2007年 アメリカ映画 113分 アクション 採点★★★
“カメラがとらえた決定的瞬間!”みたいな番組って今も昔もよく放送されてますが、最近のって大抵奇跡的助かったのばかりですねぇ。ナレーションも「奇跡的に一命は取り留めた」の一辺倒。まぁ確かに、夕食時のお茶の間に人の死んでるシーンばかり垂れ流すのも問題ですが、安全に消毒されたものばかり流すのもどうかと。

【ストーリー】
南海の孤島に世界中から集められた10人の死刑囚。彼らの足首には、30時間後に爆発する時限爆弾が取り付けられている。彼らはその場所で自由と大金を手に入れるため、最後の一人になるまで殺し合いを続けなければならない。そしてその模様は、全世界にインターネットで生中継されるのだが…。

『シー・ノー・イーヴル 肉鉤のいけにえ』や『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』など、豊富な筋肉人材と培ってきたエンターテイメントのノウハウで良質な筋肉映画を作り続けるWWEフィルムズが贈る、筋肉バトルアクション。
死刑囚同士の殺し合いを生中継するという、「作る方も観る方もどうかしてるよ」とでも言いたい過激化するメディアへの警鐘がテーマに描かれる本作。まぁ、よくあるテーマではある。ただ、そんなありがちなテーマをピッタリな人材で最低限楽しめる作品に仕上げるのが上手い会社だけあって、倫理を問うテーマそっちのけで、青い海と青い空をバックに茶色っぽい筋肉の塊がガツンゴツンとぶつかり合う、なかなか楽しめる筋肉映画に。先が読め過ぎる展開に退屈する間を与えず、筋肉がガツンゴツン。正しい作り方。ただ、ライブ映像の迫力と臨場感を出したかったのは分かるが、やたらとブレる手持ちカメラの映像が鬱陶しい以外の効果を上げてなかったのは残念。せっかく良い素材がぶつかり合ってるのに、何が起こってるのか分かりづらいだけでしたし。
作品自体からはテーマが浮き彫りになる事のなかった本作ではあるものの、凶悪なキャラ設定を作り上げ、娯楽としての殴り合いをとことん追求しショーアップしてきたWWEがこのテーマを取り上げる事自体には、なかなか興味をそそられる。

考えてみれば、故郷に帰れたのはこの番組のおかげであるワケあり死刑囚に扮するのは、WWE殿堂入りレスラーで『エクスペンダブルズ』『ロンゲスト・ヤード』など映画出演も多い“ストーン・コールド”スティーヴ・オースティン。立ってるだけで誰も勝てそうにないその迫力ある風貌は非常にカメラ映えする。ただ、その圧倒的な強さを感じさせる風貌と、活躍の場がリングからスクリーンに移ったとはいえお花畑を駆け回ったり、メソメソ泣いたりする意外な一面が出てくるわけでもない完成され切ったキャラのせいもあり、ストーン・コールドのままでいるならば主役よりは絶対的強さを誇る悪役の方が作品としては締まった結果になったのかなぁとも。一方、ゲスな悪役を嬉々として演じるのが『X-MEN:ファイナル ディシジョン』『沈黙の追撃』のヴィニー・ジョーンズ。これまた元スポーツ選手ではあるが、この弾けっぷりにキャリアの差を見た感じも。
その他気になったのが、日本代表の死刑囚に扮したマサ・ヤマグチこと山口英勝。キレの良い見事な肉体技の数々もさることながら、日本人が日本語を喋っているはずなのに「ぶっ殺すぞ!」「カミカゼ!」以外は、「ゥホダド!ゥジャグダドゥ!」とまるでジョン・ベルーシのサムライのように何を言ってるのかさっぱり分からない。ジョン・ベルーシは、見事なまでに日本語を模写してたんだなぁと、作品には全く関係のない所に感心して終了。

根っこではみんな観たいと思ってるから規制されてる
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