったサントラも魅力的なのだが、やはりエコー&ザ・バニーメンによるドアーズの“まぼろしの世界”のカヴァーが見事。彼ららしい耽美的な音とイアン・マッカロクの声は、ドアーズのサウンドに見事にマッチするだけではなく、作品のムードを決定づけるだけの力強さを。この後に発表された、ドアーズのレイ・マンザレクが参加する“ベッドバグズ&バリィフー”は、いまだに好きな曲のひとつで。
主役のマイケルに扮するのは、本作以降だと水に濡れちゃいけないタイプの頭部なのに、存分に濡れちゃってとっても残念な感じになってた『スピード2』が印象に残っているジェイソン・パトリック。もちろん本作ではそんな残念な感じはなく、チリチリの髪の毛と憂いを帯びた眼差しが、劇中にポスターとして登場するジム・モリソンとダブる男前っぷりを披露。そう言えば、異母兄弟にあたるジョシュア・ミラーは、本作と同じ年に製作された『ニア・ダーク/月夜の出来事』で吸血鬼役を演じてましたねぇ。
一方、弟のサムに扮するのは本作でも共演したコリー・フェルドマンと共に“Wコリー”として人気を博すも、ほどなく子役にありがちな転落人生を送り、復活の兆しが僅かに見え始めた昨年早過ぎる死を迎えてしまったコリー・ハイム。今観ると自分も似たような格好をしていただけにかなり恥ずかしい80年代感丸出しのファッションと、親しみと愛嬌溢れるオーバーアクションで本作の明るい部分を一人で支えている感じが。
その他にも、ベテラン子役の域に達したかのような渋味すら発する、先に挙げた『グレムリン』のコリー・フェルドマンや、手がハサミで出来てる人を連れてきたり吸血鬼と付き合ったりとドエライことをしでかすが、それらを全て持ち前の愛嬌で乗り切るダイアン・ウィースト、若干顔のパーツが中央に寄り過ぎている感のある『ツイスター』のジェイミー・ガーツに、ロストボーイ一辺倒な感じにもなってきたジェイミソン・ニューランダーと、“ビルとテッド”のビルの方などが揃った本作。
それらのキャスティングの中でも一番の目玉は、やはり吸血鬼グループのリーダーに扮した『ア・フュー・グッドメン』のキーファー・サザーランドに尽きるであろう。悪しか出し得ない魅力と誘惑を存分に振りまき、独特の美しさと色気すら感じさせる本作のキーファー。作り手の目線がそう思わせてしまったのかも知れないが、主人公のマイケルに片恋慕の想いすら持っているように見える本作のキーファーを“ベスト・オブ・キーファー”に選んでいるファンも少なくないのでは。私は選んでます。
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