2011年01月17日

イベント・ホライゾン (Event Horizon)

監督 ポール・アンダーソン 主演 ローレンス・フィッシュバーン
1997年 イギリス/アメリカ映画 96分 SF 採点★★★

その昔バンドで曲を作ってた頃、なかなか納得いくような曲が出来なかったり煮詰まったりした時は、ウォーミングアップと気分転換を兼ねて、好きな曲のフレーズとかを適当に組み合わせて曲っぽいのを作って遊んでましたねぇ。私みたいな素人が作る陳腐な曲なんかより、そっちの遊びの方が全然出来が良かったりもするんですが、当然自分が作ったっぽくないんで好きにはなれないんですけど。

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【ストーリー】
7年前に海王星で消息を絶った超深度宇宙探査船イベント・ホライゾン号の救助に向かった、調査救助船ルイス&クラーク号。救助隊には、イベント・ホライゾン号が実験を行っていた新航法システムの開発者、ウェアー博士も同行していた。無事船内に侵入したクルーらだったが、その直後から幻聴や幻覚に悩まされるようになる。調査が進む中、7年前に起きた事件、そしてその後の7年間船がいた場所が明らかになり…。

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バイオハザード IV アフターライフ』のポール・アンダーソンによる、古典的怪談とSFを融合させたSFホラー。
お気に入りの作品からネタをつまみ食いし、それらをざっくりと混ぜ合わせる大雑把な作風が持ち味のポール・アンダーソン。それ故に、食い足りなさやネタを大切にしない調理方法に不満も多い監督なのだが、今回も分かりやす過ぎる元ネタの数々をざっくりと混ぜ合わせているのにも関わらず、そのブレンド具合が良かったのか、非常に不気味な雰囲気を持ったホラーに仕上がっている。なんというか、カレーに納豆を掛けたら美味かったというか、冷蔵庫の残り物を全部突っ込んで鍋にしたら、すっげぇ美味かったみたいな感じ?
かい摘んじゃえば“ブラックホールを作ったら、地獄の門が開いた”、もしくは“ワープしたら地獄に行っちゃった”って物語の本作。単なる幽霊譚にせず、クトゥルー神話を彷彿させる世界観にしたのも、その不気味さを増させた要因。この監督の特徴でもある舌足らずさも、説明しきれない恐怖の存在を描くうえで、功を奏している。“外宇宙を目指してたら、内宇宙に着いちゃった”というSFでお馴染のネタも、下手に小難しく捻らず、自身のトラウマが恐怖の対象として現れる単純明快な物にしてあるのも、この作品としては良い選択。しかしながら、じっくりと恐怖を描く演出を続けるのにしびれを切らしたのか、クライマックスに於いて状況を整理しきれないまま全てを放り投げて、大好きなのであろう『エイリアン』エンドに持っていってしまったのは、非常に残念。然程必要とは思えないコミックリリーフ役に大きな見せ場を与えてしまったり、何かから逃げだすかのようにラストにプロディジーを流してしまうのも同様で、せっかく積み上げてきた良い雰囲気を台無しに。まぁ、その辺のあと一歩感も、この人の持ち味なんですが。

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主役であるミラー船長に扮するのは、『プレデターズ』『アーマード 武装地帯』のローレンス・フィッシュバーン。大きくなり続ける胴周り同様ふてぶてしさも増してきた頃の作品だけに、どっしりと構えたリーダー役として適任。頼りにしてしまうだけの実績はさっぱり分からないが、雰囲気だけは頼りになりそう
また、『マウス・オブ・マッドネス』に続いてまたもやクトゥルーっぽいのと対峙してしまうサム・ニールも、理論が崩れると同時に理性も崩れていくヒステリックな役柄を、慣れた仕事かのように淡々とこなしている。物語自体が若干霞がかかったようにボンヤリとしているので、顔に力があるこの二人の起用は正解。
クルー役も、『アポロ13』では旦那を宇宙に送ってたキャスリーン・クインランや、『グリーン・ゾーン』のジェイソン・アイザックス、『処刑島』のショーン・パートウィーなど、“こんな辺境の地まで出向くんだから、きっとワケアリな人たちなんだろうねぇ”的雰囲気を醸し出す顔ぶれが揃えられている。個人的にはせっかくショーン・パートウィーが出てるんだから、もうちょっといじって欲しかった気もしますが、まぁこの当時じゃしょうがなかったのかなぁとも。

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ビデオ時代は、よくこのシーンをコマ送りしながら観たものです

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タグ:★★★ SF
posted by たお at 02:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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