1983年 カナダ映画 103分 サスペンス 採点★★★★
もし過去に戻れてナチス台頭以前にヒトラーを殺す事が出来れば、後に虐殺されるユダヤ人の命が救えるのだろうか?個人的な見解なのだが、それが可能だとしても別の何者かの出現によって、結局は命を落とすのではないのだろうか。または、同数の人命がなんらかによって失われるのではと。不幸と幸福は常に一定の数で存在しているのではと考えてるんですよ。劇中、主人公によって命を救われる少年がいるが、その少年が巻き込まれるはずだった事故では2名の少年が命を落としている。主人公は、“3名”死ぬはずだった事故から1名を救ったのではなく、“2名”の中から救ったのではないだろうか?助かった少年の代わりに、別の少年が命を落とす結果になってしまったが。
一人の幸福の下には、必ず一人の不幸があるのではないだろうか?

教師のジョン・スミスは交通事故に遭い、5年もの間昏睡状態となってしまう。昏睡から目覚めた彼は恋人も仕事も失ったが、一つだけ得た物があった。手を触れることによって、相手の過去や未来などを見ることができるのだ。そしてある日、大統領の座をも狙う野心的な上院議員候補者と握手をした際、彼が恐ろしい出来事を引き起こす事を予見してしまう。

キングは、平凡な名前の平凡な職業の人々…私達と同じ小市民を襲う不幸を描く。そして彼らは、襲い来る悲劇に抗う事の出来ぬまま飲み込まれてしまう。『ペット・セマタリー』で、我が子を失い蘇らせたい一心で呪われた地に埋葬し、結果怪物と化した子供によって妻をも失う悲劇を描くが、主人公はその悲劇に抗えず、妻をもその地へ埋葬しさらなる悲劇を呼び起こしてしまう。
本作も悲劇である。劇中で描かれるエピソードでは、誰一人として幸福を得ることがない。殺人事件を解決しようが、事故から命を救おうが、誰の手にも幸福が訪れない。キングが主人公をヒーローとして描いていないからだ。望みもしない力によって、望みもしない出来事に巻き込まれていくだけなのだ。
解釈はそれぞれであろうが、ラスト、主人公は己の正義感からではなく、己の運命を悟り、抗う事をやめた上での行動なのではと思えてしまう。

“クローネンバーグ論”は得意分野でないので割愛を
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ドリームキャッチャーでもしかして次あたりくるかなー?と思っていたらドンピシャリ(笑)
マイ・ボディーガードの老けっぷりからは考えられないくらい美青年だったのにと思える作品ですよね←違っ?(^^ゞ
ペットセマタリーでも感じましたが、心をエグるような作品だなあと思います。キング原作の映画の中では、これも好きな作品。あ、ペットセマタリーも好きです。
きっと、一つ不幸を救ってもどこかで一つ不幸が起きるんだと私も思います。でも、目の前に救える命があるのなら、多分救ってしまうんだろうな・・・。
キングをしばらく続けようとも思いましたが、気が滅入るので一旦休憩で^^;
私も『ペット・セマタリー』は大好きで、読みながら号泣してました。ホラー小説で号泣したのは『ペット・セマタリー』と『サマー・オブ・ザ・ナイト』くらいで。
オープニングの坊ちゃん刈りのクリストファー・ウォーケンが最大の衝撃でしたが、あとはいつもの総毛立ち頭になってたので安心です。時折ボウイっぽく見えたのは私だけですか?