2011年01月21日

グレムリン (Gremlins)

監督 ジョー・ダンテ 主演 ザック・ギャリガン
1984年 アメリカ映画 107分 ファンタジー 採点★★★

私が子供の頃、夕方や日曜の早朝には必ずトムとジェリーやルーニー・テューンズなんかの海外アニメが放映されてましたねぇ。当時は特に深く考えずほぼ習慣のように観てましたが、ある程度大人になってから観直してみると、結構バイオレンス満載でけたたましく時折すっごく怖い、カオスの塊のような作品なんですよねぇ。あれを夢中になって観続けてれば、そりゃぁジョー・ダンテみたいな監督も生まれるわけだ。

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【ストーリー】
発明家の父親がチャイナタウンで手に入れたモグワイという不思議な生物を、クリスマスのプレゼントとして貰ったビリー。見たこともない愛くるしいこの生物にギズモと名付けるが、この生物には決して行ってはならない3つの誓いがあった。“強い光に当てない”“水に濡らさない”“真夜中過ぎに餌を与えない”。しかしこの誓いが破られてしまい、モグワイは増殖。醜悪な怪物となり町中をパニックに陥れる。

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これに『ゴジラ』と『ゴーストバスターズ』を合わせ、“3G決戦!”と呼んでいた事を思い出す、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、クリス・コロンバス脚本、ジョー・ダンテ監督という今となっては錚々たる顔ぶれで贈られたファンタジー。
ギズモの可愛らしさもあって一見ファミリー向けクリスマス映画のような本作だが、ふたを開けるとカオスとバイオレンスに支配された、まさにルーニー・テューンズを敬愛するジョー・ダンテの世界。特に暴力描写は強烈で、台所の母親は無敵とでも言いたいのか、グレムリンらをミキサーで粉砕、包丁でめった刺し、レンジでボンッとちょっとしたスプラッター。登場人物は情けなくなるほどとことん善人か、強欲な悪人の両極端なのもカートゥーン的で、クリスマスだというのに貧乏人を追い詰める強欲な老婆なんかは、クリスマス映画っぽくもある。ただまぁ、悪人はそれなりの目に遭うものの、その後善人が特に報われるわけでもないので、クリスマスが舞台だって事を忘れてしまいますが。辛うじて出てくるクリスマス話が、“お父さんが煙突に詰まって死んじゃった”という陰鬱な話のみですし。これは、“アンチ・クリスマス映画”の金字塔と呼んでもいいんじゃないんでしょうか。
そんなジョー・ダンテらしい部分に関しては存分に楽しめる作品ではあるのだが、そんな“らしさ”とファミリー映画として売りたいスタジオ側の意向の部分が噛み合っておらず、印象はチグハグ。キャラクターも、「お前らみたいに生きたいよ」と思わせる自由奔放なグレムリンら以外は、“可愛い”以外個性のないギズモや“善人”以外の個性がない主人公らに代表されるように、非常に平板。その辺のキャラ濃度のばらつきも、作品全体のチグハグさを感じさせる要因なのかと。まぁ、ダンテがグレムリンの方に夢中になり過ぎたってのもあるんでしょうが。

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主人公のビリーに扮するのは、本作と『グレムリン2/新・種・誕・生』以外では観た記憶のない、ザック・ギャリガン。役柄同様に、もっさりとした見た感じも良い人そう。また、ヒロイン役には、当時この映画を観る理由の半分を占めていた『初体験/リッジモント・ハイ』のフィービー・ケイツ。ほっぺのぷっくりとした可愛らしさは相変わらずなのだが、真冬が舞台だけあって赤いビキニ姿とかにはならないので残念。確か、当時もそう思ったはず
その他、ジョー・ダンテ作品常連のディック・ミラーや、物語から途中でフェイドアウトしてしまうジャッジ・ラインホルド、この後に一躍人気子役となる『13日の金曜日・完結編』のコリー・フェルドマンなどが出演しているが、ダンテ自身が人間のキャラクターに興味がなかったのか、皆さん然程印象に残らず。
その反面、グレムリンらの印象は強烈。ギズモじゃなくて、グレムリンの方。いやいや、ギズモも可愛いですよ。実際にいたら飼いたいですし。喋るし歌うし。飼ったら一日中薄暗い部屋で「アハハー、ウフフー」と過ごすこと間違いなしですし。ただまぁ、キャラとしては断然グレムリン。狂想曲の“狂”の部分を強調したかのようなジェリー・ゴールドスミスのけたたましい音楽をバックに、様々な扮装で好き勝手やる奴らの姿は羨ましくなるほど自由過ぎ。特に、長いコートを着込んだフラッシャーなグレムリンは最高。子供に「あれは何をやってるの?」と聞かれると非常に困ってしまうが、あいつは面白過ぎ。それにしても、何にも付いていないお前は何を見せたいんだ?

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飼うのは嫌だが、一緒に飲むなら断然こいつら

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posted by たお at 02:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かに フィービー・ケイツ目当て
でもあったと 僕も思い出が

当時図書館の「スクリーン」で
彼女にはいろいろな意味で
ときめいていましたし


確かに この頃の映画って
大人になってみたら
シュールすぎて残酷なのって多いですね
まあ あれ見て大笑いして育って
そこそこまっとうな人生送ってるので

今の規制規制って言うのには違和感も

ちなみに トムとジェリーは
ジェリーのいとこが いつもひどすぎます
Posted by もる at 2011年01月24日 23:54
もる様、こんにちは!
因果関係が何ら立証されていない主観のみの規制ってのは、頭が悪過ぎるなぁと思いますよねぇ。
>ジェリーのいとこ
あの、オムツはいた乱暴者ですよね。
ただただもう、トムが可哀想になってくるんですよねぇ^^;
Posted by たお at 2011年01月25日 14:41
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