1994年 アメリカ映画 121分 サスペンス 採点★★★★
弁護士のお世話になったことはないですし、出来れば今後もお世話になりたくはないたおです。ただまぁ、お世話にならなきゃいけない状況に陥っちゃったら、もう唯一の頼みの綱みたいなもんなんだから、どうせなら見た目も含めて頼り甲斐のある弁護士にお願いしたいなぁとも。見た目よりも実力かも知れませんが、ジョン・ロヴィッツみたいな弁護士とクリスチャン・ベールみたいな弁護士だったら、そりゃあもう後者の方が安心できそう。
【ストーリー】
とある弁護士の自殺を目撃してしまった、11歳のマーク。弁護士の死の直前、彼はマフィアに関係する重大な秘密を聞かされていた。マークの証言が欲しい検事局は執拗にマークに迫る一方、マフィアの魔の手も迫っていた。頼る者がいないマークは、わずか1ドルで女弁護士のレジーを雇うのだが…。
90年代、大物スター競演での映画化が続いたジョン・グリシャム原作によるサスペンス。監督は、大掛かりな作品ではヤケッパチの作風が目立つものの、小品では手堅い演出を見せる『フォーリング・ダウン』のジョエル・シューマカー。
弁護士と検事のスリリングな丁々発止を堪能する法廷劇と言うよりは、シンプルな犯罪サスペンスをベースに、法律の専門家同士の法律のシステムを駆使した騙し合いを随所に挟んだって感じの一本。対マフィアではなく、あくまで法律で依頼人を如何に守り通していくかを描いている。確かに不満点は少なくはない。マフィアのあまりのマヌケっぷりはさて置いても、いくらでも解決の糸口が見つかりそうな所を延々遠回りするストーリーラインもそうだし、愛する子を手放してしまった弁護士と依頼人との疑似家族的関係や、わずか1ドルで依頼を受けた心情、スター検事の内面など、憶測で脳内補完は出来るが、やはり書き足りなさは拭えない脚本ではある。相変わらず未読ではあるのだが、多分原作ではその心理描写に大分ページを割いているのではと。
ただ、その心理描写をメインに描いてばかりでは、動きの少ない映画になってしまう可能性が高いのも事実。そう言った意味では、内面情報を最低限に抑え、スリルとテンポを重視した動きのある作品に仕上げたのは娯楽映画として正しい。書き足りていないと言っても、強い母性に突き動かされている弁護士と、良くも悪くも行動心理が子供である依頼人との間に芽生える感情は充分伝わっている分、ラストに心地の良い感動を味わえる。
会話のリズム、醸し出されるユーモア、言葉の力強さなどなど、『ラブリーボーン』のスーザン・サランドンと、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』『チアガール VS テキサスコップ』のトミー・リー・ジョーンズの持つ高い技量が存分に発揮された本作。足りてない部分を、この二人で存分に穴埋めしてくれている。感情を走らせるだけではなく、この二人の押してスカしてかわして取るみたいな話術の応酬は、なんと言うかカンフーの達人同士の戦いを見ているかのようなスリルと興奮を味わえる。
そんな彼ら以外にも、脇をガッチリ固める役者として貴重な存在だったJ・T・ウォルシュや、一時はどんな作品でも顔を見たが最近はちょっとご無沙汰である『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』のウィリアム・H・メイシー、そのウィリアム・H・メイシーと共に担架を運んでいるシーンだけ見ると“ER”みたいだった『フォーガットン』のアンソニー・エドワーズ、そもそもコイツが子供を追い詰めなければ面倒な事にはならなかった『THE 4TH KIND フォース・カインド』のウィル・パットンなど、実力派が周囲を固めた本作。だがやはり、その早過ぎる死が衝撃を与えた、『ジャケット』『狼の街』のブラッド・レンフローの存在抜きでは、本作は語れない。まるで本当にトレーラーハウスから出て来たかのような本作のレンフロー。早々と社会に見切りをつけたかのような醒めた目線と、その社会に対する怒り、大人びてはいるが所詮11歳の子供らしさも垣間見せる本作のレンフローは、鮮烈なまでの印象を残す。期待されながらも軌道に乗れず、ようやく大人の俳優として復活を遂げたばかりの死は、なんとも残念。本来なら、「この頃はこんなに可愛かったのに」と笑い飛ばせたはずが、そうは出来ない現実がなんとも。
役柄のその後とだぶってしまう
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