1988年 アメリカ映画 96分 SF 採点★★★★
反骨精神溢れる男、ジョン・カーペンター。その精神は作品だけではなく、自身の生き方にもみなぎっている。『危険な情事』や『トップ・ガン』などの売れるハリウッド映画の企画をいとも簡単に蹴り、自分の撮りたい作品しか撮らない男である。主人公はアウトローで体制に屈しないのがカーペンター映画の常だが、今回の主人公はホームレス。もうどっぷりカーペンターです。
仕事を求め西海岸にやってきた男。彼がふとしたことで手に入れたサングラスは、地球を精神的に支配する異星人の姿を見抜く物だった。
ストーリーはいたってシンプル。その主張も、色々そぎ落とせば“体勢に抗え”と、いたってシンプルである。宇宙人が出てるのが異質なだけで。『マトリックス』からマヤカシじみた禅問答とカンフーとキアヌを取り除いて、宇宙人を少々加えれば本作に。
“宇宙人による支配”という形をとっているが、一握りの特権階級による支配は今現実に行われている事である。CMを利用した消費の促進もしかり。我々がCMを見て購入した商品は、本当に欲しかった商品なのだろうか?CMによって欲しいと思わされたのではないと言い切れるのであろうか?この作品では、“宇宙人によるサブリミナル効果を利用した支配”と小学生にも分かる表現をとっているが、提起している問題は非常に現実的だ。
「観客に“その後”を想像してもらいたい」という意向で、カーペンターの作品にはハッピーエンドは少ない。本作もそれに倣っているのだが、それ以外にも本作には“誘惑”が待っている。『マトリックス』もそうだったのだが、“目覚めた方が幸せなのか?”と迷わせる誘惑である。「真相を知らぬまま、システムに取り込まれていた方が幸せなのかもしれない」と思わせるのだ。正直、自分も自信がないですけどね。
やはりこの作品で語らなければならないのは、サングラスを巡って行われる格闘シーンであろう。「かけろ!」「イヤだ!」と延々5分以上繰り広げられるこのシーンは、「今なんの映画観てたんだっけ?」と思わせるだけ強烈だ。さすがプロレスラー上がりのロディ・パイパーだけあって、ラリアット、バックドロップ、サイドスープレックスと路地裏プロレスを堪能させてくれる。長すぎますけどね。よく知らない人にメガネをかけさせるのがどんなに難しいかだけは、ヒシヒシと伝わりましたよ。
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私もこの映画、好きですよ〜 サングラスっ〜アイテムの身近さもあるかもしれませんが、脅迫的な広告が多くなった昨今、この映画の事を思い出したりしまする…
>さすがプロレスラー上がりのロディ・パイパー
実はまだ現役プロレスラーだったります(笑)
映画としてのバランスが崩れても、「伝えたい事は伝える!」カーペンターらしい映画ですよね。
ありゃ。現役でしたか^^;
読ませていただきましたが、私も好きなんですよ「カールビンソン」。やはりジョン君がw
犬が出る南極映画って言えば、もちろん『物体X』ですよね?w
私は、カーペンター作品の中でもこの映画は
かなり好きな部類に入ります。
意味もなく、延々とプロレスやっている
場面も良かったですね。
結構ファンの多い作品ですよね^^
メッセージ性がだいぶ前面に出ていますが、娯楽性も忘れていないのがさすがカーペンター!
これと「ヒドゥン」ですね。
日曜洋画劇場を思い出します。
ラストがこんなに強烈だったとは!
日曜洋画劇場!
放映した映画の名場面をストップモーションで映しながら、悲しげな音楽を流し憂鬱な気分にさせてくれた、日曜洋画劇場。確かにこの辺の作品をよく放映してましたねぇ。
懐かしかったです。
怖いか怖くないかと聞かれたらコワくありませんが、記憶に残ってるんですよね。
日曜洋画劇場ってスゴイ♪
カーペンターの音楽と言えば、『ゴースト・オブ・マーズ』の特典に入っていたサントラ収録風景が印象的で。カーペンターの曲をメタル界の大物連中が演奏してるんですが、もう誰が演奏してもカーペンターの曲にしか聞こえないwそれを聞きながらご満悦のカーペンターの姿が見ものでしたねぇ。