バイオハザード ＩＶ アフターライフ (Resident Evil: Afterlife)

監督　ポール・Ｗ・Ｓ・アンダーソン　主演　ミラ・ジョヴォヴィッチ
2010年　ドイツ／フランス／イギリス映画　97分　アクション　採点★★

かつてやってたラジオの収録の時であろうが、大勢の前でプレゼンする時であろうが、大まかなテーマが頭に入っている以外は事前準備を全くしない私。原稿すら作らない。そんなんだから、話は大いに脇道に逸れ、それを軌道修正したりしなかったりしている内に頭に入ってたはずのテーマ自体からも話が逸れ、出発点と着地点が全く噛み合わないスピーチになることが多いんですよねぇ。もういい歳だから、今度からちゃんと準備しよう。



【ストーリー】
かつての仲間たちが待つアラスカに向かったアリスだったが、そこで出会ったのは謎の装置を胸に付け記憶を失ったクレアだった。そんなクレアと共に生存者最後の希望である“アルカディア”を手掛かりを求めロサンゼルスに向かったアリスは、大量のゾンビに包囲された刑務所に籠城する生存者たちを発見する。彼らの救出に向かったアリスであったが…。



非常にざっくりとした作りなのにもかかわらず、その程良いホラーアクション具合が受けたのか、人気シリーズとなった“バイオハザード”の第4弾。シリーズの生みの親である『デス・レース』のポール・Ｗ・Ｓ・アンダーソンが、1作目の『バイオハザード』以来のメガホンを。
前作『バイオハザード ＩＩＩ』の直後から始まる本作。超絶パワーを持つアリスがワラワラ出てきて大暴れする冗談のようなオープニングに早速不安が走ってしまうが、その不安は結局最後まで解消されず。さすが、ポール・Ｗ・Ｓ・アンダーソン。“ダメな方”と言われるだけある。これまで広げ過ぎた風呂敷を畳みたかったのか、ウィルス中和剤で人間に戻ったアリスだが、その戻った事がなんら物語上意味を成さず、いつもの超人アリスのまま。「ゾンビっつたら籠城だよね！」と基本に立ち返ったつもりなのだろうが、舞台が変わっただけでシチュエーションは全く活かせず。そもそも、ゾンビが出ている映画なのに、“怖さ”の演出が全く出来てないのもどうかと。ゲーム版の演出の方が怖い。また、ドラマチックな展開をしそうな脱走劇など移動シーンもばっさり省略。「こっから逃げよう！」っと言った次のシーンには脱走成功。人物描写も、「アイツや嫌な奴だ」と言われる人間はそのまま悪人で、「ボクは悪人じゃない」って言う人間はそのまま善人という、紋切り型を通り越して無思考型の人物設定。登場人物のほとんどが、何ら役割を持たないまま無造作に死んでいく雑な作りですし。そもそも、営利目的にしろ研究目的にしろ、残り僅かな人類を片っ端に殺していくアンブレラがもう何をしたいんだかさっぱり分からない。
そんなペラッペラな人たちがペラッペラの世界観の中で何をやってるかと言うと、ひたすらアクション。それも変わり映えのない狭い舞台の中で。まぁ、元々３Ｄのアトラクションみたいなもんなので、そのアクションシーンさえカッコ良ければ問題ないのかもしれないが、その肝心のアクションシーンすら突出したものはなく、なんちゃってマトリックスみたいな2010年に観るには観慣れ過ぎたものを含めて観慣れたものばかり。アトラクションとして評価すればもう少しマシになるのかも知れないが、アクションシーンのダイジェスト版みたいな本作を映画として評価するならこれでも甘いくらい。「いやいや、これは映画じゃないから」って言うのならば、せめてジャケットに“バイオハザード ジ・アトラクション！映画じゃないよ！”とデカデカと書いててもらわないと、私みたいなウッカリさんは間違えます。



こんな文句ばっかり書いていても採点を甘めにしたのは、そりゃぁもう『パーフェクト・ゲッタウェイ』のミラ・ジョヴォヴィッチが期待通りのカッコ良さだったから。もう、描きたいのはそこだけなんだろうし、その点に関しては概ね成功しているので採点も甘め。ミラが飛んでミラが走って、あっちでミラが死んでも、こっちから別のミラが飛び出てくるミラ三昧。ミラ嫌いの方にはミラ無間地獄なのかもしれないが、そもそもミラ嫌いは観てないだろうからミラ天国。行き当たりばったりにも程がある内容であっても、これで撮る側にもっとセンスがあればバッチリとキメ込むミラを堪能できたんであろうが、残念ながらそこまで期待できる監督でもないので。
前作に引き続き『キューティ・ブロンド』のアリ・ラーターが登場しているが、この3年で一気に老けたのか、時折ジュリアン・ムーアに見える時も。また、ゲーム版でお馴染のクリス役に、“刑務所から脱走する役だから”なのかウェントワース・ミラーが。その他、中島美嘉なんかも出てたが、皆さん絵としては良いけど役柄としては特に印象に残らず。
最後に「5作目もありますよ！観てね！」って勢いで威勢のいい女の人が出てきて「誰だろー？」と首を傾げてしまったが、クレジットを見たら『バイオハザード ＩＩ　アポカリプス』のジルだ。へぇ。せっかくシエンナ・ギロリーに出て頂いているのにアレだが、印象はやっぱり「へぇ」。


結局いつもの嫁自慢

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Comments

ＴＢサンクスです。
本当にミラ三昧でしたね。
お腹いっぱいでしたｗ

本当に監督が何をしたかったのか
よくわかりませんが、続きますオーラ
出まくりの映画って苦手です。

Posted by oguogu at 2010年12月31日 01:42

おめっとうさん！です。
今年も、いっぱいTBいただけたらと、思っております。何卒よろしく。

＞“バイオハザード ジ・アトラクション！映画じゃないよ！”
そうでしたねえ、てか、バイオ・ハザードを何にも知らずに、よくもまあ、ここまでついて行ってますが、ひとえにミラさんのおかげだろうと。
でも、昔のキレはなかったような気がします。
だいぶ重たくなってきた。
ここまで来たんで、最後まで付き合うつもりです。

Posted by sakurai at 2011年01月01日 08:50

oguogu様、あけましておめでとーございます！
なんか、“作る”ってことだけが決定項で、あとはなーんにも浮かばないまま撮影しちゃったって感じですねぇ。確かにありもののネタをありもののアクションでまとめちゃうのがこの監督の持ち味ですが、これはちょっと継接ぎ過ぎでしたねぇ。

Posted by たお at 2011年01月01日 17:19

sakurai様、あけましておめでとーございます！
ゲームを知らなくても楽しめるのが映画の醍醐味のはずなんですが、本作はゲームを知ってても知らなくても楽しめない一本で。ストーリーも演出も怖さも、ゲームの方がシッカリしてるってのはどうかとも。

Posted by たお at 2011年01月01日 17:21

たおさん。こんにちは。

何とか、ミラでもっている印象ですね。
しかし、そのミラも少し抜けたがっているような雰囲気のようで。

次回作はどうなるのでしょうか？

Posted by de-nory at 2011年01月11日 12:56

de-nory様、こんばんは！
「もうやんねぇ！」って言ってたのに作ったからか、単に演出力が乏しかったのか、ミラに輝きがなかったのは確かですねぇ。。。
ズルズルと続けるのも如何なものかと＾＾；

Posted by たお at 2011年01月11日 17:32