1999年 アメリカ映画 158分 ドラマ 採点★★★★
国民でも政府でもなく、実質的にアメリカを手中に収めているのは一握りの大企業である。軍事企業、石油企業、タバコ企業、メディア企業らは、法の力が及ばないどころか、その法すら変える力を持っている。本作は“一人の男が巨大産業の圧力に屈せず真実を告白する物語”であるが、うがった見方をすればタバコ業界とメディア業界の血で血を洗う覇権争いにも見える。
CBSの人気報道番組のプロデューサー、バーグマンの元に匿名の書類が届けられる。それはタバコ産業を根底から揺るがす極秘ファイルであった。そのファイルを検証・解説できる人物を探すバーグマンは、元大手タバコメーカーの副社長ワイガンドに行き着く。ワイガンドもまた国民に知らせるべき秘密を抱えていたが、その公表を恐れるメーカー側から圧力と脅迫を受けてしまう。

男むさい映画を作らせたら右に出る者はいないマイケル・マン。銃撃戦もカーチェイスもない実話を基にした社会派ドラマの本作であるが、淡いブルーのマイケル・マンカラーに覆われた本作にみなぎるテンションはアクション映画そのものだ。
弾丸を言葉に代えたギャング映画のようである。
豪快にすっ転ぶトムちんでさえ画に収めるマイケル・マンだけあって、舞台が室内か車内と基本的に動きの少ないのにも関わらず、主人公達の一挙一動をしびれるほどカッコよく描く。
トムちんはカッコ悪かったですが。
女性描写が得意とはいえないマイケル・マンは、ワイガンドと妻との葛藤をやや持て余し気味に描くが、途中妻が家を出ることで退場。後は心置きなく“男の物語”に集中してるので安心です。
緊張感をやたらと音楽に頼る作品が多い中、2時間半という長丁場をほとんど音楽に頼らず“画力”によってのみ見せ切るマイケル・マンの演出は見事。

男むさい映画なので、役者ももちろん男むさい。全共闘世代かと言うほど暑苦しい主人公を、『ヒート』に続いてアル・パチーノが文字通り熱演。非常に暑苦しい。『セント・オブ・ウーマン』で味をしめた熱弁振りも板に付き、隙さえあらば熱弁を振るう。それでも「ギャーギャー」騒いでいる印象しか残らない最近の作品から比べればおとなしい方かも。
ラッセル・クロウの方は、まぁアレですね。太ってて酒飲みの癇癪持ちっていう役柄ですから、まぁ地で。
この男臭い“男の世界”的作品に、ハリウッドきっての姉御女優ジーナ・ガーションも出演。全く違和感なし。さすがでございます。

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