バレンタインデー (Valentine's Day)

監督　ゲイリー・マーシャル　主演　アシュトン・カッチャー
2010年　アメリカ映画　125分　ラブロマンス　採点★★

なにせ中高と男子校だったもんで、“下駄箱開けたらチョコレートがぁ！”なんて甘い思い出が皆無な私。入ってたら入ってたでスゲェ嫌ですし。そもそも、男子校の下駄箱の臭いをなめちゃいけない。きっと地獄の門が開いたら、あんな臭いがするはず。



【ストーリー】
恋人へのプロポーズに成功し朝から浮かれる花屋のオーナー、リード。しかし、心変わりした恋人は昼過ぎにプロポーズを断ってくる。意気消沈したリードだが、親友で小学校の教師であるジュリアの恋人が既婚者であることをひょんなことから知ってしまい、恋人のもとへ向かおうとするジュリアへ真実を告げるため走るのだが…。



サブタレで“バレンタイン”って言ったら『血のバレンタイン』だろうと言われそうだし自分でもそう思うのだが、興味が全くなかった作品でもないのでまぁいいかと。やっぱ、愛ッスよね！
『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャルによる、バレンタインの一日に起きる様々な愛の形を描いた群像劇。“様々な愛の形”とは書いてみたが、映画で良くあるシチュエーションの顛末を、「それが愛だからー」の一言で済ましてしまう浅さが非常に気になる本作。キャラクターも数多く登場するが、それぞれ役名が付いただけの存在でしかなく、人物像が見えてこない。設定と名前と“良い人”ってキーワードを除いて本作を観ていない人にキャラクターを説明しようにも、説明が出来ない人物像の見えなさ。そんな役名と職業だけ与えられた人物の状況設定だけを映し出して、「これがストーリーでござい！」って出された感じ。
「オラんとこでも『ラブ・アクチュアリー』みたいに毎年楽しめる作品を作んべ！」って意気込みは感じられるのだが、その『ラブ・アクチュアリー』が、心の揺らぎや動きのよく分かるキャラクター達が作り上げられる小さな輪が最終的に僅かに混じり合い、その混じり合った部分に生まれる淡い滲みのような味わいが余韻となり、長く愛される作品になったのに対し、本作はあまりに直線的。全てのキャラクターを直線で結び、余ったピースが出ないよう無理やりはめ込んでいる感じ。唐突に「ボク、ゲイなんですー！」と言い出すキャラクターが出てきたかと思えば、帳尻合わせのようにそこにピッタリはまるピースが出てくる。異人種間の初恋という、両家の両親も含めて面白いエピソードがざっくざく出そうな所は、軽くスルー。一事が万事、当たり障りのない都合の良い展開。それでも何人かは宙ぶらりんのままなんですが。ベタな例えだが、『ラブ・アクチュアリー』が舌に残る前の料理の味を計算して出されるコース料理なら、本作はでっかい皿に色んなお通しを並べただけのような感じが。



主役の花屋に扮する『バタフライ・エフェクト』のアシュトン・カッチャーを筆頭に、『マチェーテ』のジェシカ・アルバ、『ミザリー』のキャシー・ベイツ、『特攻野郎Ａチーム THE MOVIE』のジェシカ・ビール、『ハングオーバー！　消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のブラッドリー・クーパー、『マイアミ・バイス』のジェイミー・フォックス、『ウソから始まる恋と仕事の成功術』のジェニファー・ガーナー、『イン・グッド・カンパニー』のトファー・グレイス、『コンフェッション』のジュリア・ロバーツとその姪エマ・ロバーツ、『奥さまは魔女』のシャーリー・マクレーンなどなどなどなど、錚々たる顔ぶれが集結した作品だが、キャストをただずらずらと並べて書く以外にこれといって印象に残るキャラクターがいないのが辛い。強いて言えば、放し飼いのような奔放さが魅力的だったテイラー・スウィフトぐらいかと。
本作に対してロジャー・エバートが言ってたコメントが面白かったのだが、「最初のデートで観るには最適の一本！デートの相手がこの映画を好きだと言ったなら、もうデートの必要がない。別な相手を探そう」。なるほど。


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Comments

>でっかい皿に色んなお通しを並べただけ
確かに（苦笑）
もしくは、試食用のひと口サイズが並んでる感じ？
気に入ったキャラやカップルが見つかったら、その２人が主役の本編を見よう！（作られてないけど）

Posted by 哀生龍 at 2011年02月01日 06:27

哀生龍さま、こんにちは〜♪
役名と状況設定だけを説明した、試供品の詰め合わせみたいな感じでしたねぇ。。。＾＾；

Posted by たお at 2011年02月01日 13:58

ロジャー・エバーとの弁が最高ですね！
どんなエピの盛り合わせだったのか、今必死に思いだそうとしているのですが、最近記憶の回路が・・・・。
次々忘れて行く映画を思うと、見る必要ないのもいっぱいありそう・・と反省の日々です。

長男が男子校に入り、ほとんど初めて足を踏み入れましたが、形容しがたい匂いが充満してました・・・。

Posted by sakurai at 2011年02月01日 21:12

sakurai様、こんにちは！
自分のレビューなんで、大御所とは言え他人の意見を載せるのはどうかと思ったんですが、あんまりに言い得て妙な言葉だったんでまぁいいかと。
キャラクターの名前と状況設定をずらずらと並べ連ね、思ってる事は全てセリフで済ませる、ちょっと“映画”とは言い難い作品でしたねぇ。。。
＞形容しがたい匂い
それが、男子校です。地獄の釜が開いた臭いです。

Posted by たお at 2011年02月02日 13:13

ラブ・アクチュアリーに比べると、物足りなかったですね〜(^^;)
でも豪華キャストだったので、ただ彼らを観ているだけでも、結構楽しめました（笑）

Posted by りら at 2011年02月05日 21:50

りら様、こんにちは〜♪
なんか「色んな人がいっぱい出てた！」って感じの映画でしたねぇｗ

Posted by たお at 2011年02月06日 12:10