1982年 アメリカ映画 109分 ホラー 採点★★★★
うちの両親は旅行好きで、小学生だった私をほっぽいてどっかに行ってることも。何時になっても戻ってこないので兄に聞いてみると、「ハワイに行ったよ」なんてこともしばしば。置いてけぼりをくらってふくれっ面の息子に多少負い目を感じるのか、海外の映画雑誌を土産にたんまりと買ってきてくれていましたが、何故か大抵ファンゴリア(ホラー映画専門誌)。
全然ハワイっぽくない。どんな息子だと思ってたんだか。『遊星からの物体X』特集なんてされてた号にゃ、震え上がらせてもらいましたよ。
南極。10万年前に飛来したと思われる円盤が、ノルウェーの観測隊によって発見される。しかし中に潜んでいた物体により観測隊は全滅。その物体は体液を媒体として他の生命体を完全に吸収・擬態化するのであった。やがてその物体は犬の姿を借りアメリカ観測基地に侵入。誰が人間で誰が物体か疑心暗鬼に陥ってしまう。
どうやらこの年は、南極で犬が大変な目に遭う映画が流行っていたようで。
胸が裂け、全身から無数の触手が飛び出し、反転した首から足が生えクモの如く動き回る。この人体破壊の極北かの特殊効果ばかりが注目されがちな作品であるが、作品における恐怖をカーペンターはそこに描いてはいない。「あなたの想像力が、あなたの限界になる」と語るカーペンターは、『ザ・フォッグ』や『マウス・オブ・マッドネス』のように観客の想像力を侵害させぬよう、モンスターをはっきりと画面に現さないのだが、本作ではかなりはっきりとモンスターが映される。しかし、画面に現れるどんな形態にも変身でき、全ての部分が独自の生命を持つ凄まじいモンスター達でさえ、真の恐怖に到達する途中経過でしかない。全てが映されているわけではないのだ。カーペンターは観客に見えない部分、“誰が完全に取り込まれてしまったのか?”“この生命体が外の世界に逃れたらどうなってしまうのか?”という部分に恐怖を演出している。疑心暗鬼に陥った隊員たちによるサスペンス描写の秀逸さや、不気味な余韻を残すエンディングに比べ、本来クライマックスであるべき巨大モンスターとの対決がダイナマイト一本で終わるあっけなさからも、カーペンターが描きたいものがハッキリと分かるはず。
女性キャラクターの描き方があまり上手とは言えないカーペンターだが、本作には女性が一人も出ていないので安心。“観測隊”という割には、学者めいた人物もいなければ仕事をしている様子も伺えないので、雰囲気的には孤立した刑務所および流刑所な感じなのでみんなアウトローにも見える。珍しく大御所に音楽を担当させているものの、結果的にいつもの「ベンベン♪」。“孤立無援”“アウトロー”“手前を急に何かが横切る”“ベンベン♪”と、『要塞警察』から脈々と続くカーペンター節が随所に効果的に染み渡っているので、カーペンター入門編としてもオススメ。
エンディングに「息が白くない方が物体だ!」と、カワイイ噂もまことしやかに囁かれたのもいい思い出で。よく見ると、どっちも息白いんですけどね。
まだまだ序の口
↓↓ぽちりとお願いします↓↓
人気blogランキングへ
カーペンター監督作品は大好きです。
昨日も何度目かの『ゼイリブ』を観たところなので、また書くつもりです。
どーも、彼の独特の音楽(カーペンター節)が癖になってしまっているようで(笑)。
コメント&TBありがとうございます!!
カーペンター映画でしか味わえない楽しみが多いですからね♪はまると抜けれないですよね^^;
怖いはずなのに、笑えるこの不思議(笑)
最後の映像↑みた瞬間に、また爆笑しちゃったじゃないですか(^^ゞ
久しぶりにまた見たくなっちゃった♪
実はこのDVD持っておりまして、ちょっとだけ観ようと思ってもついついいつも最後まで・・・^^;
小屋に幽閉されたブレアが首吊り縄つくってるあたり、確実にウケを狙ってますよね?演出があまりに深刻なんで気付きにくいですがw
ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
この作品は、ジョン・カーペンター監督の最高傑作だと思いますよ。
特にクリーチャーの造形が良く出来いるし、リアルな質感や気持ち悪さは、何でもCGで処理するという、今の映画では体験できないのではないのかな?
また遊びに来ますね。
応援して帰ります。
コメント&TBありがとうございます!!
“重量感”“実存感”は現物には敵いませんからね♪いくらすごいCGでも、「わー。すごいCG」って感想になりますし。
これからもよろしくお願いします!
きっとたおさんならみてるかも
と思ったら(笑)
サンシャインより
こっちの方が面白かった
同じSFでも
完璧になりかわって見分けられないなんてずるい!っておもったけど
>エンディングに「息が白くない方が物体だ!」と、カワイイ噂もまことしやかに囁かれたのもいい思い出で。よく見ると、どっちも息白いんですけどね。
本当なんですか?↑
もちろん観ておりますw
ダビングを重ねたビデオを観ていた時代は光の加減で白い息が見えにくかったのかもしれませんねぇ。まぁ、あのどっちがどっちだかわからない結末こそ、世界崩壊の序曲を感じさせるカーペンター流エンディングだと。
カーペンター監督が音楽を担当していない分、前フリがそこまでしつこくないよーな
特撮よりも、疑心暗鬼な人間の方が恐ろしいと思える名作です。
ほーんと、男気溢れてますねー。ヘタに女子が出演するより気持ちいいです。
まぁ、万が一この作品に女子が出てたとしても、きっとカーペンターのこと、全く見せ場もなく死んでいくだけなんでしょうねぇ^^;