2011年01月19日

グッドフェローズ (Goodfellas)

監督 マーティン・スコセッシ 主演 レイ・リオッタ
1990年 アメリカ映画 145分 ドラマ 採点★★★★★

もう亡くなって久しいんですが、私の義兄はその筋の偉い方で。家庭内では結構大変な人だったようですが、見栄っ張りの性格か、私みたいにちょっと離れた身内に対してはとんでもなく面倒見の良い人でもありました。「いじめられてないか?」「面倒事に巻き込まれてないか?」「困ったらいつでも来い!」と会う度に。私もまぁ若かったせいか、面倒事に巻き込まれた際に一度だけ相談した事があったんですが、「よっしゃあ!任せとけ!」と若い衆大挙して問題解決に現れた時は、正直「あんた、やり過ぎだよ…」と呆れてしまいましたが。

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【ストーリー】
マフィアに憧れる少年ヘンリーは、地元のボスの下で働いた事を切っ掛けにマフィアの世界に足を踏み入れる。先輩のジミーやトミーらと仕事を重ねたヘンリーは、家庭も持ちいっぱしのギャングに成長する。しかし、とある強奪事件をきっかけに、彼の周囲に暗雲が垂れこみ始め…。

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実在のギャングの半生を描いた、『シャッター アイランド』のマーティン・スコセッシによる傑作犯罪ドラマ。
知り合いであろうとなかろうと、目に付いた人には必ず一言言葉を掛ける家族以上に強い繋がりと力を持ち、食べ物と服には糸目をつけない奔放さといかしたあだ名を持つ、若者が憧れるマフィアの煌びやかな一面を描く導入部から、その実態と怖さ、そして衰退までを描く構成がまず見事。突発的に描かれる強烈な暴力描写も、組織とギャング個人の持つ怖さを描く上で効果的であるのと同時に、そのインパクトが作品に一定のリズムと、ヒステリックな感じすらする独特なユーモアを与えている。また、時代の経過を現すのみではなく、心情や状況を時に雄弁に、時に皮肉めいた口調で表現する楽曲の使い方も完璧。ある種、街の秩序を守る存在であったマフィアに対し懐古的な視線もある一方で、一般家庭からその世界に入りこみ、やがて毒されていく主人公の妻の目線を入れることで、題材に対する中立性を保つバランス感覚も見事。
昔気質で街の顔役であり相談役でもあるボス、情に厚いがビジネスとなるととことん冷徹になるジミー、逆鱗スイッチが何処にあるのか分からないのが困りものだがユーモラスなトミーと、メインとなるギャングの顔ぶれが非常に魅力的な本作。道徳からは外れるが、彼らなりのルールに基づいて行動する様は、観ていても気持ちが良い。彼らと比べると、ヘンリーは映画の主人公として最も愛されないキャラクターである。リーダーシップを発揮するわけでも、率先して手を汚すわけでもなく、女性関係もぐずぐず。ボスに口酸っぱく禁じられていた麻薬ビジネスに手を染めた揚句、自分も中毒になり、仕舞いには怖くなって仲間を売る、美学の欠片もないチンピラ崩れ。自分に言い聞かせるように言い訳で固められた主張を最後に語る姿に、彼の本性が見えるような気もする。ギャングの美学を描く作品の主人公であればどうしようもない男であるが、本作はそんな作品ではない。その筋に憧れ、ずぶずぶとハマっていった末端の男の叙事詩である本作。上辺に憧れ、本当の恐ろしさに触れた途端に逃げ出す人間の目線だからこそ、私たちにもその魅力と怖さが真に迫って伝わってくるのではと。

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主人公のヘンリーに扮するのは、『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』『ダウト』のレイ・リオッタ。注目される切っ掛けとなった前年の『フィールド・オブ・ドリームス』でかすかにあった爽やかさなんてどこ吹く風の、下品にギラギラしたチンピラ風情の主人公を熱演。品はなくても愛嬌はある豪快な笑い顔と、強がっている反面どこか怯えが見える眼差しなんて、見るからに下っ端のギャングそのもので、まさに本作の主人公にうってつけ。
また、アイリッシュ故に幹部にはなれないがその実力は誰もが認めるジミー役に、『マチェーテ』『ボーダー』のロバート・デ・ニーロ。本作に於いては時折鼻につくオーバーな“名優モード”ではなく、アンサンブルにてきっちり締める“後方支援モード”であるのだが、さすがデ・ニーロ。些細な身振りや笑顔のちょっとした変化で、心の変移を表現する凄い技を見せつけてくれる。最も頼りになる仲間でありながら、最も恐ろしいジミー。仲間の出世を涙ながらに喜ぶ情の厚さを持ちながらも、笑顔のまま仲間の殺害を算段する冷酷な役柄を完璧に表現するデ・ニーロ。作り笑いの時のデ・ニーロは、本当に恐ろしい
その他にも、こんな怖いパパからどうすればあんな美人の娘が出てくるのか解せない『ロケッティア』のポール・ソルヴィノや、下積み中だった『アイアンマン2』『スネーク・フライト』のサミュエル・L・ジャクソンにヴィンセント・ギャロ、トビン・ベルといった顔ぶれと、ギャング役でお馴染のイタリア系俳優の皆さま方が出演している中、やはり最も強烈な存在感を放っているのが、『いとこのビニー』のジョー・ペシ。もう、主演の二人を食いかねない存在感。自分で笑い話をしておきながら「何が面白いんだ?」とキレだす、どこに逆鱗スイッチがあるのかさっぱり分からない、恐怖のトミー役を好演。因みに、当該のシーンは共演者には知らされていなかった即興だったらしく、レイ・リオッタらのどぎまぎした表情は素のもの。人殺しをなんとも思わない狂犬さながらの凶暴さと、のべつ幕なしジョークを話す愉快な一面、晴れ姿を年老いた母と共に喜ぶ家族思いの姿という、バラバラの性格が全て一つにギューっと詰め込まれた複雑な役柄を、まるで本人そのものと思わせてしまうだけの説得力で好演。このジョー・ペシの存在感のおかげで、20年前に初めて本作を観た時の感想が「ジョー・ペシ怖い」の一言。まぁ、20年後の今でも「ジョー・ペシ怖い」が真っ先に浮かぶ感想なんですけど。

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トランクに死体が入ってても母親が出す食事は平らげる、イタリア人ならではの名シーン

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posted by たお at 15:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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