2008年 アメリカ映画 111分 コメディ 採点★★★★
惚れるのも飽きるのもずば抜けて早いくせに、立ち直るのはとっても時間が掛かるたおです。グズグズです。明確に原因があってフラれてるんだからその問題を見つめればいいのに、「誰と?いつ?なにを?」と、今となってはどうでもいいことばかり気にしちゃうんですよねぇ。さっさと前へ進めばいいのに、「こっちは一人寂しく過ごしてんのに、今頃彼女は…」とグズグズ。男ってのは、常に下半身を中心に物事を考えちゃう傾向にありますよねぇ。困った困った。
【ストーリー】
突然TV女優のサラにフラれたミュージシャンのピーター。その失恋から全く立ち直れない彼は、気分転換の為に一人ハワイへと向かう。しかし、そこで新しい恋人とバカンスに来ていたサラと鉢合わせ。ますます落ち込むピーターだったが、ホテルのフロント係の美女レイチェルといい関係になっていき…。
自身の経験も織り交ぜながら書かれたジェイソン・シーゲルの脚本を、ジム・キャリー作品の脚本家としても知られるニコラス・ストーラーが監督をしたラブコメディ。製作はもちろんジャド・アパトー。最近まとめて再観賞しているアパトー関連の作品だが、本作もこれまた何度観ても面白い作品。
失恋から立ち直れずグズグズになっている主人公が、そもそも失恋した男が一人で行くには最も向いていないハワイで、南国ホスピタリティーをあれこれ見舞われる様を描く本作。フラれ男のグズリっぷりは大いに笑えるのだが、その行動や心理はとても他人事とは思えぬ見事な捉えっぷりで、爆笑しながらもどこか記憶の奥の方をチクチク突き差す痛さも。フラれた男にとっては、振った彼女と新しい男が諸悪の根源でいてもらいたいと思いたがるものだが、本作ではその辺は冷静。双方に問題と原因があることをしっかりと描かれている。常識のベクトルが凡人とはだいぶ違う方向を向いちゃってるが、新しい彼氏はかなりの良い奴ですし。双方の問題をフラッシュバックで振り返りながら、徐々に新しい恋に向かって進んでいく経緯も上手い。
確かにネタが結構下半身の方向に向いてる部分もあるので、「下品ですわ!」の一言で済まされてしまう可能性もあるのだが、その下半身の部分も含め「案外そんなものだよねぇ」と大いに納得できるほど恋愛の一面を正面から描いている本作。主人公が新しい恋に心が向いている事を知るきっかけも、女性からすればバカバカしいと思われるかもしれない事だが、男の私からすると「あれだけやられてスタンバんなかったんだから、本物だ!」と大いに納得。そんなもんなんです。男って。
ぶらんと全裸で始まり、ぶらんと全裸で終わる主人公に扮するのは、“アパトー・ギャングの脱ぎ担当”としても知られる『40男のバージンロード』のジェイソン・シーゲル。その絶妙に締まりのない身体から発せられるノンビリとした空気が、彼女の言うことは基本何でも聞く優しい男だが、反面肝心な事には気付かない鈍感さを持つ主人公にピッタリ。何をするにも、バネを思いっきり後ろに引かないと動かない様も然り。
悪気はないものの、自分の価値観を押し付けてしまう傾向にある元カノ役である『ファンボーイズ』のクリステン・ベルも、その幼く勝気な顔立ちが役柄にハマっているし、同じ勝気な顔立ちでも、ネコ系の奔放さを持つことでクリステン・ベルとは正反対の役柄を演じた『ザ・ウォーカー』のミラ・クニスもハマり役。冷静に考えると、主人公羨まし過ぎるほどモテる。
その他にも、扱い的には“友情出演”だが、その“友情”の部分に嘘偽りがない『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』のポール・ラッドや、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』のジョナ・ヒル、『アドベンチャーランドへようこそ』のビル・ヘイダーら、もうサークルみたいなお馴染の顔ぶれに、なんかお久しぶりのウィリアム・ボールドウィンと嬉しい顔ぶれが揃った本作だが、やはり凄まじく強烈な存在感を放っているのが、ロックスター役のラッセル・ブランド。“良い意味での気持ち悪さ”って意味が通じる言葉なのかいささか不明だが、そういう風にしか表現できない気持ち悪さ。でも、憎めない。でも、関わりたくはない。イイ奴だけど。そのラッセル・ブランドとジョナ・ヒルコンビで贈る、本作のスピンオフ“Get Him to the Greek”。まぁ、日本ではDVDが出てくれるだけでも御の字な感じの作品ではあるんですが、待ち遠しいですねぇ。
火花散る品定め合戦
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
たおさんが書かれているように・・・
緩くて心優しくて鈍感な主人公。
童顔で勝気で独善的な元カノ。
“良い意味での気持ち悪さ”全開の元カノの今カレ。
などなど・・・
脱ぎ担当シーゲルの下半身ネタも楽しく、あははは・・・(苦笑)な“あの声”対決も好きだなぁ〜
ホント、面白い作品ですよねぇ。
キャスティングも見事にハマってましたし、ネタもストーリーも好き!
“あの声”対決も下品な笑いに終わらせず、その瞬間の関係図を表す上手い使い方でしたし。