2005年 アメリカ映画 99分 ファンタジー 採点★★★
優秀な親を持つってのも、なんとも非常に辛そうですねぇ。誰に会っても「あ〜、あそこの息子さんで」と、自分の事はそっちのけで親が自分の枕詞のようについて回るんでしょうし。兄弟が自分より優秀ってのも、辛そうです。間違いなく比較対象とされるでしょうし。でもまぁ、子供が自分より遥かに優秀ってのは、素直に嬉しいもんなんでしょうねぇ。

【ストーリー】
両親が世界屈指のスーパーヒーローであるウィル。周囲の期待とは裏腹に、一向にスーパーパワーに目覚めない彼は、ヒーロー専用の高校“スカイ・ハイ”に入学するも、あっという間に“脇役”組に所属する事に。ある日遂にスーパーパワーを手に入れたウィルは、晴れて“ヒーロー”組に転属。だが、“脇役”組の親友たちとギスギスし始めた挙句に、思いもしない陰謀に巻き込まれ…。さてどうする、ウィル?

『デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?』のマイク・ミッチェルによる、ヒーロー予備生の青春模様やらなんやらを80年代に一世を風靡したジョン・ヒューズ監督らによる一連の学園映画のお約束事を見事に踏襲した、学園ファンタジー。
学園映画の王道的展開から一歩も足を踏み外さず、ヒネりがないと言うよりは下手に欲を出さずに全くヒネろうとしない謙虚さが、観ていて非常に心地が良い。劇中に流れる楽曲も、ティアーズ・フォー・フィアーズやトーキング・ヘッズ、カーズやフィックスらという80年代に活躍したアーティストのカバー曲というのも、これまた心地の良い王道路線。憧れの女性が現れる度に幾度となく流されるスパンダー・バレエの“トゥルー”には、クドさを通り越して「王道から一歩も逸れてたまりますか!」という強い決意すら感じることに。
また、入学と同時に半ば強制的に決められてしまい、下手をするとそれが一生付きまとってしまうことにもなりかねないアメリカの高校の身分制度についても描かれており、それぞれの身分間にある反目を軸に“かわいい幼馴染が自分に惚れている”“でも自分は年上の美人に夢中”“でもやっぱり幼馴染の彼女が一番”といった切ない片想いの物語や、“なんだかんだで芽生えるライバルとの友情”等、学園物に欠かせない要素を洩らすことなく織り込んでいるため、“ヒーロー”という主語を除いても存分に楽しめる作品となっている。

若い俳優が多数出演する学園物にありがちである、個性の薄さが生み出す役割分担の判りづらさ、及び名前と顔が一向に一致しないという問題も、見た目でキャラが分かる“パっと見配役”が施されている為、序盤からすんなりと物語に入り込める。パっと見で分かるってのは、意外と重要。また、「あぁ、この人はジョン・ヒューズ映画におけるアンソニー・マイケル・ホールなんだな」「てことは、彼女がモリー・リングウォルドで、こっちがジャド・ネルソンかぁ」と、別な映画に変換できる分かりやすさも親切極まりない。しかしながら、その分かりやすい枠内でそれぞれのキャラクターを瑞々しく伸び伸びと演じる若手に対して、大人勢が思いのほか元気がない。もちろんアメリカンカラーの全身タイツに身を包んで終始ゴキゲンだった、『ポセイドン』『ダーク・スティール』のカート・ラッセルの親バカを通り越したバカ親ぶりの可愛らしさや、出番こそ少ないが相変らず『死霊のはらわた』のアッシュばりの高いテンションを披露する、『プレスリー VS ミイラ男』のブルース・キャンベル、リアルにムチムチのトラヴォルタ夫人ケリー・プレストンらツワモノは強烈な印象を残しているのだが、学園内に強烈な個性を発揮するキャラが少ないのが残念でも。

しかし、そんな些細な不満も吹き飛ばしてくれるのが、マイケル・アンガラノの可愛らしさ。非常に個性的な若手が勢揃いした『ロード・オブ・ドッグタウン』においてもその愛くるしさで抜群の存在感を示していた彼は、例えデートをすっぽかそうが基本的には何事においても全く悪気がなく、肝心なことは親にでも彼女にでも言い出せないモジモジ感溢れる主人公を、今回も愛嬌タップリに好演。クライマックスに空を飛びながら登場するシーンの「驚いたかっ?ボクもだよ」のセリフなんか、もう堪らなく可愛い。
そのマイケル・アンガラノを中心に、どことなくダイアン・ウィーストを髣髴させるファニーフェイスが魅力的なダニエル・パナベイカー、父親が悪党で母親がヒロインという相反する境遇を、そのまんま“戦争と平和”をもじったウォーレン・ピースという名前で表現した『コベナント 幻魔降臨』のスティーヴン・ストレイト、常に“トゥルー”が付いて回る『ファイナル・デッドコースター』『ダイ・ハード4.0』のメアリー・エリザベス・ウィンステッドなど、メインのキャラクターがどれも魅力的。
で、売り方がいくらでも見つかりそうな本作なのであるが、日本では単館2週間限定公開というVシネ並の扱い。カート・ラッセルの全身タイツ姿に怯んでしまったんでしょうか?まぁ、大手レンタル店が大量導入することで、敢えて莫大な宣伝費をかけて劇場公開しなくても買い付け費の元が取れてしまう現状であるとはいえ、面白い作品を(もしくは大して面白くない作品であっても)あの手この手で世に知らしめるってのも配給会社の大事な仕事なんじゃないのかなぁと。

一方的に期待されても
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今頃こんなん観てます(笑)
劇場公開されてたのは知りませんでした、、、
ディズニーなので安心して観られるし、最後までお約束な展開にも意外に楽しめてしまいました。
カート・ラッセルさんもこういうのやるんですねぇ。
去年観た中でも結構お気に入りの本作。どっちかといえば、カート・ラッセルってこういうものの方が好きなタイプなのかも知れませんねぇ^^
ところで、こぶちゃん日記いつも楽しみにしてます。すっかり立派なスズメになって!そのうち恩返しのため夜中に機織を始めるかも!?
やっぱり基本をキチンとこなしてから初めて、奇をてらって欲しいもので。独りよがりの狙いすぎ作品が多いですしねぇ。
で、こぶ。
私に似て大雑把で飽きっぽいので、機を織ったとしても途中で投げ出す可能性大ですが^^;
面白くて、ただ今こちらへ通いつめて読みふけっております(笑)。
宜しければTBもさせて下さいね。
まぁ、どれもこれも似たり寄ったりのことしか書いていないサブタレなので、瞬く間に飽きてしまわないかと心配でもありますが、飽きるまで宜しくお願いいたします^^;