2006年05月10日

ゼイリブ (John Carpenter's They Live)

監督 ジョン・カーペンター 主演 ロディ・パイパー
1988年 アメリカ映画 96分 SF 採点★★★★

反骨精神溢れる男、ジョン・カーペンター。その精神は作品だけではなく、自身の生き方にもみなぎっている。『危険な情事』や『トップ・ガン』などの売れるハリウッド映画の企画をいとも簡単に蹴り、自分の撮りたい作品しか撮らない男である。主人公はアウトローで体制に屈しないのがカーペンター映画の常だが、今回の主人公はホームレス。もうどっぷりカーペンターです。

they2.jpg

仕事を求め西海岸にやってきた男。彼がふとしたことで手に入れたサングラスは、地球を精神的に支配する異星人の姿を見抜く物だった。

they4.jpg

ストーリーはいたってシンプル。その主張も、色々そぎ落とせば“体勢に抗え”と、いたってシンプルである。宇宙人が出てるのが異質なだけで。『マトリックス』からマヤカシじみた禅問答とカンフーとキアヌを取り除いて、宇宙人を少々加えれば本作に。
“宇宙人による支配”という形をとっているが、一握りの特権階級による支配は今現実に行われている事である。CMを利用した消費の促進もしかり。我々がCMを見て購入した商品は、本当に欲しかった商品なのだろうか?CMによって欲しいと思わされたのではないと言い切れるのであろうか?この作品では、“宇宙人によるサブリミナル効果を利用した支配”と小学生にも分かる表現をとっているが、提起している問題は非常に現実的だ。
「観客に“その後”を想像してもらいたい」という意向で、カーペンターの作品にはハッピーエンドは少ない。本作もそれに倣っているのだが、それ以外にも本作には“誘惑”が待っている。『マトリックス』もそうだったのだが、“目覚めた方が幸せなのか?”と迷わせる誘惑である。「真相を知らぬまま、システムに取り込まれていた方が幸せなのかもしれない」と思わせるのだ。正直、自分も自信がないですけどね。

they3.jpg

やはりこの作品で語らなければならないのは、サングラスを巡って行われる格闘シーンであろう。「かけろ!」「イヤだ!」と延々5分以上繰り広げられるこのシーンは、「今なんの映画観てたんだっけ?」と思わせるだけ強烈だ。さすがプロレスラー上がりのロディ・パイパーだけあって、ラリアット、バックドロップ、サイドスープレックスと路地裏プロレスを堪能させてくれる。長すぎますけどね。よく知らない人にメガネをかけさせるのがどんなに難しいかだけは、ヒシヒシと伝わりましたよ。

they1.jpg
もうちょっと優しくお願いしましょう

↓↓ぽちりとお願いします↓↓
人気blogランキングへ

        
posted by たお at 02:02 | Comment(8) | TrackBack(10) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントに収まりきらなかった分をTBさせていただきもうした。

私もこの映画、好きですよ〜 サングラスっ〜アイテムの身近さもあるかもしれませんが、脅迫的な広告が多くなった昨今、この映画の事を思い出したりしまする…

>さすがプロレスラー上がりのロディ・パイパー
実はまだ現役プロレスラーだったります(笑)

Posted by USA-P at 2006年05月11日 00:37
USA-P様、どうもです♪
映画としてのバランスが崩れても、「伝えたい事は伝える!」カーペンターらしい映画ですよね。
ありゃ。現役でしたか^^;
読ませていただきましたが、私も好きなんですよ「カールビンソン」。やはりジョン君がw
犬が出る南極映画って言えば、もちろん『物体X』ですよね?w
Posted by たお at 2006年05月11日 02:00
 トラックバックありがとうございました。

