2010年 アメリカ映画 107分 アクション 採点★★★
ファンの心理ってのはなんとも面倒臭いもので、応援していた人が売れたら売れたで何か面白くない。お店なんかに対しても似たようなもので、急に繁盛して店が大きくなると「味が変わっちゃった」と、分かりもしないのに言ってみたりする。なんの嫉妬だ、それは?
【ストーリー】
捜査中のヘマで停職処分となってしまったベテラン刑事ジムと、その相棒のポール。別れた妻のもとで暮らす娘の結婚費用捻出のためまとまったお金が必要なジムは、大切にしていたレア物のベースボールカードを売ることに。ところが運悪く、売りに出向いた店で強盗に遭い、カードを盗まれてしまう。犯人の手掛かりをもとにカードの行方を追うジムとポールだが、そのカードはメキシコ系ギャングのボスの手にあり…。
『恋するポルノ・グラフィティ』『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』のケヴィン・スミス監督によるアクションコメディ。ケヴィン・スミスが他人の脚本を監督するのは、今回が初。
劇場映画を担当するのは『カフス!』以来となるハロルド・フォルターメイヤーに音楽を担当させたことのみならず、劇中で使用されるパティ・ラベルやザ・システムらの楽曲からも分かるように、ケヴィン・スミスが本作で目指したのは80年代風アクションコメディ。『ビバリーヒルズ・コップ』みたいな。困難さを全く感じさせない明るい笑いと、その正反対に属するハードなアクションが組み合わさることでメリハリが生まれるジャンルなのだが、本作は概ねコメディ寄り。自他共に認めるアクション演出の苦手な監督だけに、アクションシークエンス自体はシリアスなのだがキレが悪く、笑いとアクションのメリハリがイマイチ効いていない。まぁ、笑い自体がゆったり気味のいつものテンポなので、バランスだけは取れていましたが。
脚本を書いていないだけに、いつものケヴィン・スミスを期待すると肩透かしを食らう本作。それでも、言葉遣いに配慮をしない反面間を大事にする笑いや、無理やりにでも突っ込んでくるスター・ウォーズネタ、お馴染のジェイソン・リーの登場と、雇われ仕事ながらも“らしさ”を感じさせてくれるのは嬉しい。また、ケヴィン・スミス作品の中で最も興行的に成功した作品でもあるらしく、それはそれでめでたいなぁと。ただまぁ、「ケヴィン・スミス?あぁ、コップ・アウトの」となるのは嫌だなぁとも。
ところで、『クラークス2/バーガーショップ戦記』のDVD発売をかれこれ5年近く待っているんですが、出さないままシレーってしてるつもりですか?それとも、「CSで流したから、もういいじゃん」ですか?
『ダイ・ハード4.0』繋がりか、主役のジムに扮するのは『エクスペンダブルズ』のブルース・ウィリス。男やもめ役なら任せとけ。久々のコメディ映画ではあるものの、元々セリフ回しやその間にユーモアをたっぷり入れ込む俳優なので、全くもって違和感なし。いつもの重めの面持ちに、若干笑顔を増量するだけで立派にコメディ映画の主演を張れている。まぁ、まわりが頑張っているから、いつものブルースでいれるってのもありますが。
相棒ポール役には“黒い出川哲郎”こと、トレイシー・モーガン。もちろん、黒くない方よりも面白さも笑いのキレも上々ですが。ひたすらにアホな役なのに決める時はバッチリ決める、アクションコメディの主役級として随分とアホ側に寄ったキャラなので、決めた時のバツの悪さにも似た違和感を感じてしまうものの、コメディの部分に関しては申し分のない面白さ。作品に合わせてか、元々の持ち味か分からないんですが、ちょっと懐かしい感じもするストレートなコメディスタイルは結構好み。
その他にも、その愛らしさに惹かれうかうか近づくと手痛い目に遭いそうな『ナチョ・リブレ 覆面の神様』のアナ・デ・ラ・レゲラや、『40男のバージンロード』同様さっぱりとした感じが魅力のラシダ・ジョーンズ、何度かブルース・ウィリスと共演済みである『ア・フュー・グッドメン』のケヴィン・ポラックと、ケヴィン・スミス常連俳優が出ていない寂しさを紛らわせてくれる良い顔ぶれが揃った本作だが、やはりなんと言っても『ロード・トリップ』『バレット モンク』のショーン・ウィリアム・スコットが強烈。短い登場シーンながらも、ウザさ爆発。そのウザったさは彼の右に出る者なし。様々異なるコメディスタイルを持つ監督らの作品に出演する彼だが、どの作品においても下手に迎合せず、ショーン・ウィリアム・スコットとしてのベストを尽くす姿勢は、あっぱれの一言。いつか伝説になるな。一部で。
下手に役名なんて付けずに、常に“ショーン・ウィリアム・スコット”でいいんじゃない?
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分かります!!
“ケヴィン・スミス”作品になっているのか、とても心配しながら見ました。
どんどん彼の作品を見たいけれど、(哀生龍が思う)彼らしくない作品は見たくない。
無理せず無茶せず、コメディ寄りで作ったのは正解でしたね。
>『クラークス2/バーガーショップ戦記』のDVD発売
「チェイシング・エイミー」共々、お待ちしております!!
「これがケヴィン・スミスかぁ〜」って思ってはもらいたくないんですよねぇ^^;
きっかけとしてはいいんでしょうが、せめてそっから掘り下げてくれと。
『チェイシング・エイミー』も、「フラれ男のメソメソした痛々しい話なんて誰が観たがる?」って言い分かも知れませんが、私が観たい!