1986年 アメリカ映画 100分 アクション 採点★★★★
うちの子供らのオモチャ箱を覗いてみると、車にウルトラマンにボールによく分からない何かの部品などなど、なんの統一感もないごった煮状態でオモチャが詰め込まれてるんですよねぇ。お気に入りだけを詰め込んだ結果なんでしょうが、あまりに世界観がバラバラ。でも遊ぶ時は全部いっしょくたにして、とっても楽しそうに遊んでる。車に乗ったアンパンマンが発射したボールに苦しむウルトラマンを、空から降って来たピカチュウが救うみたいな。きっと息子らの頭の中では、めくるめく楽しい世界が広がってるんでしょうねぇ。いいなぁ。
【ストーリー】
謎の集団に恋人をさらわれたジャックとワン。彼女らを救い出そうとチャイナタウンに向かうジャックらだが、その事件の背後に2000年の時を生きる妖魔ロー・パンの企みがあり…。
『ニューヨーク1997』のジョン・カーペンターによる、ファンタジー・アクション・アドベンチャー・コメディ。なんとも長いジャンル付けではありますが、それでもちょい足りない気がしてしまう一本。
テレビでもよく放映されていたので、カーペンター作品の中でも知名度が高い本作。まぁ、概ね印象は「あぁ!あの変なの!」になっちゃうんでしょうけど。アクションに笑いにカンフーにモンスターと魔術と、ありとあらゆる娯楽要素をぶち込んだ、一歩先が全く分からないチャイナタウンの喧騒と混沌をそのまんま映像化したように賑やかな本作。主人公同様何が起こっているのかサッパリ分からないまま振り回される本作は、ちょっとしたローラーコースター的な楽しさ。軽快なテンポと派手なSFXにごった煮の見せ場の数々と、時代が早過ぎた気もする痛快作に。
突如カンフー大決戦が始まったり魔人が出てきたりと、突拍子ない展開を補完するかのようにセリフがほぼ説明調なのはアレだが、まるで『チャーリーズ・エンジェル』のように好きな物だけを放り込んだオモチャ箱をひっくり返したような楽しさを損なうまででもない。もちろん『チャーリーズ・エンジェル』のような水着の三美女は出てこないが、かわりにモータル・コンバットから飛び出してきたような三魔人が出てくるので、それでチャラ。色気より食い気。
主役のトラック野郎ジャックに扮するのは、カーペンターと4度目の顔合わせとなる『デス・プルーフ in グラインドハウス』のカート・ラッセル。コメディ演技に開花し始めていた頃だけに、これまでのタフで寡黙なヒーローとは大きく異なる、言ってる事はカッコ良いがやってる事がそれについてこない間抜けなヒーローを好演。美味しい活躍の場を全て相方にかっさらわれるこの間の抜けたヒーロー像は、今となってはカート・ラッセルお手の物のキャラクターだが、当時は非常に新鮮だったもので。なんだかんだ言って、カート・ラッセル躍動の影に、常にカーペンターが居るような気が。
また、カーペンター作品には珍しく長い時間登場するヒロイン役に、可愛い絶頂期にいたキム・キャトラル。キャストのほとんどがアジア人なだけに、なにもかにもが開き切ったようなキム・キャトラルの存在感は結構強烈。
その他にも、アジア系俳優として欠かすことのできない存在である『燃えよ!ピンポン』のジェームズ・ホンに『トレマーズ』のヴィクター・ウォン、突然出てきてビックリするダン・イノサントなども印象的。強烈な風貌ながらも、常に群衆に埋もれているような小さな役柄ばかりなので、見つけるとなんか良い事があるような気がするアル・レオンが出てるのも嬉しい。「あっ!あのカッパいた!」って。まぁ、アル・レオンが出てるから嬉しいのか、観てて嬉しくなる映画にたまたまアル・レオンが出てるのかはさて置き。
ロー・パンズ・エンジェル
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