 私は、カーペンター作品の中でもこの映画は
かなり好きな部類に入ります。

 意味もなく、延々とプロレスやっている
場面も良かったですね。
Posted by ぺがすす at 2006年05月30日 06:37
ぺがすす様、コメント&TBありがとうございます!!
結構ファンの多い作品ですよね^^
メッセージ性がだいぶ前面に出ていますが、娯楽性も忘れていないのがさすがカーペンター!
Posted by たお at 2006年05月30日 12:24
わたしも好きです。
これと「ヒドゥン」ですね。
日曜洋画劇場を思い出します。
ラストがこんなに強烈だったとは!
Posted by しゅぺる&こぼる at 2006年11月28日 06:22
しゅぺる&こぼる様こんにちは!
日曜洋画劇場!
放映した映画の名場面をストップモーションで映しながら、悲しげな音楽を流し憂鬱な気分にさせてくれた、日曜洋画劇場。確かにこの辺の作品をよく放映してましたねぇ。
Posted by たお at 2006年11月28日 14:28
たお様☆ 恐らく4小節ほどしか作曲してないであろう、カーペンターの音楽がずーっと流れてて
懐かしかったです。
怖いか怖くないかと聞かれたらコワくありませんが、記憶に残ってるんですよね。
日曜洋画劇場ってスゴイ♪
Posted by Lance at 2007年04月16日 00:43
Lance様こんばんは〜♪
カーペンターの音楽と言えば、『ゴースト・オブ・マーズ』の特典に入っていたサントラ収録風景が印象的で。カーペンターの曲をメタル界の大物連中が演奏してるんですが、もう誰が演奏してもカーペンターの曲にしか聞こえないwそれを聞きながらご満悦のカーペンターの姿が見ものでしたねぇ。
Posted by たお at 2007年04月20日 00:49
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

「ゼイリブ」
Excerpt: B級ホラー映画の帝王、ジョン・カーペンター監督が1988年に撮ったSFホラー・アクションムービー「ゼイリブ」(米国、96分、東宝東和配給)。同映画は、カーペンター作品のなかで最高傑作だ。
Weblog: シネマ・ワンダーランド
Tracked: 2006-05-10 17:44

[私信] ジョン・カーペンター。
Excerpt:    本来は、 たお氏のブログ『Subterranean サブタレイニアン』の『ゼイリブ (John Carpenter’s They Live)』用へのコメントとして書いてみたものの、あまり映画と..
Weblog: Die-Early
Tracked: 2006-05-11 00:41

「ゼイリブ」 を見ました。
Excerpt: 1988年 米 監督 ジョン・カーペンター ジョン・カーペンター・・・微妙なSF感とB級さが好きで、つい気になってしまいます。 ずいぶん前にテレビでもやってましたね。 職を求めにどこからかや..
Weblog: Pico Pico Journal
Tracked: 2006-05-11 19:33

ゼイリブ/THEY LIVE
Excerpt: 怖くない宇宙人、間抜けな宇宙人が笑わせてくれます。
Weblog: 気分次第の私的映画評価
Tracked: 2006-05-14 13:16

VS
Excerpt: 殺生、100万人 近未来地球人vs火星先住民 なんとも興奮するキャッチコピーです。これは巨匠ジョン・カーペンターの『ゴースト・オブ・マース』のもの。火星の先住民族の亡霊が移住していた労働者(人..
Weblog: !!!!! 大佐日報 !!!!!
Tracked: 2006-05-27 11:51

OBEY
Excerpt: もしも周りの多くの人間達が実は宇宙人で自分たちを支配しにやって来ているのだったら…そしてそれに気付くことができたのが自分だけだったら…そんな妄想を子供時代にした人も多いのではないでしょうか? ア..
Weblog: !!!!! 大佐日報 !!!!!
Tracked: 2006-05-27 11:53

ゼイリブ
Excerpt: ゼイリブロディ・パイパー キース・デヴィッド メグ・フォスター Amazonで詳しく見る by G-Tools  『データ』 1988年・アメリカ 1時間34分  〔監督〕ジョン・カーペンター ..
Weblog: シネマ「ランダマイザ」 cinema:Randomizer
Tracked: 2006-05-30 06:34

ゼイリブ
Excerpt:  記念すべき1回目のお題は、ジョン・カーペンター監督のSFサスペンス(と、でも言えば良いのかな?)「ゼイリブ」です。この作品は、何回もTVで放送されているので、ご存知の方も多いでしょう。    不況時..
Weblog: 竜騎士の映画魂
Tracked: 2006-06-10 14:11

ゼイリブ??サングラスをかけよ!??
Excerpt: ジェネオン エンタテインメント ゼイリブ いやあ、ゼイリブ最高です。 久々に見たんですけど、懐かしさ満載です。 何気に音楽がよいのです。 冒頭のブルージーな音楽。 哀愁..
Weblog: 愛情いっぱい!家族ブロ!
Tracked: 2006-11-28 06:24

ゼイリブ
Excerpt:  1988年 米 監督・脚本・音楽 ジョン・カーペンター 出演 ロディ・パイパー/ メグ・フォスター/ キース・デヴィッド / ジョージ・“バック”・フラワー/ ピーター・ジェイソン/レイモン..
Weblog: オタク部屋
Tracked: 2007-04-16 00:40