1980年 アメリカ/香港映画 96分 アクション 採点★★
話題作りの為だけにアメリカ公演を行う、“国民的アイドル”という冠を付けてもらってる二束三文のアイドルグループやら、「アイドルなんてヤダー!ボクはシンガーになるー!」と実力の裏打ちもなんにもないのにアメリカに渡る青二才など、箔付けの第一歩としてアメリカを目指す人って多いですねぇ。別にいいんですが、せめて国内では向かう所敵なしって地位まで上り詰めるか、これでもかって程の自信と実績を持ってから、アメリカでもどこでも行けばいいのに。そこまでやって井の中の蛙だったことを知るなら、得るものは大きいんじゃないかと。

【ストーリー】
30年代のシカゴ。日々料理人の父に戒められながらも、伯父のもとでカンフーの修行を続けるジェリー。ある日、ギャングに兄嫁を誘拐されてしまい、交換条件として、世界中から屈強なファイターが集まるバトルクリークで行われる格闘大会への出場を強要される。

監督ロバート・クローズ、音楽ラロ・シフリンという、『燃えよドラゴン』布陣で製作された、ジャッキー・チェン初アメリカ進出作品。
まぁ、“アメリカ映画”とは言ってもがっつりレイモンド・チョウが噛んでるんで、受ける印象はまんま香港映画。今回観たのが、パイオニアLDCから出てる揃いも揃って全員広東語を喋るヤツなんで、その印象は更に濃厚。フィルムの保存状態のせいか、シーン毎に色合いが変わってたり、ノイズが走りまくってたりするのだが、それはそれで昔の映画館を思い出しちゃうんで、結構好き。
基本3行で済む物語ではあるが、ジャッキーのアメリカへのプロモーションって意味合いも強い作品らしく、ジャッキー自身の見せ場は豊富。ただ、その見せ方もテンポも繋がりも決して良いとは言えず、香港臭漂うギャグもアクションも締まりの悪い作品に。マンガのようなファイターが戦いを繰り広げるクライマックスなんて、ただゴチャゴチャしているだけですし。同じ監督ということで『燃えよドラゴン』を期待すると、大層手痛い目に遭う本作。まぁ、『燃えよドラゴン』はブルース・リーの映画であって、ロバート・クローズのお手柄じゃないってのは、誰もが知っていることだとは思いますが。

ところどころで現在のジャッキーらしい“良い子は真似したくても出来ません”アクションが見れる本作だが、まだまだメインの見せ場がカンフーだった時代。キャラ設定も、誰かの息子か甥か弟と、常に一番下に位置付けされる、お馴染のアレ。なので、売り込み方も“活きの良いカンフースターあるよ!”な感じで、お得意の小道具を巧みに駆使した「アワワアワワ」したカンフーをたっぷり披露。ただ、そのジャッキーの受け手側が慣れていないのか、ジャッキーカンフーの味わいがイマイチ飛び出てこない。やっぱりジャッキーアクションは、周囲を固めるジャッキーチームの見事なリアクションがあって成り立ってるんだなぁと。
本作と『キャノンボール』でアメリカ進出を狙うも、失敗に終わってしまうジャッキー。ただ、その失敗でショゲ篭るわけでも内弁慶になるわけでもなく、その悔しさと反省をバネに自分の技を唯一無二の物にするまで磨き上げ、現在にいたってるのは周知の事。いやぁもう、敬服するのみで。

ワタワタしてても、やることだけはキッチリやる
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