2008年 アメリカ/ドイツ映画 115分 アクション 採点★★★
今でこそ生まれ育った地元で暮らしていますが、遠距離の通学だった中学時代からほぼ各地を転々としていた私。常にアウェイ。「地元どこなんですか?」とか「どこから来たんですか?」ってのが、いつも最初に聞くセリフ。常によそ者扱いって一見辛そうですけど、“よそ者”って色々エクスキューズが効くんで便利っちゃぁ便利。なにかと親切にしてもらえますし。逆に、地元にいるもののほとんど地元にいなかったんで、なにかと中途半端な立場の今の方が辛かったりも。
【ストーリー】
宇宙船の故障により、バイキングの時代のノルウェイに漂着したケイナン。しかし、漂着したのは彼だけではなく、その宇宙船に紛れ込んでいた謎の巨大生物も逃げ出し、近隣の村を襲い始める。地元の民と協力しその怪物討伐に向かうケイナンだったが…。
ソードファンタジーにSFを絡めてみた、アイディア勝負のSFファンタジー・アクション。ちょっと前なら、エンパイアピクチャーズあたりが作ってそうな感じ。それか、「作るよ!」って言っておきながら作らない感じ。
“ドラゴンなど伝説の怪物は宇宙由来なのかも!?”ってなアプローチを見せるのかと思ってみるも、案外ストレートに“バイキング&宇宙人連合 VS 宇宙怪獣”って感じだった本作。多少肩透かしを覚えたものの、二種の宇宙生物が地球に飛来し戦いを繰り広げるという、まんまウルトラマンの第一話的物語は、舞台が荒くれ揃いのバイキングの時代に設定しているだけに期待を膨らませるし、超科学的な兵器ではなく刀と肉体で戦いを挑むバトルシーンも面白い。宇宙怪獣こそが被害者であり、そういう事態を巻き起こしてしまった主人公が悔い改め、地球を侵略の手から自ら守る決断をする姿も好印象。まぁ、あれこれ盛り込み過ぎて継接ぎした感じも否めませんでしたが、物語的には面白い。
ただ惜しむべきは、せっかく主人公が宇宙人だってのにそこを全く活用していない。見知らぬ未開の惑星で、原住民と交流を交わしながら怪物と戦うってのは、当の本人にとってはとてつもない大アドベンチャーのはずなのだが、それが全く感じられない。もうなんか、ちょっと隣の町から来た感じの普通の人。手が異様にベタベタしてるとか、足の指が一本多いとか、『ヒドゥン』のカイル・マクラクランみたいに立ってるだけで違和感があるとか、身体的・能力的特徴がちょっとでもあれば周囲との違和感や作品的個性が容易に生まれたのであろうが、本作の主人公は宇宙人だってことすら忘れてしまうほど普通の人。敢えて普通にした理由も見当たらないのが、なんとももったいない。
宇宙人に扮するのは、『デジャヴ』『unknown アンノウン』のジム・カヴィーゼル。卑しい感じの男前なのでサスペンス映画では引き立つ役者であるが、主演となるとイマイチ薄い。その薄さもあってか、本来なら大アドベンチャーを体験中である主人公の戸惑いや驚き、好奇心や蔑視の念など、感じて当たり前の感情が感じられなかったのかも。
扮装が扮装のせいか、皆“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズからスライドして来たかのように見えちゃって印象に残りづらいのだが、ヘルボーイ親子コンビで登場する『Vフォー・ヴェンデッタ』『スケルトン・キー』のジョン・ハートと、『スティーヴン・キングのデスペレーション』『ダウン』のロン・パールマンは、そんな扮装をものともしない個性を強烈に発揮している。さすが。ヒロイン役である『アンダーワールド2 エボリューション』のソフィア・マイルズが、なんともムチムチした強面顔だったのにはガッカリしましたが。
先に挙げた不満や、“王位継承”ってサイドストーリーがあるものの、単位が“村”なので村長クラスのスケール感しかなかったり、肝心の怪獣の造形が、なんともゴチャゴチャした分かりづらい上に印象に残らないってのが残念ではありましたが、ちょっとした拾い物って感じで楽しめはしたので、まぁこんな評価で。
伝説の怪物まではなれそうにない
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