2009年 アメリカ/カナダ映画 90分 ホラー 採点★★
消費社会を痛烈に皮肉った『ゾンビ』で、生前の習慣のままにゾンビらがショッピングモールに大挙してたんですが、もし私が死んでゾンビになったら、どこでウロウロしちゃうんだろ?やっぱ、ビデオ屋だな。ビデオ屋で、通路を隈なく右往左往するな。今と変わらないな。
【ストーリー】
突如死体が蘇り人々を襲い始めてから4週間あまり、崩壊状態の軍から離脱し強盗団と化した元州兵のサージら一行は、デラウェア沖に安全な島があるという情報を得る。確証のないままその島へ向かう一行だが、その島では島の実力者同士の争いが行われており…。
前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』と同じ世界を共有する、ゾンビ師匠ジョージ・A・ロメロによるゾンビホラー。西部劇的アプローチが、ちょっぴり新鮮。
主義主張の違う者の意見というのは、自分にとっては受け入れられない間違ったものであり、場合によっては悪でもある。ただ、当然その逆も然り。一方が正しく、一方が間違っているってことは簡単に決められる事ではない。そのようなことが描かれる本作。自らの主張をセリフに乗せて、前面に押し出し過ぎてしまう説教臭さは最近のロメロ作品に顕著なので多少我慢が出来るが、その我慢を解消してくれる輝きが本作に見当たらないのは残念。周囲に溶け込んでいないCGエフェクトに空回りするギャグ、傍観者にすぎない主要キャラたち、そして何よりもゾンビに意味がない。なにかを象徴しているわけでも、絶対的恐怖の存在として君臨しているわけでもなく、ただそこらにワラワラいて、クライマックスにお約束の晩餐会を繰り広げるだけの雑な扱い。とりあえずゾンビの進化系として“人以外も食べてみるゾンビ”ってのが登場するが、その経緯が“適当にやってたら上手くいった”的にざっくばらん過ぎで、『死霊のえじき』のバブと博士関係はおろか、『ランド・オブ・ザ・デッド』のビッグ・ダディにも到底及ばない。「ロメロの作品だから!」「のろのろゾンビだから!」と諸手を挙げて歓迎したくなる気分も分からなくはないが、ここは“ロメロの作品”だからこそ厳しい意見を。
齢70にしてまだまだ意欲を失っているようには見えないロメロ御大。ただの凶暴モンスターと化したゾンビが全速力で走り回る作品が主流となった今だからこそ、そのゾンビ作品群にとどめを刺すような職人の本気ってのを見せて頂きたいところ。時代に逆行してようが、手間が掛かり過ぎようが、トム・サヴィーニ御大を再度引っ張り出して強烈な生のゴア描写をふんだんに盛り込んでくれてれば、尚嬉し。
やっぱり臭い?
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年取ると説教臭くなって困りますね。
もうさすがにあのご老人に期待するのは酷だと思います。