2007年 イギリス映画 106分 アクション 採点★★★
考えてみれば、“必殺”っておっかない言葉ですねぇ。必ず殺すですよ、必ず。子供の頃、安易に「必殺技だー!ビビビビビー!」とか言っちゃってましたけど、必ず殺さなきゃなんなかったんですねぇ、必殺と言ったからには。TVヒーローとかが「食らえ!必殺技だー!」とか言いますが、食らった相手は必ず死んでるんですから、その技がどんなものなのか誰も分からないってこどですよね?怖い言葉だなぁ、必殺って。
【ストーリー】
妻に家を締め出された帰還兵、麻薬組織に妊娠中の妻を殺された弁護士、不当な暴力に怯える会社員ら5人は、いつしか集まり法で裁けぬ悪人を処刑する闇の処刑グループを結成する。警察内部の協力を得ながら麻薬組織のボスに狙いを定めた彼らだったのだが…。
法をかいくぐり、時に法を悪用し世に蔓延る悪への怒り、暴力そのものへの嫌悪と誘惑。言いたい事は良く分かるのだが、描き方がさっぱりなっていないアクション映画。素人が下手に手を出すと痛い目に遭う手ぶれカメラワークも、イライラする以外の効果なし。ただただ重苦しいだけで変化のないサントラも、同様。実際に起きた事件と『ミュンヘン』に影響を受けたらしいが、その辺が感じ取れるのは手際の悪さからのみ。
処刑人となる経緯も、妻子を殺された弁護士と、妻に追い出されて面白くない帰還兵、チンピラに一回殴られた会社員とでは動機の重さが全く釣り合わず、そのバランスの合わないチーム具合がそのまんま作品バランスの悪さに。まぁ、意図してかせずかは不明だが、作品の短絡さとチーム結成から犯行までの短絡さが絶妙にリンクして、妙な臨場感は生まれておりましたが。
これでキャラクターにでも面白味があれば救われるのであるが、作品に箔を付けるためだけに出てきたような『ハリウッドランド』『ダニー・ザ・ドッグ』のボブ・ホスキンスにも、「ダン・エイクロイドかトム・ハンクス親子に似てるなぁ」と思いつつも、最終的に山崎邦正にしか見えなくなる『ミーン・マシーン』のダニー・ダイアも魅力に乏しく、なんともかんとも絶望的な気分に。
ところがどっこい、アノ人がいる。そう、ショーン・ビーンが。ショーンが可能な範囲を救ってくれる。撮影時期が『ヒッチャー』と重なったからか、短く刈り込んだ如何にも“やりそうな”雰囲気で登場するショーン。顔つきが違います。期待大です。ところが戦場から意気揚々と自宅に帰るショーンですが、家に入れません。カギ変えられてます。部屋で奥さん別な男と乳繰り合ってます。初っ端から、この調子です。安心しました。
無言でその場から立ち去るショーンですが、いつの間にか妻への怒りが社会全体への怒りにすり替わってます。それが処刑人軍団結成へと繋がるんですが、他人の入れ知恵です。主体性がありません。主体性のないままリーダーへと祭り上げられてしまうので、時々不安になるようです。警察が現れると心底ドキドキしています。眼が思いっきり泳いでいます。でも、警察が逮捕しに来たわけじゃないと知ると、途端に安心します。心情が手に取るように分かる良い演技です。警察も味方に付けリーダーとしての株が上がったかのように思えたショーンですが、最初の仕事から大失敗をかまします。さすがです。言葉を失いかけました。
本作に於けるショーンのほんのさわりだけ触れましたが、最後までこの調子です。とことん詰めが甘いです。“詰めが甘い”って、ショーンに対する褒め言葉のような気もしてきました。頑張れば頑張るほど救われず、最後の最後にドカンとしてやられるショーン。そんな“観たい”ショーンを腹いっぱい観れたんで、文句無しで★2つオマケ。文句は言わせません。
自分ではもうちょっとやれると思ってた
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
いやぁ、まいりましたよ。コレには。
ショーン・ビーンに釣られ、ジャケ借りしてやっちまった感ありありの脱力感と
たおさんおっしゃる「“詰めが甘い”」だらけのシナリオに、キャラが確立してない俳優陣。
無駄に上手いボブ・ホスキンスなんか
何しに出てたんだろうって感じだし。
話が進めば進むほど、絶望的な気分になってしまいました。
いや、内容じゃなく、その素人くささに。
ほんっとうに、この映画を観終わった時は
「出る映画はちゃんと検討しようよ、ショーン・・・・。」
って思いました。とほほ。
映画としては、どうしようもないレベル。ダメセガール映画の演出にも似た、素人臭さ満載で、「オマエ、よくそんな実力でこれだけの顔ぶれ集めたな?」と言いたくなる作品。
ホント、作品をもっと慎重にショーンには選んで欲しいと思いつつも、ここまで詰めの甘いキャラばかり演じているのを観ちゃうと、それはそれで「選んでるんじゃないのか?」と思ってしまうほどです^^;
何でこうなっちゃったんだろう?
イヤ、こんなヘタレな作品だからこそ、ショーンらしさが輝いちゃう?
この邦題も、間違ってると思うけれど、ある意味“ダメな感じ”がピッタリなのかも・・・(^^ゞ
>何でこうなっちゃったんだろう?
そりゃぁもう、監督に才能がないから。。。
こんな作品に出てしまうショーンの作品選びを嘆くのも良し、こんな作品でも一所懸命底上げに頑張る姿勢を褒めるも良し。
ただまぁ、作品自体は褒めれた代物じゃないw
……( ̄皿 ̄;……
注釈:↑ズバリと図星を突かれてしまい、グゥの音も出ない様を表す顔文字。
そこを褒めでもしない限り、全く観る所のない作品でしたしねぇ^^;
この話、必殺と言いながら最後に一人だけ殺したような記憶があるんですが。(それもS・ビーン氏が行なっていない・・・)。暗殺者になるまでの躊躇と禁忌を踏み出すまでの話と考えればそれなりなんでしょうが、やっぱりバランスの悪い映画でしたね。
ビーン氏、ホント作品選ぼうよ・・・・^^;
>ここまで詰めの甘いキャラばかり演じているのを観ちゃうと、それはそれで「選んでるんじゃないのか?」と思ってしまうほど
あ、実は私もちょっとそう思い・・(^^;
つくづく、何度も見たくなる作品に出て欲しいと願うばかりです。
まぁ、休んでたというか復帰というよりは、記事と記事の間が2年ばかり空いちゃったってのが真相ですが、最近は真面目に書いてます。内容は真面目じゃないですが。
なんか、コメントばかりがたまってくる作品ですねぇ。それも、みんな褒めてない。まぁ、実際褒め所のない作品ですけど。
ショーンの作品選びの下手さが出ちゃってるんですが、下手すると狙ってるかもしれないので油断できません。
ほら!選んでると思われ始めちゃってますよ、ショーン!ここらで一発「こんなショーン映画を待っていた!」みたいな作品に出ないと、“ショーン映画”ってジャンルが出来ちゃいますよ!見てますか、ショーン?