トイ・ストーリー３ (Toy Story 3)

監督　リー・アンクリッチ　主演　トム・ハンクス（声）
2010年　アメリカ映画　103分　アニメ　採点★★★★

子供のオモチャってのは、ホント捨てられないですよねぇ。うちにも片足だけになったウルトラマンだの、首だけのアンパンマンだのゴロゴロしてますが、捨てられない。もう既に原形を留めていない何かのパーツなんかもあるから、どこかに転がっているであろう食べ尽くされ身体だけになったアンパンマンも含めまとめてガガーって捨てちゃえばいいんでしょうけど、それで楽しそうに遊んでいた子供の姿が浮かんじゃって、結局そのまま。まぁ、上の子が飽きちゃったそんなオモチャの数々を、今は下の子が遊び始めているんで、しばらくはこのままでいいかなとも思っているんですけど。



【ストーリー】
ご主人様のアンディも17歳になり、もう遊んでもらえなくなったオモチャ達はオモチャ箱の中に入れられたままとなっていた。そのアンディも大学進学に伴い引っ越すことになり、お気に入りのウッディ以外は屋根裏部屋行きに。しかし、うっかりゴミに間違われ捨てられたオモチャ達は間一髪脱出、サニーサイド託児施設域を決意する。一見オモチャにとって天国と思われたその場所は、クマのぬいぐるみロッツォに牛耳られており…。



人気ＣＧアニメ“トイ・ストーリー”シリーズの、ビジュアル面も格段と進化した11年振りの第3弾。監督には、独身謳歌男に芽生える父性と、子供の成長と共に不要とされるモンスターの哀しみも描かれていた『モンスターズ・インク』のリー・アンクリッチ。
別れと新たな出発が描かれていた本作。これまで“ご主人様”として敬愛されるのみで、特に物語に絡まなかったアンディのオモチャに対する心情が深く描かれ、またオモチャにとっての死を思わせる描写もあることで、全体に一抹の寂しさが付きまとっている。年老いて、かつての元気がなくなってしまった老犬バスターの描写も、その寂しさを増させている。もちろんこれまで通り、笑いあり大アドベンチャーありの誰もが楽しめる娯楽作に仕上がってはいるのだが、別れが決定的なテーマであるので、笑いながらも胸の奥では締めつけられるような思いが残り続ける。しかしながら、本作に描かれている“別れ”は独りよがりのネガティヴな別れではない。子供時代に別れを告げ成長するアンディ、そのアンディへの想いに固執していたウッディが仲間の幸せの為に決意する別れ。そのどちらも別れには違いないが、それは明るい未来への出発の為の別れとして描かれる。人の成長とオモチャにとっての本当の幸せを追求した本作の物語は、非常に心温まる見事な出来。
“オモチャ好きのアンディ”というと『４０歳の童貞男』のアンディを思い出しちゃうんですが、大切にはされているが箱から出してもらえないあっちのオモチャ達って、幸せなんですかねぇ？



『天使と悪魔』のトム・ハンクスや、『ギャラクシー・クエスト』のティム・アレン、『ポイント・ブランク』のジョーン・キューザックらシリーズでお馴染の面々が声を担当する本作。更に『ザ・シューター／極大射程』のネッド・ビーティや『サイレントノイズ』のマイケル・キートン、『ホット・ファズ　俺たちスーパーポリスメン！』のティモシー・ダルトンら錚々たる顔ぶれも声優として登板。
そんな見事過ぎる顔ぶれによって表現されるキャラクター達は、これまで以上に身体を張って笑いを取りに来るミスター・ポテトヘッドを筆頭に、そのどれもが魅力的。オモチャ独自の可愛らしさやユーモラスさだけではなく、“夜な夜なオモチャが動きだす”という捉えようではいくらでも怖くなるその“怖さ”の部分もしっかりと表現されているのは、「流石！」と唸ってしまう。持ち主への想いが付喪神を憑かせたかのような不気味さと哀しさ、赤ちゃんならではの愛くるしさが混ざりに混ざったビッグ・ベビーなんて、本作のテーマを代表するような感じでもう圧巻。話題になったトトロがただ居ただけってのは残念でしたが。アイツも口を開ければ結構怖いのに。
流しっぱなしにして子供に勝手に観させておく作品というよりは、一緒に説明しながら観る作品って感じの本作は、そういう意味で良いファミリー映画なのではと。


幸せのバトンタッチ

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Comments

>人の成長とオモチャにとっての本当の幸せを追求した本作の物語
オモチャたちと関わる人間といえば、彼らの敵シドの方が記憶に残っているのですが、ついに持ち主アンディが重要な役回りに！！
成長と別れと幸せ。
良い物語でした。

