ソルト (Salt)

監督　フィリップ・ノイス　主演　アンジェリーナ・ジョリー
2010年　アメリカ映画　100分　アクション　採点★★

秘密を持ち続けるのも内緒話を聞くのも、イマイチ苦手な私。普段はお喋りな割に口は堅いんで言いふらすことはないんですが、秘密を持っちゃった事自体がプレッシャーで嫌だ。秘密を知っちゃった相手が目の前に居ちゃうと、「うわぁ、この人オレが秘密知ってるのを知らないんだぁ…」と可哀想になってきちゃう。“憧れの職業ランキング”にスパイってのが入り続けている私ですが、全くもって向いてないですねぇ。



【ストーリー】
ＣＩＡ本部にロシアからやって来た謎の密告者が現れる。優秀な分析官であるイヴリン・ソルトが尋問を担当するが、その密告者は大統領暗殺を企むスパイが潜伏していること、そしてそのスパイの名が“イヴリン・ソルト”であることを告げる。窮地に陥ったソルトは、その場から逃走するが…。



『パトリオット・ゲーム』のフィリップ・ノイス監督、『リベリオン　反逆者』のカート・ウィマー脚本による、ポリティカルアクション。プロットを見る限り、“疑惑を晴らすために大統領を救おうとする主人公”って王道路線か、『追いつめられて』路線のいずれかの展開を想像するが、本作はどっちも。それはそれで、ちょっと新鮮。まぁ、カート・ウィマーの脚本って、裏の裏をかいて表に戻るってパターンが多いんで、お馴染っちゃぁお馴染なんですが。
とどのつまり『ボーン・アルティメイタム』と言うか『影なき狙撃者』と言うか、まぁそんな感じの本作。ことのほかスケールの大きい物語を、目まぐるしい展開とスピーディな演出で描き、派手なアクションを要所要所に挟んで短時間でまとめ上げた一本。スケールの割に主要人物を少人数に絞っているので、コンパクトに仕上がっているのも魅力。ただ、その力任せなスピード感もあってか、観賞中矢継ぎ早に浮かぶ疑問の数々が解消されぬまま、「ハイ、おしまい！」と強引に着地してしまっている感も。“アメリカ崩壊計画”の説得力の無さも痛い。“ロシア大統領暗殺→ロシア国内で反米感情高まる→色々あって一発触発の状態”まではなんとなく分かるのだが、ロシアとの緊張状態が生まれた結果取る行動が“アメリカの核ミサイル掌握→中近東目掛けて発射→イスラム教徒激怒→テロ多発→アメリカ大弱り→ロシアメシウマ”ってのは、回りくど過ぎないか？政府の中核まで複数スパイを送り込んでいるんだから、もっとやれることあるんじゃないか？



そんな説得力の少ないプロット、派手だが目新しさのないアクション、一応オープニングに関連付けて説明はされるが腑に落ちるとは言い難い主人公の行動原理と、不満も多かった本作だが、アンジェリーナ・ジョリーの七変化を楽しむ分には概ね満足。
『Mr.&Mrs. スミス』や『ウォンテッド』でもそうなのだが、アンジェリーナ・ジョリーはダーク系の髪色でのアクションが似合う。素晴らしく映える。ドＳ路線のコスチュームだと尚更に。ちょっと痩せ過ぎの感じもしたが、黒のロングストレートヘアーで拳銃を握る彼女は、ただその姿を見ているだけでもとても面白い映画を観ているような気にさせる力を持っている。ただ、顔の輪郭が強調されてしまう男装時の変な髪型のままクライマックス以降を過ごされてしまうので、いささか居心地が悪かったですが。
アンジェリーナ・ジョリー一本に絞ったような作品なので、他の役者の印象が散漫ではあるんですが、“見た感じは怪しいが、その裏の裏をかいてやっぱり怪しい”役柄を演じさせればピカイチである、『レポゼッション・メン』『ファントム』のリーヴ・シュレイバーや、色んな作品で観ているはずなのに、残っている印象が常に“涙目の人”である『ラブ・アクチュアリー』『インサイド・マン』のキウェテル・イジョフォーらは、大体期待通りの活躍。
ブルーレイに入ってた劇場版よりちょい長い“ディレクターズ・カット版”ってのと、総本山に乗り込む別エンディングの為に中盤の編集が強引に変えられている“別エンディングディレクターズ・カット版”ってのも観比べてみたが、特に印象は変わらず。好みとして、別エンディングの方が好きかなぁって程度だったので、お暇でしたら観比べてみてはと。


