2010年12月26日

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を (復仇)

監督 ジョニー・トー 主演 ジョニー・アリディ
2009年 フランス/香港映画 108分 アクション 採点★★★

その人の人格なり性格なりを作り上げているのが、それまでの経験とその記憶だとすれば、何らかのきっかけで記憶を失っちゃったらどうなっちゃうんだろうと、ふと考えちゃう事がありまして。まぁ、その記憶喪失の原因や度合いにもよるんでしょうけど、もし自分が記憶喪失になって、今までの経験なりがリセットされちゃったら、別人になるのか、基本変わらないのか?記憶喪失後に映画とか観てサブタレ書いたら、「泣ける〜」とか書き始めちゃうのか、相変わらずのサブタレなのか?実際そうはなりたくないですが、興味があるんですよねぇ。

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【ストーリー】
マカオに住む娘一家が何者かに襲撃され、娘以外全員が惨殺されてしまったフランス人のコステロ。パリから駆けつけたコステロは、娘から犯人達の特徴を聞き出し、その復讐を誓う。ある日、滞在先のホテルでクワイ率いる殺し屋に出会ったコステロは、彼らに犯人捜しを依頼。確実に犯人に近づく彼らだったが、コステロには重い記憶障害があり…。

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シリーズと言っていいのか定かではないが、『ザ・ミッション 非情の掟』『エグザイル/絆』に続く、ジョニー・トーによる“クワイ・シリーズ”第3弾。
前2作同様、言葉に頼らない男たちの信頼関係や絆、役割分担と連携が完成されている無駄のないガンアクション、約束と成り行きに命を掛ける男の美学が追求された本作。シチュエーションこそ違えど、描こうとしている事は同じ。お約束とも言える食事を挟んで深まる絆のシーンも、男の子の本質を捉えており見事。ちょっとしたプチ自慢から始まって、「おぉ、お前スゲェな!じゃ、これ出来るか?」みたいな感じで仲良くなっていくもんです、男子は。前作でも感じたCGの血飛沫処理は正直如何なものかと思ったものの、ガンアクションの完成度は相変わらず高い。じゃぁ、これまで通り「傑作!」と言い切れるかと言うと、残念ながら受けた印象は“散漫”
“約束の重さ”“記憶だけに頼らない絆”“記憶をなくした男にとっての復讐の意義”と、三本柱のテーマが絡み合う本作だが、どうにも描くべき事が多過ぎたのか、上手くまとまらない印象が。これまで絆の深さを描くのに効果を発揮していたアウトローの些細な日常描写も少なく、それがなぜ彼らがそこまで約束にこだわるのかを不鮮明にしてしまっている感も。一連の作品のファンであれば充分脳内補完が可能だが、ファン以外にとっては説得力が弱い。また、本作にとって最も重要なカギである“記憶”に関しては完全に持て余し気味で、クライマックス以降に蛇足感が。多少の撮り急ぎっぷりを感じつつも、相変わらず美しい夜の映像を背景に描かれる男たちの物語が良かっただけに、機能しきれなかった新機軸が残念。男たちの妥協なき生き様が結果的には“滅び”に繋がってしまう様を描いてきた一連の作品だが、“滅びの美学”そのもののみに注力したかのような物語にも、正直疑問を。

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復讐心は消えゆく記憶と共に失ってしまうが、繋がった絆そのものが彼を突き動かす主人公に扮するのは、『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』のジョニー・アリディ。私より上の世代にとっては、歌手として知られている人物かと。その役柄自体は上手く機能していなかったのだが、顔が持つ気迫は充分に男の物語である本作を引き締めている。絵的にも、ジョニー・トーが求めたであろうフィルム・ノワール色を強める効果も。
そして、クワイを演じるのはもちろん『ザ・ミッション 非情の掟』『ドラゴン・プロジェクト』のアンソニー・ウォン。当然の如く、とてつもなくカッコ良い。ただ、これまでのクワイ同様、屋根から見事に落っこちてみたりと、チーム内で一番無様な姿も見せてくれる。普段は痺れるほどカッコ良いのに、抜ける時はとことん抜けるクワイ役はアンソニー・ウォンにしか出来ない。
そんなアンソニー・ウォンを筆頭に、『エレクション』のラム・カートン、『PTU』のワム・シュー、『ブレイキング・ニュース』のサイモン・ヤムら、お馴染のジョニー・トー一座が集結する本作。誰もかれもが期待通りの好演を見せてくれているのだが、特にラム・シューが素晴らしい。この一連の作品群で常に素晴らしい仕事をしているラム・シューだが、今回も作品に緩急を与える好演を。グループ内にこういう笑えるけど頼りになる奴がいると、ホント結束が強まるんですよねぇ。

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ビデオ撮りしてた方が、状況を整理し易いのでは?

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posted by たお at 03:02 | Comment(2) | TrackBack(26) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これはやっぱ、あんまり細かいとこにはこだわらず、映像にはまれるかどうか!ってとこだったように思えます。
スクリーンでの迫力は凄かったなあ。
「エグザイル」は、映画館上映なかったんで、TVで見ましたが、ぜんぜん違ったように感じました。
あ、11月末に、前のDVDレコがいかれて、ブルーレイ、買ってしまいました。
わざとじゃないですよ。
Posted by sakurai at 2010年12月27日 13:51
sakurai様、こんにちはー!
波が激しいのもジョニー・トー映画の魅力なんですが、同じテーマをとことん突き詰めて描いてきた一連の作品の中に入れちゃうと、やっぱり煮詰め足りなさが目立ってしまうような気がしちゃいましたねぇ。
Posted by たお at 2010年12月27日 16:05
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