>アイツも口を開ければ結構怖いのに
・・・確かに（笑）

Posted by 哀生龍 at 2010年12月10日 06:42

哀生龍さま、こんばんはー♪
シドはオモチャにとって散々な遊び方をする恐怖の対象だったんですが、本作の恐怖の対象って“遊ばれなくなる”というオモチャの死に近いものなんですよねぇ。それがずーっと劇中ぶら下がってるんで、寂しいったらありゃしない！
でも、そんな別れも出会いも出発も、全部自分たちの決断で選んでるってのが、なんとも心に温かいものを残してくれてるんでしょうねぇ。

Posted by たお at 2010年12月10日 16:49

TB ありがとうございます

さすが ピクサーというべきか
３作目にしても クオリティは下がらず

誰でも楽しめる傑作でした

Posted by リバー at 2010年12月10日 20:49

リバー様、こんばんは！
下がるどころか、更にクオリティが上がってましたねぇ。恐るべし。

Posted by たお at 2010年12月11日 01:17

PIXARには毎々びっくりさせられるんですが、そんな中でも多少軽く見ていた作品があります。
それがトイ・ストーリー。
しかし、今作を見てそんな見方が間違っていたことを思い知らされました。
おもちゃたちの冒険は、人間が彼らにどのくらい思い入れを持っていたかの象徴にすぎなかった。
全体のストーリーも素晴らしかったですが、ラストのアンディの心情を思うと、とてもいたたまれず、単なる「物」との惜別にとどまらない奥深さを感じました。

Posted by KGR at 2010年12月11日 01:57

やっぱＤＶＤは買いかなぁ。見たとき、買う！って決めてたんですが、忘れてました！買います、はい。
末っ子と見に行きましたが、冒頭から号泣。。
観終わって、今回ばかりは３Ｄ眼鏡に感謝しました。
もうわなわな泣いてましたが、もかい泣こ！
最近、映画でお目にかからなくなったマイケル・キートンの声を聞きたいと思います。
何気に所さんのバズも好きなんですが。

Posted by sakurai at 2010年12月11日 08:54

ここからアマゾン行って、買ってしまいました・・・。

Posted by sakurai at 2010年12月11日 08:58

KGR様、こんにちは！
“オモチャが動いたら面白い”って所で留まっちゃうんではなく、オモチャと人との関係やそれが生み出す幸せなど、とことんそのオモチャの持つ意味と与えるものを考え抜いたシリーズなんですよねぇ。それが本作で如実に出た感じで。

Posted by たお at 2010年12月11日 13:48

sakurai様、こんにちは！
悲しいけど前向きなラストといい、ホント良い物語でしたよねぇ。子供以上に親が感動する映画でした。
私も観た後「買おう！」と思うDVDが結構あるんですが、いつの間にか忘れてしまい買いたいDVDが山ほどに＾＾；
＞ここからアマゾン行って、買ってしまいました・・・。
4分あまりで決断するその速さと行動力には感服いたしますｗ

Posted by たお at 2010年12月11日 13:59

『４０歳の童貞男』もアンディだったか（笑）
箱に入ったままといえば２作目のプロスペクターを思い出します。

トルティーヤのポテトヘッドもビッグベビーに負けず劣らずホラーしてたと思うんだけど、笑っちゃいました。

Posted by kenko at 2010年12月12日 22:55

kenko様、こんばんはー♪
まぁ、あっちのアンディはオモチャが好きってより、集めるのが好きって傾向がありますけど。
ぺらっぺらのポテトヘッド、あいつは怖い！色んなところがずれてて怖い！

Posted by たお at 2010年12月13日 14:10

たおさん。こんにちは。

とても素適な話だったと思います。
しまわれているだけのおもちゃ達は、確かに幸せではないでしょうね。
次の思い出作りに回れてよかったと思います。
子供よりは、むしろ大人のためのアニメのように感じました。

Posted by de-nory at 2010年12月14日 07:37

de-nory様、こんにちは！
良い物語でしたねぇ、ホント。
子供がオモチャで楽しむ幸せが、そのままオモチャの幸せになっているってのが良く分かる作品でした。

Posted by たお at 2010年12月15日 16:42

ご無沙汰しております。
コメントとTBどうもありがとうございました。
うちの息子がこの映画を理解してくれる時が
早くきて欲しいような、きて欲しくないような。
アンディみたいないい子に育ってくれるといいんだけど。
登場オモチャひとつひとつがいい味出してて
さすがです！

Posted by kino at 2010年12月17日 01:01

kino様、こんにちはー！
子供がこの映画を理解するようになったら、なんとも成長しちゃったなぁと感慨深くなっちゃうんでしょうねぇ。私も子供らと同じ映画を楽しみたいと思いつつ、いつまでも子供のままでいて欲しいとも思っちゃうんですよねぇ＾＾；

Posted by たお at 2010年12月17日 15:39