シリーズにするなら、ソルトよりフォックスの方を是非

↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
　　　

　　　　　　　　

　　　　　　　　

Comments

いつもどうも。

旦那は「イングロリアス・バスターズ」でもぶち殺されてましたが、あれがブラピに気にいられてのキャスティングとか、どっかに書いてありました。

ラストに含みを持たせて、もしかしたら続編あるぞと思わせるのは最近の常ですね。

ストーリーはおっしゃるようにあまり説得力無かったけど、アクションは面白かったです。

Posted by KGR at 2010年11月26日 16:27

KGR様、こんばんは！
「いい死にっぷりだなー！」って感じなんでしょうかねぇ？
続編が出来たら・・・別にどうでも＾＾；
だったら、アノ手コノ手を駆使してフォックスを復活させてくれた方が。
ジェイソンだって落雷一発で蘇るんだし。

Posted by たお at 2010年11月26日 17:02

左にいる、水を追いかけているネコちゃんがカワイイですね♪

DVDやブルーレイには別エンディングとか、ディレクターズカットとか入っているんですね。

あれこれ悩まないで、この映画はコレ１つ！という風にガッチリ作って欲しいです。
ドレが本物か？って見る方も迷ってしまいますね。

Posted by vic at 2010年11月26日 22:03

vic様、こんばんは！
ジョン・カーペンターみたいに、「劇場公開されたのが、オレのディレクターズ・カット版だ！」って言い切れるくらい男気があればいいんですけどねぇ。
アノ猫は可愛いですよねぇ。うちのもあれくらい可愛ければいいのに。。。

Posted by たお at 2010年11月27日 02:40

アンジェリーナさんのための映画でしたから、なんら支障はなかったのですが、旦那が一番かわいそうだった。
実は！！みたいなもんは･･･ないですよね。
そっか、脚本、「リべリオン」の人だったのか。納得しました。
絶対に名前の覚えれらないあの人、キウェテル・イジョフォーさんですが、やはり一番インパクトあったのは「キンキ・ブーツ」だと思いますわ。

Posted by sakurai at 2010年11月27日 10:36

TB ありがとうございます

アンジー版 ボーンといった感じで
とにかく スピーディに進むため 飽きずには見れましたが

ちょっと説明不足感が・・・

Posted by リバー at 2010年11月27日 13:01

sakurai様、こんばんは！
あの旦那、なんかありそうでなーんにもなかったですねぇ。どのバージョンでも、結末は変わってませんでしたし。
『キンキー・ブーツ』は観ていないんですが、アノ人は名前を覚えられない上に、見ながら読んでも噛みそうですねぇ。

Posted by たお at 2010年11月27日 16:56

リバー様、こんばんは！
「女版ボーン作れないかなぁ」「いいね！」って感じでしたねぇ。
確かにスピード感だけはありましたねぇ。。。

Posted by たお at 2010年11月27日 16:57

回りくどいというか、気が長いというかまどろっこしい計画でしたね〜(^^;)　でもまあ、アンジェリーナ・ジョリーのアクションでそういうことも気にならなくなっちゃいました（笑）　やっぱり、彼女にはアクションが似合うと思いました〜(^^)

Posted by りら at 2010年11月27日 19:15

りら様、こんばんはー♪
核ミサイルまで掌握してるってのに、そっからまたひと手間ですからねぇ＾＾；

Posted by たお at 2010年11月28日 01:57

>アンジェリーナ・ジョリーの七変化
スパイに向かない“私は、アンジーよ！”な強い印象を植え付ける彼女は、どこからどう見ても、どう変装しても、可愛い妻であっても、見間違いようが無かったですね（爆）
それでも、腕のいいスパイの七変化なんです！

Posted by 哀生龍 at 2011年01月20日 06:38

哀生龍さま、こんにちは〜♪
＞それでも、腕のいいスパイの七変化なんです！
と、自分に言い聞かせるしかない作品でしたねぇ＾＾；
概ね想像通りのアンジー映画でｗ

Posted by たお at 2011年01月20日 15:48